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第1章
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大吾の目が覚めたのは、次の日の朝だった。
「うーん」
目を擦ろうとして、違和感に気づく。
両腕が動かないのだ。
ガチャガチャと耳慣れない金属音が聞こえ、自分の置かれている状況を理解するのに時間がかかった。
「は?」
一つ、おかしなことに気づくとそこからは早かった。
手の他に足も固定され、その身体は何も身につけていない。
ぼんやりと昨日のことを思い出し、意識を手放す前の自分の行動に赤面する。
そんな気持ちを誤魔化すみたいに、大吾は固定されている手足を激しく動かした。
「おい、雪! これを外せ!!」
家にいるのかどうかも分からない相手に叫ぶ。
ガチャンガチャンと金属が暴れ、大吾の四肢と擦れ合う。
手首や足首に赤い跡がついても大吾はお構いなしだ。
大吾に不思議と恐怖心はなかった。
こんな仕打ちをされても、男のプライドを粉々に打ち砕かれても。
ーーーー相手が、雪だから。
たったそれだけの理由が大吾の心を守っていた。
それほどまでに、大吾もまた雪に依存していたのだ。
「雪! 雪! 聞こえてんだろ?」
声が枯れ、身体が疲弊しても、大吾の前に雪は現れなかった。
何故、雪は現れない。
何処に行った。
何をしている。
大吾は不安だった。
雪がいない。
そんな当たり前だった日常に、漠然とした喪失感を持ち始めていたのだ。
「おい! 早くこれを外してくれ! そうじゃないと、俺……」
俺は……。
その先、何と続けようとしていたのか、大吾自身にも分からなかった。
雪のことしか考えられなくなる未来を想像したのかもしれない。
そして、そんな未来を少しでも嬉しいと思ってしまっている自分がいることにも。
ぞくり、と大吾の背中を得体の知れない何かが駆け抜けた。
それと同時に、大吾の股間が熱を持つ。
「あ、あぁ」
涙に瞳を潤ませ、切なげな声を出して、大吾は自分のそれを見つめた。
悲しいのか。
怒りたいのか。
嬉しいのか。
気持ちいいのか。
大吾にもよく分からなかった。
絶対に分かりたくない、と思った。
「知らなくていい真実もあるもんね、大吾くん。まぁ、僕はそれを暴いてあげることに興奮しちゃうんだけどね」
モニターに映る大吾を見ながら、雪は一人自慰行為に励む。
「大吾くん、僕たち早く一つになりたいね」
恍惚とした表情を浮かべ、息を漏らした雪は自分の精液をモニター上の大吾に擦り付けた。
「大吾くん、可愛いよ。大好きだよ」
ずっと、ずっと、一緒だよ。
「うーん」
目を擦ろうとして、違和感に気づく。
両腕が動かないのだ。
ガチャガチャと耳慣れない金属音が聞こえ、自分の置かれている状況を理解するのに時間がかかった。
「は?」
一つ、おかしなことに気づくとそこからは早かった。
手の他に足も固定され、その身体は何も身につけていない。
ぼんやりと昨日のことを思い出し、意識を手放す前の自分の行動に赤面する。
そんな気持ちを誤魔化すみたいに、大吾は固定されている手足を激しく動かした。
「おい、雪! これを外せ!!」
家にいるのかどうかも分からない相手に叫ぶ。
ガチャンガチャンと金属が暴れ、大吾の四肢と擦れ合う。
手首や足首に赤い跡がついても大吾はお構いなしだ。
大吾に不思議と恐怖心はなかった。
こんな仕打ちをされても、男のプライドを粉々に打ち砕かれても。
ーーーー相手が、雪だから。
たったそれだけの理由が大吾の心を守っていた。
それほどまでに、大吾もまた雪に依存していたのだ。
「雪! 雪! 聞こえてんだろ?」
声が枯れ、身体が疲弊しても、大吾の前に雪は現れなかった。
何故、雪は現れない。
何処に行った。
何をしている。
大吾は不安だった。
雪がいない。
そんな当たり前だった日常に、漠然とした喪失感を持ち始めていたのだ。
「おい! 早くこれを外してくれ! そうじゃないと、俺……」
俺は……。
その先、何と続けようとしていたのか、大吾自身にも分からなかった。
雪のことしか考えられなくなる未来を想像したのかもしれない。
そして、そんな未来を少しでも嬉しいと思ってしまっている自分がいることにも。
ぞくり、と大吾の背中を得体の知れない何かが駆け抜けた。
それと同時に、大吾の股間が熱を持つ。
「あ、あぁ」
涙に瞳を潤ませ、切なげな声を出して、大吾は自分のそれを見つめた。
悲しいのか。
怒りたいのか。
嬉しいのか。
気持ちいいのか。
大吾にもよく分からなかった。
絶対に分かりたくない、と思った。
「知らなくていい真実もあるもんね、大吾くん。まぁ、僕はそれを暴いてあげることに興奮しちゃうんだけどね」
モニターに映る大吾を見ながら、雪は一人自慰行為に励む。
「大吾くん、僕たち早く一つになりたいね」
恍惚とした表情を浮かべ、息を漏らした雪は自分の精液をモニター上の大吾に擦り付けた。
「大吾くん、可愛いよ。大好きだよ」
ずっと、ずっと、一緒だよ。
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