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愛ってなんだpart.2

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 私の言葉に市川は安心したように震えた息を吐いて、ぎゅっと強く腕に力を込めた。



 助手席に座っている和樹の表情が、一瞬だけ切なげに歪んで、それから呆れたような笑顔になった。

 私ただ、それをバックミラー越しに見ていた。



「ごめんね」



 私の口の動きに気が付いた和樹は、ため息交じりにこう言った。



「まぁ、分かってましたけどね。さ、早く二人のお家に連れて行きますよ。いつまでもここにいられると困りますからね」



「悪いね、和樹」



 そう返した市川も分かっていたんだろう。



 私が和樹の恋心を利用したことを。

 そして、そのことに私が罪悪感を持っていることにも。



 とは言え、後悔はしていないわ。

 だって、私の計画には必要なことだったから。



 人の心を弄ばない方が良いって言った私に、人のこと言えないでしょうと夢乃は返してきたっけ。



 そんなさっきの夢乃の言葉が頭から離れない。

 なんて、どうかしているかしら。




 市川の家に帰ってすぐ、彼は私を後ろから包み込んだ。

 そして、そのまま首の後ろにキスを落とされる。



 優しい彼の指先や唇に、思わず絆されそうになるけれど。



 今まで一線を決して越えなかった私たち。

 そのことに理由があるのかどうかは分からないけれど。



 いつだって私とそういうことになるのを避けていた彼が、今は私を求めている。

 ちょっとだけくすぐったいような気がする。



 だけど……。



 私は振り返って、彼の胸を押し返した。



「ちょっと、待って」
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