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第82話 通学ってこんなに賑やかなもんだっけ?

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「翔君おはよー、あ、先生も来てたんだね」
「香織ちゃん、アンナちゃん、おはようございます。朝ご飯の用意できてるから、みんなでいただきましょう」

「「はーい」」

 俺達は基本、先生とアンナ、香織の4人で一緒に朝ご飯は食べる事に決めた。
 先生は所属タレントのマネージャーとして、未成年の俺達の健康管理も含めて、朝は顔を確認して置きたいという事だけど、やっぱりちゃんと朝ご飯を食べるのは大事だから、助かるよね。

「先生、翔君を起こす時にいたずらとかするの禁止ですよ?」
「な、何言ってるんですか? しぇ、しぇんせいがしょんな事しゅる訳無いじゃ無いですか……」

「噛みまくってて怪しさ全開ですよ先生?」
「先生、翔君を起こす当番って言うか朝食の当番3人で交代制にしませんか? 毎日作って貰うだけなのも気が引けるし」

「あら? アンナちゃんと香織ちゃんは大丈夫なの?」
「全然大丈夫ですよ、そうしましょう」

「でもさ香織相変わらず稽古は朝4時からしてるんだろ? 大変じゃ無いのか?」
「大丈夫だよ、でもこんなマンションの中に道場のスペースまで作っちゃって凄いよね?」

「香織、実はね4階の道場スペースは香織のお父さんの要望なんだよね。東京でも香織の家の師範代の人達をこっちに送って剣道を広めたいらしいよ? 今は俺と香織の影響で凄い話題になってるし、流行れば防具も売れるだろうしね」

「そうだったんだ……お父さんまでこっちに住むとか言い出さないよね?」
「もう箕輪流の道場主なんだから、それは無いだろう?」

「心配だなぁ」

「1Fは大手のスポーツクラブがテナントに入るから、プールもあるよ。24時間営業だから便利だよ!運営会社って言うか名古屋のスイミングスクールの所長が東京に転勤になってたから、その所長さんが責任者のスポーツクラブだしね。地下一階のスペースはスケートリンクも設置して、フィギュアの選手の育成もするって言ってたよ。既にうちの高校も選手の育成で使えないかの確認して来たみたいだし」
「それって学校は、翔君の所有物件だって知ってるの?」

「別に言っては無いけど、住所とか見たら普通に分かりそうな気はするよね。でも経営はノータッチだから俺が便宜を図れる訳じゃ無いけどね」
「4階のトレーニングジムとは別なんだよね?」

「4階は住人専用の施設だしね。一応トレーナーは派遣して貰うけどね」
「なんだか凄いよね。でもさ翔君このマンションに土俵作るとか言い出さないでよ? それってビジュアル的に厳しい気がするから」

「あ、ああ解ったよ。でもさ所長が、加山ジムの会長と提携してボクササイズは取り組むらしくてさ、健人さんとトレーナーの人はこっちに来るみたいだよ」
「加山会長は来ないの?」

「たまには来るだろうけど、あの人は色々面倒な話を勝手に持って来るからちょっと怖いよ」
「断ればいいのに?」

「全然悪気は無いし、なんとかしてあげたくなっちゃうんだよね」
「ゴルフ関係の練習場はどうするの?」

「それは一応学校のゴルフ部に所属したから練習はどうにかなるよ。黛さんが所属のスポーツメーカーのパイロットショップをオープンするって話してたから、素振りとかする場所は問題無さそうだしね」
「何か関係者全員集合みたいな感じだね」

「でもその方が便利は良さそうだしね」
「一応うちのプロダクションの事務所も今泉さんの事務所と並びで作ってあるから、綾子先生は基本的にそこが勤務先かな。所属は俺と、GBN12だけだからそんなに事業としては広げないけどね」

「翔君何言ってるんですか? 翔君とGBN12だけでどれだけの市場規模だと思ってるんですか? CMや番組出演料、印税関係を合わせると、年間300億円規模の売り上げですよ? 十分に大きな商売だよ」
「そんなにあるんだね。まぁこのメンバーだけの時は言っても構わないけど、マリアンヌ関係のバチカン絡みとか、斗真さん絡みや、アメリカ絡みの仕事を合わせたらその倍は楽に超えちゃうんだけどね」

「金額が現実離れしちゃってて、どう反応していいのか困るよね……」


「さぁそろそろ学校行かなきゃね!」

 一階のエントランスまで降りると、丁度、陽奈と香奈の姉妹も降りて来た所だったから、5人で学校に向かった。
 学校までは徒歩で10分程だ。

 俺達が5人で一緒に歩いていると、やっぱりとても目立っちゃうみたいで、ちょっとガラの良くない感じの先輩方に早速ご丁寧な挨拶を受けちゃったぜ。

「おい、有名人。あんまり調子に乗ってるとろくな事は無いぞ。まぁ俺達にガード料でも払えば見逃してやるけどな」

 うん。

 お約束過ぎるし、どうせ起こる様な問題だから、早めの対処はしてた方が良いよな?

「先輩、凄い弱そうですけどガードなんて出来るんですか?」

 思い切り挑発してみた。

「ア゛ァア? 何だと、殺すぞこら」
「あれ、正直な感想言ってあげたのに、何逆切れしてんですか? 陽奈ちゃん俺達が絡まれた証拠用に一応記録しといてね?」

「うん、あんまり派手にやったら駄目だよ?」
「まぁ大丈夫だよ、この先輩達なら香奈一人でも楽勝だから」

「おいコラ、そんなチビの中学生で楽勝だと? 面白いじゃないか、そのくそチビを今から裸にひん剥いてそこの道の真ん中にでも放置してやるぞ。お前は手を出すなよ?」

 その頃になると結構学校の通学途中の人も増えてきて、すっかり取り囲まれた状態になってた。
 スマホを取り出して撮影してる人も結構いる。

「あれってオリンピックの松尾と、GBN12のメイン4人だよな? 何の騒ぎなんだ?」
「あの、ヤンキー2人組が一方的に因縁付けて、松尾君に弱そうって言われてブチ切れたらしい。中学生メンバーの香奈一人でも楽勝だとか言われて、引っ込みがつかなくなったみたいだぞ」
「松尾も本人は確かに強いだろうけど、香奈ちゃん一人でも楽勝とか流石に盛りすぎだろ? 謝ったほうが良いんじゃねぇのか?」
「で、どうなるの? 本当に香奈ちゃん裸にひん剥くのか? 撮影したら写真週刊誌が一体いくら出すのか楽しみだな、お前らも結果はどうなるか知らんけど撮影したもん勝ちだぞ?」

 頭に血が上ってるヤンキー2人組は、周りの状況なんて気にもせずに、香奈に向かって走り寄って行った。
「香奈。任せていいか?」
「えぇ、面倒臭いなぁ。 まぁ翔君がやっちゃうと弱い者いじめみたいに言われて、炎上しちゃうかもしれないから、貸しだよ?」

「サンキュー」

 香奈に飛び掛かってきた二人組を、さっと躱して腰のあたりに手を伸ばした香奈が、一人の男のベルトを早業で引き抜いた。
 当然腰パンのダボダボズボンはベルトを引き抜かれると、すとんと下がり、勢いよく飛びかかって来たヤンキー君は顔から勢い良く地面に激突した。

「ちょっ、あり得ないんだけど……」
 ヤンキー1号君は女の子のキャラクターが掛かれた、トランクスを履いていて、20人以上に増えて居たギャラリー達にも、一瞬の沈黙の後に爆笑が起こった。
「てめぇ殺す」

 ヤンキー2号君が、再び香奈に掴みかかろうとすると、今度は持っていたベルトを鞭のように、ヤンキー2号君の膝のあたりに、叩きつけると両足が揃った状態で固定されて、同じように顔から地面に突っ込んだ。

 2人揃って口から血を垂らしながら涙目になってる。
「お兄さんたちまだやるの? 相当恥ずかしいと思うよ? こんなかわいいJCに襲い掛かろうとして返り討ちに合って、その様子がみんなに撮影されてるとか?」
「やっぱり先輩達じゃボディガードとか無理そうだからお断りしますね? 今後もし再び近づいたら今の情けない姿が、SNSで全国に実名入りで投稿されちゃいますよ? どう見ても襲い掛かって来たのは先輩たちだし、今お巡りさんが来たらとっても困る事に成るでしょ?」

「あ……ああ、分った……」
 顔面血だらけになりながら、やっと周りの状況も見え始めたヤンキー1号、2号君は必死でズボンを上げて退散して行った。

 俺は、ギャラリーで集まっていた他の、生徒たちに言った。
「あの、お願いがあるんですけど? 今撮影した動画や写真なんかは、公開しないで貰えませんか? 俺達も写っちゃってるし、俺達の写真がもしサイトに出たりすると、肖像権関係でうちの事務所の弁護士の先生が直ぐ騒ぎ出すから、公開しちゃうと後悔すると思いますから」

 ギャラリー達に伝えると、みんなコクコク頷いてたけど大丈夫かな?
 今泉さん、結構そんな部分厳しいからね?

 中々朝から賑やかだぜ、高校生活ってこんなにイベント盛りだくさんな物なの?


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