独りぼっちの異星人

高殿アカリ

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 シュウの鋭く尖った指先が異星人たちに突き刺さる。牙の生えた口が、唾液を滴らせながら咆哮を生み出す。その真っ黒な瞳に映る世界に果たして光はあるのだろうか。
 霧雨は、シュウの戦闘を静かに見守っていた。そして、彼が最後の一体を両手で引きちぎった時、霧雨はすとんと理解した。
 ――――あぁ、そうか。私と彼は同じだ。独りぼっちの異星人なのだ。
 霧雨はシュウに嫉妬を抱いていた。自分と同じように周囲から忌み嫌われてきたはずなのに、それも地球人ではないくせに、どうして千鶴と対等に笑い合えるのだろう。どうして、きらきらと純粋な好奇心に満ちた瞳をこの薄汚れた惑星に向けられるのだろう。
「貴方はいつもそうです。私の理想を全て攫ってしまう……」
 オーバーヒートの解けたシュウが、どさりと硬い地面に倒れ込む。霧雨の足がシュウの元へと向かった。
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