95 / 163
7.嵐の前の何とやら
13
しおりを挟む
週末、私は一花とユマさんと共に大型のショッピングセンターの中にいた。
旅行で必要なものを一緒に買いに行かないか、と一花を誘ったからだ。
本当に来て欲しい人はユマさんだけだったが、ユマさんはあえて誘わなかった。
誘わなくとも、私と一花が休日にどこかへ出掛ける場合、ユマさんがついてくることは決定されていたからだ。
また、ユマさんだけを誘ってしまうと、不自然極まりない上に彼女がこれから行われることに勘付く可能性があった。
それは何としても避けたいことだった。
だから、確実にユマさんと行動を共にすることが出来、かつユマさんに何の違和感も抱かせない方法を取った。
ユマさんに警戒されるよりは、一花をあしらう方が遙かに簡単なんだし。
会って早々、ユマさんは含み笑いをしながらこんなことを言った。
「あれ、二人とも平気そうじゃん」
一花は頭にはてなマークを乗せている。
一方、彼女の言いたいことが分かった私は、意味深な笑顔を返すのみ。
やっぱり侮れないわね、ユマさんは。
彼女は、黒閻から離された私たちが全く悲しまず、普通にしていることを突っ込んできたのだ。
それも私たちが平気なことを知っている上で。
目敏いのか、意地が悪いのか。
とにかく、一癖も二癖もある人なのだ。
そんな彼女を騙すのはやっぱり難しそう。
けれど、だからこそやりがいがあるのだし、やってみる価値もある。
ただ少しばかり慎重にいかなくてはならないわ。
目敏くとも、意地が悪くとも、とにかくユマさんは私たちを可愛がってくれた。
色違いの水着やお揃いのアクセサリーを彼女は何の躊躇いもなく私たちに買い与えてくれたし、見たいと思ったお店に気付いてあちらから店内に入ることを誘ってくれたりもした。
旅行で必要なものを一緒に買いに行かないか、と一花を誘ったからだ。
本当に来て欲しい人はユマさんだけだったが、ユマさんはあえて誘わなかった。
誘わなくとも、私と一花が休日にどこかへ出掛ける場合、ユマさんがついてくることは決定されていたからだ。
また、ユマさんだけを誘ってしまうと、不自然極まりない上に彼女がこれから行われることに勘付く可能性があった。
それは何としても避けたいことだった。
だから、確実にユマさんと行動を共にすることが出来、かつユマさんに何の違和感も抱かせない方法を取った。
ユマさんに警戒されるよりは、一花をあしらう方が遙かに簡単なんだし。
会って早々、ユマさんは含み笑いをしながらこんなことを言った。
「あれ、二人とも平気そうじゃん」
一花は頭にはてなマークを乗せている。
一方、彼女の言いたいことが分かった私は、意味深な笑顔を返すのみ。
やっぱり侮れないわね、ユマさんは。
彼女は、黒閻から離された私たちが全く悲しまず、普通にしていることを突っ込んできたのだ。
それも私たちが平気なことを知っている上で。
目敏いのか、意地が悪いのか。
とにかく、一癖も二癖もある人なのだ。
そんな彼女を騙すのはやっぱり難しそう。
けれど、だからこそやりがいがあるのだし、やってみる価値もある。
ただ少しばかり慎重にいかなくてはならないわ。
目敏くとも、意地が悪くとも、とにかくユマさんは私たちを可愛がってくれた。
色違いの水着やお揃いのアクセサリーを彼女は何の躊躇いもなく私たちに買い与えてくれたし、見たいと思ったお店に気付いてあちらから店内に入ることを誘ってくれたりもした。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

はずれのわたしで、ごめんなさい。
ふまさ
恋愛
姉のベティは、学園でも有名になるほど綺麗で聡明な当たりのマイヤー伯爵令嬢。妹のアリシアは、ガリで陰気なはずれのマイヤー伯爵令嬢。そう学園のみなが陰であだ名していることは、アリシアも承知していた。傷付きはするが、もう慣れた。いちいち泣いてもいられない。
婚約者のマイクも、アリシアのことを幽霊のようだの暗いだのと陰口をたたいている。マイクは伯爵家の令息だが、家は没落の危機だと聞く。嫁の貰い手がないと家の名に傷がつくという理由で、アリシアの父親は持参金を多めに出すという条件でマイクとの婚約を成立させた。いわば政略結婚だ。
こんなわたしと結婚なんて、気の毒に。と、逆にマイクに同情するアリシア。
そんな諦めにも似たアリシアの日常を壊し、救ってくれたのは──。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
いつか彼女を手に入れる日まで
月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?
無表情いとこの隠れた欲望
春密まつり
恋愛
大学生で21歳の梓は、6歳年上のいとこの雪哉と一緒に暮らすことになった。
小さい頃よく遊んでくれたお兄さんは社会人になりかっこよく成長していて戸惑いがち。
緊張しながらも仲良く暮らせそうだと思った矢先、転んだ拍子にキスをしてしまう。
それから雪哉の態度が変わり――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる