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4.ボーイズたちは見守るばかり

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 真っ暗な部屋の中に、愛美さんはいた。

 一花という黒閻の寵愛姫と一緒に眠っていた。



 穏やかな呼吸音だけを聞いていると、特に酷い様子ではないようにも見える。



 けれど、俺の視線がある一点を捉えると、事態はそんなに良いものではないと知った。



 そう、彼女の手首には清潔そうな白い包帯が巻かれていたのだ。

 痛々しいその姿に、俺は思わず視線を逸らした。



 そしてそのまま俺はフウガに顔を向けた。

 説明を求めて。



 すると彼は、愛美さんの身に何があったのかを話してくれた。



「バターナイフで……」



 説明を聞いた後、悔しそうにそう言って唇を噛み締めたのは里奈だ。

 彼女の気持ちは痛い程、俺に伝わってきた。



 俺もまた、同じくらいに悔しかった。

 自分が情けなくて、どうしようもなかった。



 今は安心して眠っているように見える愛美さんの横顔を眺めながら、俺はあの日のことを思い返した。



 市川さんが愛美さんを迎えに来なくなったあの日。

 彼女の家の近くの公園で、俺は愛美さんからあることを頼まれた。



「ねぇ、和樹。……これから先、もし何があったとしても、絶対に私のことを思っていてね。心だけは誰にも渡さないで。……だけど、夢乃の味方をしてあげて」



「え、夢乃って誰ですか。っていうか、それはどういう……」



 そう言った俺の口を彼女は塞いだっけ。



 愛美さん、あのキスは一体どういう意味だったんですか。



 眠る彼女に心の中で問いかけてみても、当然返事は返ってこなかった。
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