その女、女狐につき。

高殿アカリ

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9.同盟の結び方

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「どういうこと?」



「今から君は、僕と一緒に過ごしてもらう。幸い、まだ夏休みの最中だし、色々と好都合だ。実はこの近くに僕の家が所有している別荘があるんだけど、僕は夏休みの間その別荘で過ごそうと思っていたんだ。そこで、だ。その別荘で住み込みの家政婦のバイトをしないかい? もちろん、ちゃんと給料は出すさ」



「……なるほどね。うまいこと考えたものね。住み込みのバイトなら、家に帰れないのは当たり前だし。連絡手段は……そうね、バイトの初日にでも携帯を水没させましょうか」



「あはは、君もなかなか悪い子だね。でも、そういう君も悪くないよ」



「あら、ありがとう。そうしたら、私は親に連絡しておくわ。旅行先で生徒会長にたまたま偶然会って、残りの夏休みは彼の別荘で住み込みのバイトをするって」



「あぁ、そうするといい。何なら、僕の家の者を説明に向かわせるし、別荘の住所や電話番号、僕の携帯の番号なんかを教えても構わないさ。だって、僕たちは何一つ悪いことをしていないのだから」



 本当に、うまいこと考えられている。



 私は合法的に(お給料も出るし)、市川のもとで働いていて。

 けれど、黒閻は私が誘拐されていると信じていて。



 解放されると踏んだ私が、ちっとも戻ってこない。

 そう考えた彼らは何をする?



 きっと、私を必死に探すわ。



 そうして私の大切さに気が付いた彼らは……。



 あぁ、この先は想像しただけでぞくぞくしちゃう。



 うふふ、何だか明るい希望が見えてきたんじゃない?

 まぁ、当初とは少し違う形ではあるけれど。



 ちなみに、この会話の間、山田先輩は黙々と部屋の片づけをしていた。
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