41 / 99
第41話 オリンピックのヒーローは本物のヒーローに大変身!
しおりを挟む
1500m走も無事に金メダルを獲得し、明日の早朝行われるマラソン競技の為に、陸連はわざわざ自衛隊機を使って、俺を札幌に送る手筈を整えてくれていた。
俺と両親、綾子先生、遊真、GBN12と陸連関係者、に加えて斗真さんたちJCIAのメンバーも、テロ対策で同乗している。
2017年度から実戦配備の始まったC-2輸送機が今日の俺達の移送に使われた。
まだ新しい機体だけど、基本は軍用だし決して乗り心地は良いとは言えないよね。
横田基地から、フライトした機体は新千歳空港までを1時間半ほどで移動して、そこからはチャーターのリムジンバスで札幌市内まで送ってくれた。
既に時刻は0時を回っていて、集合時間の5時半まで睡眠時間もまともに取れない状況だが、明石さんは俺が少しでも寝れるように、気を使ってくれている。
俺にしてみれば、転移で移動すれば何の問題もなかったんだけど、そんな事公表出来ないからしょうが無いよね。
マラソンのスタート地点の大通公園からほど近いホテルで仮眠を取り、朝の5時過ぎには起こされて、大通公園に向った。
既に空は明るく、大通公園には大勢の人が集まっていた。
テレビ局も沢山訪れているが、睡眠時間が不足している俺を気遣って、スタート時間ギリギリまでは俺にインタビューが来ないように、明石さん達がブロックしてくれていた。
俺は、回復スキルがあるから寝不足は殆ど関係ないから体調は全然平気だけどね。
GBN12は、大通公園内に設置された大型モニターの前に設置されたステージで既に応援イベントを始めている。
一体何万人の人が集まっているんだろう? と言うくらい人で埋め尽くされている。
今日は東京の国立競技場では閉会式が開催されるんだけど、開会式と同じで夜の8時から11時までの予定になっている。
中学生の俺は、開始から1時間程度しか参加出来ないので、最初から参加しないことにした。
今回の大会で一番注目を浴びた俺が参加しない閉会式で、今後国内開催の競技大会が日本の青少年がリアルタイムで楽しめる時間帯に開催してくれるようになってくれればいいけどね!
アメリカのテレビの都合に合わすくらいなら、最初から日本で無理して開催すること無いと思うのは俺だけなのかな?
そして時刻はスタート時間を迎える。
現時点で世界記録保持者である俺は、最前列からのスタートだ。
号砲と共に、一斉にスタートをきる80カ国160人に及ぶ選手達の先頭を切って、集団を引っ張る形での出だしだ。
五輪や世界陸上では、ペースメーカーの選手も居ないために、自分のペースで走ることが出来る。
最初のほぼハーフマラソンに該当する周回コースを回る間は、それ程ペースを上げるわけでもなく、先頭集団を引っ張る形で走った。
ライバルとなるケニアやエチオピアの選手達は、【OCSC】での経験もあり無理に俺のペースにあわせることはせずに、自分達がベストのパフォーマンスを行えるペースを保って走っているようだ。
俺のマラソンシューズは他のトップクラスの選手達が履いているような、厚底タイプの物では無いが、契約メーカーが俺専用ににデザインしてくれたシューズだ。
昨日の1500m決勝でも使用したこのシューズは、恐らく五輪終了後は凄く売れるんだろうね?
厚底シューズと違って耐久力もあるので、カジュアルユースでも使い勝手もよく、「普段履いてもカッコいいのがいいな」と言った俺の希望を聞き入れてもらってデザインしてある。
最初の一周を終えて二周目は、大通公園のスタート地点からまっすぐ横断して、一周目の半分程の距離になる様に調整された小回り周回を二周する事になる。
小回りっていっても一周10kmあるんだけどね!
給水所は5km置き位に設置してあるけど、俺は本当は全然必要ないんだけど取らないと怪しいから、10km毎に一回は取っている。
俺の飲み物はスポーツドリンクとかでは無く、普通の水にしてもらった。
テレビでマラソン中継見た時に頭から水かけてる姿を見て、ちょっとかっこいいなと思ったからやってみようと思ってたんだ。
スポーツドリンク掛けたらベタつくしね!
そして給水所で取った水を一口含んで、残りを頭の上からかけ、必死で走ってる感を出しながら、小回り周回の一周目を終え再度大通公園に戻ってくる。
この時点で、もう俺の周りに追走してくる選手は誰も居なかった。
そして最後の周回になり、沿道の大歓声に支えられながら走り続ける。
30kmのラップタイムを確認した時点で、前回の世界記録ペースを上回っていたので、余りペースを上げすぎるとゴールタイムがヤバイことになりそうだから少しペースはセーブしよう。
もう俺の周りにいるのは、先導の白バイの人と大型スクーターに載ったテレビカメラを構えた人、それと天井にパラボラアンテナを立てている報道用の車くらいだ。
そして3度目の大通公園が視界に入ってきた。
誰もが俺の優勝を確信して、凄い笑顔で歓声を上げている。
色々在ったけど、この舞台で走ることが出来てよかったな。
そしてゴールのテープが見えてきて、誰よりも先に自分の胸でテープに触れた。
そのままGBN12のメンバーや綾子先生、両親が居るメインステージの方まで走って行った。
最初にアンナが抱きついて来ると、香織も負けずに飛び付いてきた。
その様子を見てたGBN12の他のメンバーも、次々に抱きついてきてちょっと収拾がつかない。
「待て、一回落ち着け、まだ大事な事やってないだろ!」
そう言って俺は、ステージの上に上がると、全員に見えるように両手をパーに広げてアピールする。
会場にいる全ての人が、俺に併せて両手をパーに広げて構えてる。
そして俺はそのまま手を上に上げ「「バンザーイ」」と大きく叫んだ。
色々パターンを考えたけど、こんな時は絶対思いっきりベタなほうが、印象に残るよね?
そしてみんなも大きく手を広げて「「「「バンザーーーイ」」」」と叫んでくれている。
そこでアナウンスが入って正式タイムが表示された。
当然O.R W.Rの2つの文字も表示されている。
1時間56分30秒
再び大歓声に包まれた。
その時だった。
マーから念話が入った。
『翔君大変、東京にテロリストが集団で現れたわ』
『何だって? どんな状況なんだ』
『私にも解らない、スカイツリーを占拠して立て籠もってるわ』
『人質もいるんだよな?』
『オープンしてすぐだからそんなに多くは無いはずだけど、中で働く人達を合わすと200人以上は居るはずだわ』
『解ったちょっと全員で拠点に集合してくれ、俺も香奈を連れてすぐに行く』
そこで、競技の疲れで立ちくらみが起こった様に装ってうずくまると、両親に肩を抱かれて、救急テントへと連れて行かれた。
テントで両親に、「俺ちょっと急用出来たから、父さん頼む上手く誤魔化しといて!」と伝えると、何も解らない筈の父さんが「おう、お前が納得できるように頑張ってこい、何の事か解らんがな!」と2つ返事でOKしてくれた。
俺は隠密を発動してステージの香奈の側に移動すると、香奈の手を取りそのまま転移で、拠点に飛んだ。
「ちょっと翔君。いきなり拉致られるといくら私でもびっくりするんだからね? 何かあったの??」
拠点ではマー、ビアンカ、ヤリマンスキーの3人がテレビを見ていた。
スカイツリーの占拠を報道していたが、予想される犯人グループは30人以上はいそうだ。
今回は、まだ犯人側からの要求などもなく、五輪関連施設に警備が集中したために、手薄になったスカイツリーを対象に選んだようだった。
「解決するのは決定事項として、こんなテレビカメラなんかが集中している中に、顔を晒して突っ込むような事は出来ないから、これに着替えてくれ」
俺が取り出したのは、5色の全身タイツだ。
色は五輪のカラーに合わせて青・黄・黒・緑・赤の5色にした。
顔には同色の3Dマスクとサングラスを付けてもらう。
勿論サングラスのフレームもタイツと同じ色だ。
「これに着替えてもらうぞ、腰に巻くベルトのポーチがマジックバックになってるから、ちょっと練習したら一瞬で普段の服から早着替えできる様になるから、それは今回の件を解決してから、各自で練習してくれ」
「ちょっと、マジで言ってるの? こんなクソ恥ずかしい格好させて誰が喜ぶのよ?」
「どうせ顔出さないんだから、平気だって」
「人としての尊厳を失いそうだよ」
色々と文句はあるようだが、取り敢えずは着替えてもらった。
まぁ顔は解らない筈だから、きっと大丈夫だろう。
因みに色は、
俺 ・赤
香奈 ・黒
マー ・緑
ビアンカ ・黄
ヤリマンスキー・青
に決まった。
一応、決めポーズも練習させたぜ、戦隊ネームは『五輪ジャー』だ!
やっぱ主役はレッドが基本だろ?
マーは、結構なナイスボディが強調されて、何かエロいな。
香奈は、おこちゃま体型だから問題無しだ。
ビアンカの肉が歩く度にブルンブルン震えてかなり怖い。
ヤリマンスキーの股間は、それでなくてもでかい一物が異様に強調されて、不気味だ。
「制圧は、俺とヤリマンスキーが転移で移動しながら、転移門の中に犯人たちをひたすら放り込んでいくでいいかな?」
「ねぇ? この格好とその作戦だと別に私必要無くない?」と香奈がまだ抵抗しているが、却下だ。
「能力的に、転移、鑑定、格闘は必要だから、マーと香奈とヤリマンスキーで1セットだ。俺はビアンカと組む」
斗真さん達JCIAは札幌に主力メンバーと行ってたから急ぎで戻るにしても、2時間は掛かる筈だ。
「犯人達の要求なんかは全く解らないが、人質に紛れてるやつもいると思って間違いないから、俺と香奈で片っ端から鑑定掛けて、テロリストの背後に転移で移動しながら、転移門に放り込んでホイホイに転送する」
「俺とビアンカは、上の展望台から下に向かって行くから、香奈達は下から順に制圧していってくれ」
「それじゃぁ行くぞ!」
俺達は、テレビカメラに囲まれているスカイツリーの前に転移で移動すると、
「「「「「五輪ジャー見参」」」」」
と、香ばしい決めポーズをかまし、再び転移でスカイツリー内部に転移した。
「あのふざけた連中はなんなんだ?」と言う呆れとも怒りとも取れる反応は一切無視だぜ。
予定通りに、鑑定スキルと転移門を活用しながらどんどんテロリスト達をホイホイ送りにして行き、スカイツリーは無事に解放された。
再び全員揃って、スカイツリーの入口前に現れ、「平和は守られた、アデュー」と香ばしいポーズを決めて、拠点に転移で戻った。
「お疲れー、俺と香奈は札幌に戻らなきゃヤバイから、後は頼むな。早着替え練習しとけよ!」
そして俺は香奈を連れて札幌大通公園に戻った。
香奈は何事もなかったように、「ステージの下で座ったら本当に寝ちゃってた。ごめんね」と言ってごまかした様だ。
俺は、父さんに「ゴメン遅くなったもう大丈夫だよ」と伝えると、「陸連の人たちが凄い心配して何度も顔を覗かせたけど、疲れと寝不足で少し寝てるだけだから、大丈夫ですもう少しだけ時間を下さい」と言って誤魔化してる」と教えてくれた。
「父さんありがとうな、感謝してるよ」
と言って、陸連関係者が待つテントへと向った。
既に棄権者以外は全員ゴールして、表彰式が始まろうとしていたので、明石さんが俺の姿を見ると安心して「良かった、大丈夫か?俺が無理なスケジュールで競技に参加させてしまったから、責任を感じていたよ済まなかったな」
「心配掛けてスイマセン。明石さんのせいでは無いですから、気にしないで下さい。明石さんのおかげで2度と出来ない貴重な体験をさせて頂いたのは事実ですから、心から感謝していますよ」と伝えると、少しだけ表情も明るくなった。
そして、俺は表彰式に臨み、君が代が流れる中を昇っていく日の丸の旗を見つめ、首に10個目となる金メダルを掛けて貰った。
俺と両親、綾子先生、遊真、GBN12と陸連関係者、に加えて斗真さんたちJCIAのメンバーも、テロ対策で同乗している。
2017年度から実戦配備の始まったC-2輸送機が今日の俺達の移送に使われた。
まだ新しい機体だけど、基本は軍用だし決して乗り心地は良いとは言えないよね。
横田基地から、フライトした機体は新千歳空港までを1時間半ほどで移動して、そこからはチャーターのリムジンバスで札幌市内まで送ってくれた。
既に時刻は0時を回っていて、集合時間の5時半まで睡眠時間もまともに取れない状況だが、明石さんは俺が少しでも寝れるように、気を使ってくれている。
俺にしてみれば、転移で移動すれば何の問題もなかったんだけど、そんな事公表出来ないからしょうが無いよね。
マラソンのスタート地点の大通公園からほど近いホテルで仮眠を取り、朝の5時過ぎには起こされて、大通公園に向った。
既に空は明るく、大通公園には大勢の人が集まっていた。
テレビ局も沢山訪れているが、睡眠時間が不足している俺を気遣って、スタート時間ギリギリまでは俺にインタビューが来ないように、明石さん達がブロックしてくれていた。
俺は、回復スキルがあるから寝不足は殆ど関係ないから体調は全然平気だけどね。
GBN12は、大通公園内に設置された大型モニターの前に設置されたステージで既に応援イベントを始めている。
一体何万人の人が集まっているんだろう? と言うくらい人で埋め尽くされている。
今日は東京の国立競技場では閉会式が開催されるんだけど、開会式と同じで夜の8時から11時までの予定になっている。
中学生の俺は、開始から1時間程度しか参加出来ないので、最初から参加しないことにした。
今回の大会で一番注目を浴びた俺が参加しない閉会式で、今後国内開催の競技大会が日本の青少年がリアルタイムで楽しめる時間帯に開催してくれるようになってくれればいいけどね!
アメリカのテレビの都合に合わすくらいなら、最初から日本で無理して開催すること無いと思うのは俺だけなのかな?
そして時刻はスタート時間を迎える。
現時点で世界記録保持者である俺は、最前列からのスタートだ。
号砲と共に、一斉にスタートをきる80カ国160人に及ぶ選手達の先頭を切って、集団を引っ張る形での出だしだ。
五輪や世界陸上では、ペースメーカーの選手も居ないために、自分のペースで走ることが出来る。
最初のほぼハーフマラソンに該当する周回コースを回る間は、それ程ペースを上げるわけでもなく、先頭集団を引っ張る形で走った。
ライバルとなるケニアやエチオピアの選手達は、【OCSC】での経験もあり無理に俺のペースにあわせることはせずに、自分達がベストのパフォーマンスを行えるペースを保って走っているようだ。
俺のマラソンシューズは他のトップクラスの選手達が履いているような、厚底タイプの物では無いが、契約メーカーが俺専用ににデザインしてくれたシューズだ。
昨日の1500m決勝でも使用したこのシューズは、恐らく五輪終了後は凄く売れるんだろうね?
厚底シューズと違って耐久力もあるので、カジュアルユースでも使い勝手もよく、「普段履いてもカッコいいのがいいな」と言った俺の希望を聞き入れてもらってデザインしてある。
最初の一周を終えて二周目は、大通公園のスタート地点からまっすぐ横断して、一周目の半分程の距離になる様に調整された小回り周回を二周する事になる。
小回りっていっても一周10kmあるんだけどね!
給水所は5km置き位に設置してあるけど、俺は本当は全然必要ないんだけど取らないと怪しいから、10km毎に一回は取っている。
俺の飲み物はスポーツドリンクとかでは無く、普通の水にしてもらった。
テレビでマラソン中継見た時に頭から水かけてる姿を見て、ちょっとかっこいいなと思ったからやってみようと思ってたんだ。
スポーツドリンク掛けたらベタつくしね!
そして給水所で取った水を一口含んで、残りを頭の上からかけ、必死で走ってる感を出しながら、小回り周回の一周目を終え再度大通公園に戻ってくる。
この時点で、もう俺の周りに追走してくる選手は誰も居なかった。
そして最後の周回になり、沿道の大歓声に支えられながら走り続ける。
30kmのラップタイムを確認した時点で、前回の世界記録ペースを上回っていたので、余りペースを上げすぎるとゴールタイムがヤバイことになりそうだから少しペースはセーブしよう。
もう俺の周りにいるのは、先導の白バイの人と大型スクーターに載ったテレビカメラを構えた人、それと天井にパラボラアンテナを立てている報道用の車くらいだ。
そして3度目の大通公園が視界に入ってきた。
誰もが俺の優勝を確信して、凄い笑顔で歓声を上げている。
色々在ったけど、この舞台で走ることが出来てよかったな。
そしてゴールのテープが見えてきて、誰よりも先に自分の胸でテープに触れた。
そのままGBN12のメンバーや綾子先生、両親が居るメインステージの方まで走って行った。
最初にアンナが抱きついて来ると、香織も負けずに飛び付いてきた。
その様子を見てたGBN12の他のメンバーも、次々に抱きついてきてちょっと収拾がつかない。
「待て、一回落ち着け、まだ大事な事やってないだろ!」
そう言って俺は、ステージの上に上がると、全員に見えるように両手をパーに広げてアピールする。
会場にいる全ての人が、俺に併せて両手をパーに広げて構えてる。
そして俺はそのまま手を上に上げ「「バンザーイ」」と大きく叫んだ。
色々パターンを考えたけど、こんな時は絶対思いっきりベタなほうが、印象に残るよね?
そしてみんなも大きく手を広げて「「「「バンザーーーイ」」」」と叫んでくれている。
そこでアナウンスが入って正式タイムが表示された。
当然O.R W.Rの2つの文字も表示されている。
1時間56分30秒
再び大歓声に包まれた。
その時だった。
マーから念話が入った。
『翔君大変、東京にテロリストが集団で現れたわ』
『何だって? どんな状況なんだ』
『私にも解らない、スカイツリーを占拠して立て籠もってるわ』
『人質もいるんだよな?』
『オープンしてすぐだからそんなに多くは無いはずだけど、中で働く人達を合わすと200人以上は居るはずだわ』
『解ったちょっと全員で拠点に集合してくれ、俺も香奈を連れてすぐに行く』
そこで、競技の疲れで立ちくらみが起こった様に装ってうずくまると、両親に肩を抱かれて、救急テントへと連れて行かれた。
テントで両親に、「俺ちょっと急用出来たから、父さん頼む上手く誤魔化しといて!」と伝えると、何も解らない筈の父さんが「おう、お前が納得できるように頑張ってこい、何の事か解らんがな!」と2つ返事でOKしてくれた。
俺は隠密を発動してステージの香奈の側に移動すると、香奈の手を取りそのまま転移で、拠点に飛んだ。
「ちょっと翔君。いきなり拉致られるといくら私でもびっくりするんだからね? 何かあったの??」
拠点ではマー、ビアンカ、ヤリマンスキーの3人がテレビを見ていた。
スカイツリーの占拠を報道していたが、予想される犯人グループは30人以上はいそうだ。
今回は、まだ犯人側からの要求などもなく、五輪関連施設に警備が集中したために、手薄になったスカイツリーを対象に選んだようだった。
「解決するのは決定事項として、こんなテレビカメラなんかが集中している中に、顔を晒して突っ込むような事は出来ないから、これに着替えてくれ」
俺が取り出したのは、5色の全身タイツだ。
色は五輪のカラーに合わせて青・黄・黒・緑・赤の5色にした。
顔には同色の3Dマスクとサングラスを付けてもらう。
勿論サングラスのフレームもタイツと同じ色だ。
「これに着替えてもらうぞ、腰に巻くベルトのポーチがマジックバックになってるから、ちょっと練習したら一瞬で普段の服から早着替えできる様になるから、それは今回の件を解決してから、各自で練習してくれ」
「ちょっと、マジで言ってるの? こんなクソ恥ずかしい格好させて誰が喜ぶのよ?」
「どうせ顔出さないんだから、平気だって」
「人としての尊厳を失いそうだよ」
色々と文句はあるようだが、取り敢えずは着替えてもらった。
まぁ顔は解らない筈だから、きっと大丈夫だろう。
因みに色は、
俺 ・赤
香奈 ・黒
マー ・緑
ビアンカ ・黄
ヤリマンスキー・青
に決まった。
一応、決めポーズも練習させたぜ、戦隊ネームは『五輪ジャー』だ!
やっぱ主役はレッドが基本だろ?
マーは、結構なナイスボディが強調されて、何かエロいな。
香奈は、おこちゃま体型だから問題無しだ。
ビアンカの肉が歩く度にブルンブルン震えてかなり怖い。
ヤリマンスキーの股間は、それでなくてもでかい一物が異様に強調されて、不気味だ。
「制圧は、俺とヤリマンスキーが転移で移動しながら、転移門の中に犯人たちをひたすら放り込んでいくでいいかな?」
「ねぇ? この格好とその作戦だと別に私必要無くない?」と香奈がまだ抵抗しているが、却下だ。
「能力的に、転移、鑑定、格闘は必要だから、マーと香奈とヤリマンスキーで1セットだ。俺はビアンカと組む」
斗真さん達JCIAは札幌に主力メンバーと行ってたから急ぎで戻るにしても、2時間は掛かる筈だ。
「犯人達の要求なんかは全く解らないが、人質に紛れてるやつもいると思って間違いないから、俺と香奈で片っ端から鑑定掛けて、テロリストの背後に転移で移動しながら、転移門に放り込んでホイホイに転送する」
「俺とビアンカは、上の展望台から下に向かって行くから、香奈達は下から順に制圧していってくれ」
「それじゃぁ行くぞ!」
俺達は、テレビカメラに囲まれているスカイツリーの前に転移で移動すると、
「「「「「五輪ジャー見参」」」」」
と、香ばしい決めポーズをかまし、再び転移でスカイツリー内部に転移した。
「あのふざけた連中はなんなんだ?」と言う呆れとも怒りとも取れる反応は一切無視だぜ。
予定通りに、鑑定スキルと転移門を活用しながらどんどんテロリスト達をホイホイ送りにして行き、スカイツリーは無事に解放された。
再び全員揃って、スカイツリーの入口前に現れ、「平和は守られた、アデュー」と香ばしいポーズを決めて、拠点に転移で戻った。
「お疲れー、俺と香奈は札幌に戻らなきゃヤバイから、後は頼むな。早着替え練習しとけよ!」
そして俺は香奈を連れて札幌大通公園に戻った。
香奈は何事もなかったように、「ステージの下で座ったら本当に寝ちゃってた。ごめんね」と言ってごまかした様だ。
俺は、父さんに「ゴメン遅くなったもう大丈夫だよ」と伝えると、「陸連の人たちが凄い心配して何度も顔を覗かせたけど、疲れと寝不足で少し寝てるだけだから、大丈夫ですもう少しだけ時間を下さい」と言って誤魔化してる」と教えてくれた。
「父さんありがとうな、感謝してるよ」
と言って、陸連関係者が待つテントへと向った。
既に棄権者以外は全員ゴールして、表彰式が始まろうとしていたので、明石さんが俺の姿を見ると安心して「良かった、大丈夫か?俺が無理なスケジュールで競技に参加させてしまったから、責任を感じていたよ済まなかったな」
「心配掛けてスイマセン。明石さんのせいでは無いですから、気にしないで下さい。明石さんのおかげで2度と出来ない貴重な体験をさせて頂いたのは事実ですから、心から感謝していますよ」と伝えると、少しだけ表情も明るくなった。
そして、俺は表彰式に臨み、君が代が流れる中を昇っていく日の丸の旗を見つめ、首に10個目となる金メダルを掛けて貰った。
10
面白かった! 続きが読みたい!!って思って頂けたらお気に入り登録や感想をよろしくお願いいたします(^^)/
拙作の一覧です!
『侯爵令嬢に転生した私は、婚約破棄から始まるバラ色の異世界生活をを謳歌します。』
『黒猫な俺の異世界生活と中年オヤジな俺の現代生活が楽しくてたまらない!』
『いじめられっ子だった俺はダンジョンの現れた世界で最強能力【トランスフォーム】を駆使して無双する』
『不思議なペットボトル ~JK心愛の美味しいダンジョン攻略~』
『出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~』
『なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話』
拙作の一覧です!
『侯爵令嬢に転生した私は、婚約破棄から始まるバラ色の異世界生活をを謳歌します。』
『黒猫な俺の異世界生活と中年オヤジな俺の現代生活が楽しくてたまらない!』
『いじめられっ子だった俺はダンジョンの現れた世界で最強能力【トランスフォーム】を駆使して無双する』
『不思議なペットボトル ~JK心愛の美味しいダンジョン攻略~』
『出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~』
『なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話』
お気に入りに追加
241
あなたにおすすめの小説

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる