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4.腹黒愛美、本領発揮。の一つ手前
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そして出来上がったコップを二つ持ち、私はケイの元へと向かった。
「あの、ケイさん。これ良かったらどうぞ。……何か難しい顔をしているみたいなので……」
私は手に持っていたコップの一つをケイに差し出した。
ケイは渡されたコーヒーを訝し気に見ながら、
「……ありがとう」
「いいえ、とんでもないです」
可愛らしく首を振りながら、私はケイと少し離れてソファに座った。
タイシもキッチンから出てきたようだ。
さぁさ、お飲みなさいな。
そしてその瞳を見開くが良いわ。
あーっはっはっは。
そして、私の予言通り、ケイは一口コーヒーを口に含むと、驚愕に目を見開いた。
私はしれっとした様子でそれに気付かないふりをする。
「……原田さん」
何にも気付かない様子の私に痺れを切らしたのか、ケイが話しかけてくる。
「あ、はい。……何かまずかったでしょうか」
しょんぼりと項垂れる私の様子に、慌ててフォローを入れるケイ。
「あ、いいえ。とても美味しく出来ています。むしろ、僕の好みの味です。……でも一体どうやって」
「あ、本当ですか。良かったです。私のお家の淹れ方に合わせたので、もしお口に合わなかったらどうしようって思っていました」
にっこり、悪気のない、ましてや計算など全くしていない表情で私は笑う。
そんなことあるはずもないのにね。
もちろん、全て計算済みです、はい。
「あの、ケイさん。これ良かったらどうぞ。……何か難しい顔をしているみたいなので……」
私は手に持っていたコップの一つをケイに差し出した。
ケイは渡されたコーヒーを訝し気に見ながら、
「……ありがとう」
「いいえ、とんでもないです」
可愛らしく首を振りながら、私はケイと少し離れてソファに座った。
タイシもキッチンから出てきたようだ。
さぁさ、お飲みなさいな。
そしてその瞳を見開くが良いわ。
あーっはっはっは。
そして、私の予言通り、ケイは一口コーヒーを口に含むと、驚愕に目を見開いた。
私はしれっとした様子でそれに気付かないふりをする。
「……原田さん」
何にも気付かない様子の私に痺れを切らしたのか、ケイが話しかけてくる。
「あ、はい。……何かまずかったでしょうか」
しょんぼりと項垂れる私の様子に、慌ててフォローを入れるケイ。
「あ、いいえ。とても美味しく出来ています。むしろ、僕の好みの味です。……でも一体どうやって」
「あ、本当ですか。良かったです。私のお家の淹れ方に合わせたので、もしお口に合わなかったらどうしようって思っていました」
にっこり、悪気のない、ましてや計算など全くしていない表情で私は笑う。
そんなことあるはずもないのにね。
もちろん、全て計算済みです、はい。
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