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次の日、レナが俺の目の前に睡眠グッズを持ってやってきた。
彼女は最初にアロマキャンドルとマッチを取り出し、
「眠る三十分から一時間前くらいからアロマキャンドルを灯すとよく眠れるわ。それから、電球の光を橙色の小さなものにしておくといいわ。部屋が仄暗いと自然と眠たくなるから」
アロマキャンドルはオレンジの香りだった。
俺が一番好きな香りだ。
「ありがとう」
戸惑いながらアロマキャンドルとマッチを受け取る俺などお構いなしに、彼女は続ける。
「そうそう、眠る前は絶対にスマートフォンやパソコンは使っちゃ駄目よ。ブルーライトって目が覚めちゃうから。どうしても緊急の時は、ナイトモードにして使うことね」
「分かった」
「それと……」
続いて、彼女が取り出したのはホットアイマスクだった。
「これを付けて眠るといいわ」
またもや、オレンジの香りがするものであった。
「あ、あと、ちゃんと夜に湯船に浸かること。めんどくさくても、シャワーは駄目。身体がちゃんと温まらないからね」
何故だろう、なんかレナがお母ちゃんに見えてきたよ。
「ありがとう、お母ちゃん……」
「え?」
ぼそりと呟いた俺の言葉は、彼女には届かなかった。
うん、良かった、良かった。
彼女は最初にアロマキャンドルとマッチを取り出し、
「眠る三十分から一時間前くらいからアロマキャンドルを灯すとよく眠れるわ。それから、電球の光を橙色の小さなものにしておくといいわ。部屋が仄暗いと自然と眠たくなるから」
アロマキャンドルはオレンジの香りだった。
俺が一番好きな香りだ。
「ありがとう」
戸惑いながらアロマキャンドルとマッチを受け取る俺などお構いなしに、彼女は続ける。
「そうそう、眠る前は絶対にスマートフォンやパソコンは使っちゃ駄目よ。ブルーライトって目が覚めちゃうから。どうしても緊急の時は、ナイトモードにして使うことね」
「分かった」
「それと……」
続いて、彼女が取り出したのはホットアイマスクだった。
「これを付けて眠るといいわ」
またもや、オレンジの香りがするものであった。
「あ、あと、ちゃんと夜に湯船に浸かること。めんどくさくても、シャワーは駄目。身体がちゃんと温まらないからね」
何故だろう、なんかレナがお母ちゃんに見えてきたよ。
「ありがとう、お母ちゃん……」
「え?」
ぼそりと呟いた俺の言葉は、彼女には届かなかった。
うん、良かった、良かった。
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