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1.主人公は寵愛姫の親友さん
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うーん、なかなかによろしい反応じゃありませんこと?
私はここでもういっちょ、とばかりに、
「だ、だいじょうぶよ。本当に。ただ、ちょっと脅されただけだから、ね?」
ふんわりと、あくまでも優しく笑う。
その奥にちょっとだけ悲しみを残すの。
ほうら、優しい花のような女の子の完成よ。
庇護欲を掻き立てられるでしょう?
心の中では、にやりと不敵に笑っているんだけどね。
うふ。
「はぁ、これだから愛美さんは心配なんですよ」
「どうして総長たちは、愛美さんのことが嫌いなのかねぇ」
「おい、あんまり言うと……」
「まぁ、やばいよな。黒閻追い出されるかもしんねぇしよ」
「けどよ、お前の言うこともわかるぜ」
「確かにな」
「愛美ちゃん、可愛いし、良い子なのによ。一方的に嫌うっていうのがなぁ」
およよよよ。
これは、とっっっっても良い兆候ではないですかねぇ。
下っ端くん達に守られる日も近いのかな?
なんて考えていたら、倉庫の入り口近くが騒がしくなる。
何だ、何だ、とみんなが入り口に注目する。
その傍らで、私は一人、二階の空間を見る。
すると、幹部の二人と総長、そして一花が外に出てきていた。
楽しそうに笑う彼らを一瞥した後、私はまた入り口に意識を戻す。
すると、下っ端というには割と古株の仲間が息を切らして立っていた。
彼も、二階の部屋の外に幹部たちがいることを確認すると、深く息を吸って声をあげた。
「は、白豹に、新しい総長が就任したそうです‼」
一瞬、倉庫内の空気が止まる。
しんとした中、誰かの生唾を呑み込む音だけが響き渡った。
それを皮切りに、衝撃が黒閻を駆け抜けた。
「なっ」
「……嘘、だろ」
「マジ、かよ」
口を開けて呆然とする黒閻たち。
私は、もう一度二階を見る。
一花は何も分かっていない顔をしていた。
その一方で、フウガとタイシ、ケイの三人は無言で険しい表情をしていた。
私はここでもういっちょ、とばかりに、
「だ、だいじょうぶよ。本当に。ただ、ちょっと脅されただけだから、ね?」
ふんわりと、あくまでも優しく笑う。
その奥にちょっとだけ悲しみを残すの。
ほうら、優しい花のような女の子の完成よ。
庇護欲を掻き立てられるでしょう?
心の中では、にやりと不敵に笑っているんだけどね。
うふ。
「はぁ、これだから愛美さんは心配なんですよ」
「どうして総長たちは、愛美さんのことが嫌いなのかねぇ」
「おい、あんまり言うと……」
「まぁ、やばいよな。黒閻追い出されるかもしんねぇしよ」
「けどよ、お前の言うこともわかるぜ」
「確かにな」
「愛美ちゃん、可愛いし、良い子なのによ。一方的に嫌うっていうのがなぁ」
およよよよ。
これは、とっっっっても良い兆候ではないですかねぇ。
下っ端くん達に守られる日も近いのかな?
なんて考えていたら、倉庫の入り口近くが騒がしくなる。
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その傍らで、私は一人、二階の空間を見る。
すると、幹部の二人と総長、そして一花が外に出てきていた。
楽しそうに笑う彼らを一瞥した後、私はまた入り口に意識を戻す。
すると、下っ端というには割と古株の仲間が息を切らして立っていた。
彼も、二階の部屋の外に幹部たちがいることを確認すると、深く息を吸って声をあげた。
「は、白豹に、新しい総長が就任したそうです‼」
一瞬、倉庫内の空気が止まる。
しんとした中、誰かの生唾を呑み込む音だけが響き渡った。
それを皮切りに、衝撃が黒閻を駆け抜けた。
「なっ」
「……嘘、だろ」
「マジ、かよ」
口を開けて呆然とする黒閻たち。
私は、もう一度二階を見る。
一花は何も分かっていない顔をしていた。
その一方で、フウガとタイシ、ケイの三人は無言で険しい表情をしていた。
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