セイ

高殿アカリ

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私の高校には、古くから伝わるある一つの噂がある。

「夜中の十二時になると、黒板消しの妖精が現れて、女子生徒を攫ってしまう」

こんな噂だ。
もちろん、どの黒板消しが妖精なのかは謎。

他にも夜中に突然現れるだとか、いやいや、開かずの間の黒板消しだとか。
本当のところ、どうなんだろう。

怪談話にしては信憑性がないし、かといって、黒板消しの妖精だなんてユニークな噂が埋没することなく噂としてずっとあるのは何だか不思議だ。

そんな風に半信半疑で生徒たちはその噂を捉えていた。
その中の一人だった私は、あと一週間ほどで卒業を迎える現役高校生だ。

高校三年生の最後の一週間といえば、受験期直前、直後の印象だが、生憎私には年明け前に推薦で受けた一般大学からの合格通知が届いていた。

周りが受験で慌ただしい日々の中、私を含む少人数の進路決定者だけがいつもと変わらない日々を送っていた。

これは、そんな卒業までのたった一週間のお話。
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