15 / 51
契約結婚、ですか?
しおりを挟む
すると、彼はすっと笑顔を引っ込めて私を地面に降ろした。
ほらね、やっぱり嘘だった。
真実を見抜けた自分に得意げになっていたから、彼がとても楽しそうに私を見ていたことには気付かなかった。
彼は私にもう一度、プロポーズをする。
ただし今度は私の耳を傾けさせる力があった。
「それなら、契約結婚ならどうだ?」
「契約?」
首を傾げた私に彼は意地悪そうな笑みを見せた。
「お前は俺の防波堤になってくれ。NATORIグループの名が欲しくて俺のことを狙う女が多くて困ってんだ」
「ふぅん。それで、私に何かメリットはあるの?」
「俺のものがすべてお前のものになる。お金も権力も、そしてこの身体も」
彼の手が私の腰回りを撫であげる。
ぞくりと震えたのは期待などではない、はずだ。
「つまり、一生遊んで暮らしていけるということ?」
「あぁ、伊織が望むのならば」
彼の指が私の濡れたままの髪をいじる。
「悪くないわね」
楽しそうな笑顔を彼に向けながらも、私の内心は荒れていた。
結局、この人にとっては私が結婚相手でなくても構わないのだろう。
ほらね、やっぱり嘘だった。
真実を見抜けた自分に得意げになっていたから、彼がとても楽しそうに私を見ていたことには気付かなかった。
彼は私にもう一度、プロポーズをする。
ただし今度は私の耳を傾けさせる力があった。
「それなら、契約結婚ならどうだ?」
「契約?」
首を傾げた私に彼は意地悪そうな笑みを見せた。
「お前は俺の防波堤になってくれ。NATORIグループの名が欲しくて俺のことを狙う女が多くて困ってんだ」
「ふぅん。それで、私に何かメリットはあるの?」
「俺のものがすべてお前のものになる。お金も権力も、そしてこの身体も」
彼の手が私の腰回りを撫であげる。
ぞくりと震えたのは期待などではない、はずだ。
「つまり、一生遊んで暮らしていけるということ?」
「あぁ、伊織が望むのならば」
彼の指が私の濡れたままの髪をいじる。
「悪くないわね」
楽しそうな笑顔を彼に向けながらも、私の内心は荒れていた。
結局、この人にとっては私が結婚相手でなくても構わないのだろう。
0
あなたにおすすめの小説
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる