その女、女狐につき。

高殿アカリ

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9.同盟の結び方

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 次に紹介されたのは、執事長のお兄さんとメイド長のお姉さんだった。



 執事長のお兄さんは燕尾服を、メイド長のお姉さんはメイド服を、それぞれぴしっと着こなしていた。



 はわはわ。

 これぞまさしく、お屋敷です!!



 しかし待てよ?

 こんなに素晴らしい二人を前にして、私は一体何をすれば良いのだろうか。



 そもそも、あんな素敵にメイド服を着こなせる自信はこれっぽっちもないし(幾ら私といえども)。



 そもそも、家事や掃除をするんでしょ、なんて思っていたは良いものの。

 こんなに広いなんて知らなかったし。



 ……あれ?

 なんか色々と駄目なんじゃないかしら。



 なのに、こんな立派な部屋まで用意されちゃって?



 私、もしかして四面楚歌?

 市川に上手く外堀を埋められちゃっていたりします?



 なぁんてね。

 そんなことあるわけが……あったみたい。



 とっても楽しそうに笑う市川の表情を見て、私はそう感じた。

 否、きっと私の主観だけの問題ではない。



 恐らく、奴はこの状況をとても楽しんでいる。

 私が困っている、というこの状況を。



 しかし、時既に遅し。



 今更、どう足掻いたところで、私がここで働くことは決定している。



 なぜなら、共同戦線を結んでしまったのだから。

 そして、ここで働くことは既に両親の耳にも入っているのだから。



 ウン。

 完全に外堀から埋められていたね。



 まぁ、後はなんだ。

 腹を括って挑むしかないのね。



 というか、人生一番初めにするお仕事がこれってどうよ。

 昨日の私に言ってやりたい。



 お仕事、舐めちゃあいけません。

 ってね。



 それじゃあ早速、頑張らせていただきますか。
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