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2.生徒会へようこそ
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「なんや。なんかあったんやないやろうな。もし、一花の身になんかあったんやったら……」
ふぇ、と涙目になって怯える私。
それを見たフウガがタイシを諫める。
「よせ、タイシ。……それで、何か言いたいことがあるんじゃないのか」
真っ直ぐに私を見つめるフウガ。
けれど、その瞳は私の向こうにいる一花を見ている。
まだ、だわ。
私が欲しいのは、この瞳じゃない。
ぐわっと燃えるような熱をどうにか治めて、私は小動物よろしく、フウガと目を合わせる。
「……い、一花が、副生徒会長と良い雰囲気で……」
一番に反応したのはタイシだった。
「誰がお前の言うこと信じんねん! どうせ、嘘や!」
はいはい、そう言うと思ってましたよ。
「あの、だから、確証はないんです。本人に聞いたわけじゃないし……。でも……」
ちょっと真実味が増したでしょ?
相手が素直に聞き入れてくれないときは、きちんとそれを認めてしまえば良いのよ。
人って、自分の言うことをすんなりと聞いてくれる人には信頼しがちだから。
「……具体的には、何を見たんですか」
そう言ったのはケイ。
おお、食いついてきたわね。
寵愛姫には、もう一つ公表されていないルールがある。
これは私も倉庫に入れるようになってから知ったんだけど。
それは、寵愛姫は寵愛姫として、黒閻の幹部以外の者から寵愛を受けてはならないというもの。
つまり黒閻の幹部以外とは付き合っちゃいけないの。好きになってもいけないの。
もちろん、これがばれたときには、寵愛姫の座は剥奪される。
ただの一人の女の子として幸せにね、ってことよ。
ということで、良いよね、一花?
『うん、いいよ』
心の中の一花から許可が出ました。
ありがとうございます、一花様‼
ふぇ、と涙目になって怯える私。
それを見たフウガがタイシを諫める。
「よせ、タイシ。……それで、何か言いたいことがあるんじゃないのか」
真っ直ぐに私を見つめるフウガ。
けれど、その瞳は私の向こうにいる一花を見ている。
まだ、だわ。
私が欲しいのは、この瞳じゃない。
ぐわっと燃えるような熱をどうにか治めて、私は小動物よろしく、フウガと目を合わせる。
「……い、一花が、副生徒会長と良い雰囲気で……」
一番に反応したのはタイシだった。
「誰がお前の言うこと信じんねん! どうせ、嘘や!」
はいはい、そう言うと思ってましたよ。
「あの、だから、確証はないんです。本人に聞いたわけじゃないし……。でも……」
ちょっと真実味が増したでしょ?
相手が素直に聞き入れてくれないときは、きちんとそれを認めてしまえば良いのよ。
人って、自分の言うことをすんなりと聞いてくれる人には信頼しがちだから。
「……具体的には、何を見たんですか」
そう言ったのはケイ。
おお、食いついてきたわね。
寵愛姫には、もう一つ公表されていないルールがある。
これは私も倉庫に入れるようになってから知ったんだけど。
それは、寵愛姫は寵愛姫として、黒閻の幹部以外の者から寵愛を受けてはならないというもの。
つまり黒閻の幹部以外とは付き合っちゃいけないの。好きになってもいけないの。
もちろん、これがばれたときには、寵愛姫の座は剥奪される。
ただの一人の女の子として幸せにね、ってことよ。
ということで、良いよね、一花?
『うん、いいよ』
心の中の一花から許可が出ました。
ありがとうございます、一花様‼
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