その女、女狐につき。2

3.夢乃の女狐劇場

12

　肩をぐいと掴まれて、私の身体は後ろに向いた。



　見るからに不良の男たちが私の周りを取り囲んでいる。



　彼らの視線は私の身体を遠慮なく舐めまわす。

　その厭らしさに心底反吐が出そうだった。



　脳内の警告音が最大になる。



　あぁ、私はこの光景を前にも見たことがある。

　不意にそう気付いてしまうと、後はただ絶望が目の前に広がるだけだった。



　これからされることを知っている。

　記憶を誤魔化すことは出来ても、身体がそれを許さなかった。



　だって、こんなにもよく覚えているんだもの。



　身体は震え、歯も嚙み合わない。

　いつの間にか涙が頬を伝っている。



　私はただ恐怖していた。

　これから起こる最悪の未来に。



　彼らはそんな私の様子が大層お好みのようで。

　汚らしい笑みを浮かべて、私に覆い被さってくる。



　視界が真っ暗になって。

　男たちの手の感触がして。

　荒い息遣いまでもが聞こえてきて。



　私は泣きながら掠れた悲鳴を喉から絞り出した。



「いやぁぁぁぁぁぁ‼」