独りぼっちの異星人

高殿アカリ

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 純潔な異星人である彼こそが霧雨の弱点(コンプレックスス)であり、憧れでもあった。そのことに、霧雨はようやっと気が付いたのであった。
 霧雨の腕がシュウの身体の下に差し込まれ、そのまま彼を軽々しく抱き上げた。今にも泣いてしまいそうな表情で、霧雨はシュウを見つめた。
「馬鹿なことをしたものですね。……貴方にそんな弱った姿は似合いません。永遠に、私の憧れでいてもらわなくては」
 ――――無鉄砲で、純粋で、まるで地球人の幼児のように脆くて危うい彼を、私は守る必要があるのかもしれない。
 霧雨は初めて芽生えた感情に戸惑いながら帰還する足を早めた。とにかく今は、一刻も早くシュウを無事医務室に届けなければ、と。
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