その女、女狐につき。

高殿アカリ

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3.仕組まれたリンチ事件

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「ねぇ、ちょっとこっち来なよ」



 ある日、一花が隣のクラスの女の子たちに呼び出された。



 私は心配しているフリをして、



「一花、やめときなよ」



 けれども、彼女は行くだろう。



 そんな彼女だから、寵愛姫になってしまったのだし、こうして呼び出されているわけなのだから。



「うん、でも。行かなくちゃ」



 ほらね。

 儚げに笑う一花を見て、私は呆れる。



 彼女の心情を憶測するとしたら、こんな感じだろうか。




 私が寵愛姫だから呼ばれているんだよね。

 みんなには我がまま言っちゃったし、それっきり連絡もないし。



 たぶん、私に愛想尽かしちゃったんだよね。

 迷惑ばっかりかけちゃったから。



 足手まといの私なんて、黒閻にいないほうがマシだって知ってた。



 でも、みんなが優しいから。

 それに甘えちゃってたの。



 なのに、私の我がままで気まずくなっちゃって……。



 分かってる。

 本当は、寵愛姫として呼び出されるなんて駄目だって。



 もう、みんなは助けてくれないって。



 でも、だからこそ。

 私は一人で立ち向かいたいの。



 守られるだけは嫌なの。

 だから、もしこれを一人で乗り越えられたら……。



 また、みんなのもとに戻っても良いかなぁ。



 ねぇ、フウガくん。



 ちゃんと、寵愛姫じゃないって言うから。

 私、今度は仲間として戻りたいな。



 優しくて温かな、あの場所に。




 ……うへぇ、反吐が出る。



 あくまでも私の憶測だから、一花が本当に思っているかどうかは別だけど。



 でも、自己犠牲ほど汚いものってないわよね。



 これ、私の矜持なんだけどね。



 自己犠牲って大概が自己犠牲になってないしね。

 自分に酔うための道具でしかないじゃんね。



 とまぁ、それは置いといて。

 ちょっと楽しそうだから見に行ってみましょうか。
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