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それはヒーローのお言葉です。
しおりを挟む「それじゃあ、僕はここまでだから」
ボビーお兄様はそう言って、私の肩をぽんと叩いた。
「入学、おめでとう」
「ありがとうございます」
ボビーお兄様が立ち去ったあと、入学者たちの集まる広間に入ると、皆の視線が一度に突き刺さる。
きっと、女なのに男物の制服を着ているのが珍しいのだろう。
「あ、セシリア」
私に声をかけてきたのは、ジャンだ。
……いや、そもそも私にはジャン以外の友達がいないのでは?
自分の交友関係の狭さに愕然とした。
「セシリア大丈夫? 少し、顔色が悪いみたいだけど」
「あぁ、いや大丈夫だ」
たぶん、ちょっと、悲しいだけだから。
それよりも、先ほどからこちらをうかがっている視線が気になるな。
女子生徒ばかりか、男子生徒までもジャンに釘付けだ。
確かに、ここ数年でジャンはかなりの美少年に成長していた。
幼い頃のコンプレックスだったくすんだ茶髪さえも、親近感が湧くのだろう。
さすがは、ヒロインの弟といったところか。
これは、エドワードだけでなくジャンの身も私が守らなくてはならないな。
何せ、唯一の友なのだから。
同じ位置にあるジャンの顔を覗き込んで、私は宣言した。
「何があっても私がジャンを守るから」
なぜだか苦笑いが返ってきた。
……解せない。
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