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3.仕組まれたリンチ事件
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私はオムライスの最後の一口を頬張る。
もぐもぐ。
もぐもぐ。
慌てなくても大丈夫よ。
大体、行く場所なんて限られているわ。
うん、お母さんのオムライスはから揚げの次に美味しい。
ふわふわの卵とチキンライスをじっくりと堪能した後。
お弁当を片付け、お口を拭いて、きちんと鏡で顔を確認して。
私はさっと席を立ちあがる。
さてと。
里奈が何か言いたげに立ち上がった私を見ているけれど。
それに気づいていながらも、私は何の反応もしない。
私だって、たまには自分で動くわ。
心配しないでよ、里奈ちゃん。
あなたこそ、失敗なんかしたらただじゃおかないからね。
心の中だけで里奈に伝える。
伝わったかどうかは分からないけど、里奈ちゃんだから信じているわ。
きちんとポケットに携帯電話が入っていることを確認して、私は歩き始めた。
向かう先は、体育館裏。
なんて、ベタなの。
そこから聞こえてくるのは、同じ性別とは思えないくらいの汚い言葉たち。
それから、何かが落ちたような重い音が、何度も。
うわぁ、音だけでも随分と痛々しいわね。
どす。
がす。
「うぇっ」
鳴き声のような、呻き声が聞こえてきた。
相当やられているみたいね、一花ちゃん。
でも、もう少しだけ待って。
そうしたら、私はあなたを助けてあげる。
「ふざけんじゃねぇよ」
「何、黒閻の皆様に迷惑かけてんだよ」
「挙句、生徒会に仲間入りってか」
「お前なんか寵愛姫にふさわしくねーよ」
「……わかって……げほっ」
「うわぁ、汚ねぇ」
「何、吐いてんだよ」
「まだ殴られたいのかよ」
その時だった。
もぐもぐ。
もぐもぐ。
慌てなくても大丈夫よ。
大体、行く場所なんて限られているわ。
うん、お母さんのオムライスはから揚げの次に美味しい。
ふわふわの卵とチキンライスをじっくりと堪能した後。
お弁当を片付け、お口を拭いて、きちんと鏡で顔を確認して。
私はさっと席を立ちあがる。
さてと。
里奈が何か言いたげに立ち上がった私を見ているけれど。
それに気づいていながらも、私は何の反応もしない。
私だって、たまには自分で動くわ。
心配しないでよ、里奈ちゃん。
あなたこそ、失敗なんかしたらただじゃおかないからね。
心の中だけで里奈に伝える。
伝わったかどうかは分からないけど、里奈ちゃんだから信じているわ。
きちんとポケットに携帯電話が入っていることを確認して、私は歩き始めた。
向かう先は、体育館裏。
なんて、ベタなの。
そこから聞こえてくるのは、同じ性別とは思えないくらいの汚い言葉たち。
それから、何かが落ちたような重い音が、何度も。
うわぁ、音だけでも随分と痛々しいわね。
どす。
がす。
「うぇっ」
鳴き声のような、呻き声が聞こえてきた。
相当やられているみたいね、一花ちゃん。
でも、もう少しだけ待って。
そうしたら、私はあなたを助けてあげる。
「ふざけんじゃねぇよ」
「何、黒閻の皆様に迷惑かけてんだよ」
「挙句、生徒会に仲間入りってか」
「お前なんか寵愛姫にふさわしくねーよ」
「……わかって……げほっ」
「うわぁ、汚ねぇ」
「何、吐いてんだよ」
「まだ殴られたいのかよ」
その時だった。
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