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しおりを挟むそれにも気付かず、俺は話を続けた。
脳裏にはいろんな表情のクレオがいた。
「でも大事なパートナーであることには変わりねぇ。それだけじゃあ駄目なのか?」
こんな世界で、それ以上何が必要だというのだろう。
心から大切にしたいと思える相棒以外の何が。
「どこまでも真っ直ぐなのね。感心するわ」
メリッサが呆れたように笑い、ミレイもそれに同調していた。
「いえ、実を言うとね。あたしたちも同じ国の出身なのよ」
今度は俺の目が限界まで開かれた。
「……そうだったのか」
「初めに言わなくてごめんなさい」
しょんぼりとミレイの眉尻が下がっている。
「いや、構わない。人間同士の会話に化かし合いは必須なんだろう?」
俺の言葉にミレイの罪悪感は少し薄れたようで、安堵の笑みを浮かべていた。
「その、答えにくかったら答えなくても構わない。今、『果てなき王国』はどうなっているか知っているか?」
俺の質問を聞くや否や、彼女たちの顔色が暗くなる。
あまり良い予感はしない。
先に口を開いたのは意外なことにミレイだった。
「もうあの国はないわ。存在しないの」
「十三年前、皇太子の他にもう一人、本当の王位継承者がいるという噂がまことしやかに囁かれ始めたの。その話を聞いた当時の王政に不満を持っていた人々はレジスタンス運動を活発に行なった。彼らは革命軍と名乗り、国王軍と真っ向から対立したの。そしてある夜、革命軍はアンデッドたちを王国内に招き入れた。新しい王の名の下に」
ぶるりとメリッサの身体が震えていた。
「真夜中、突然のアンデッドたちの奇襲に私たちは目を覚ました。そして逃げたの。みんな、逃げ出したの」
ミレイが顔を覆って俯いた。
そんな彼女をメリッサは優しく抱き締める。
「終わる時はあっけなく終わるものね。あたしたちはあの国の生き残り。散り散りになったから残りの人たちが生きているのか、死んでいるのかも分からないわ」
俺の顔が曇っているのに気がついたのか、ミレイが何かを言おうと口を開いた。
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