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2章 王冠に願う果てなき希望――【湖上に馳せる麗しの『乙女』達】

北の聖王《Ⅱ》

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  「じゃ、何か? その政治的な問題に俺の首を勝手に突っ込んだと?」
  「えぇ、そうです」
  「わー、シャウちゃんのいい笑顔……眩しい」
  「……黒だけだって思うけど、未来ちゃんもその政治的な問題に首を突っ込んでるからね。シャウと聖王陛下は、恐ろしい人だよ」

  北欧行きの列車の中で、黒、シャウ・ラン、未来、暁の4人が事の経緯を知る。

  事の発端は、聖王に使える聖王使徒と呼ばれる者達の裏切りであった。
  聖王使徒とは、聖王を守護する直属の兵士のような者であって、その権力は実質聖王の命令とも捉えられた。

  それ故、聖王使徒の裏切り行為は北欧の地を2分する可能性があった。
  表では、優秀な臣下を演じて裏では国家の転覆を狙っていた。


  長い年月を経て、これまで積み重ねてきた計画が完成目前で破綻する。
  聖王は、その圧倒的な力ですべてを支配する事が可能である。しかし、その能力の全貌を誰も知りはしない。
  ただ、倭の黒竜帝と勝るとも劣らないと言う噂で、確かめた者は誰一人存在しない。

  ――が、歴代聖王は女性・・がその席に座っており、聖王と言う称号は血と共に継承されている。

  それ故、過去の聖王が強い力を秘めているとなれば、現在の聖王も強力な力を秘めている。
  そう信じられており、現にブラフマン達北欧の裏で画策する者達はその力を恐れていた。

  「……ですから、橘様と未来様です」
  「――なんで?」

  黒の質問にシャウはニコニコなスマイルで答える。

  「北欧の地に、彼らは戦争をもたらす計画でした。聖王陛下も多くの民を守って、その力を振るう事はできません――」
  「なるほど、強い能力であるがゆえ……対象を1人に絞れない。または、対象を選ぶ事ができない。こんな所か?」
  「いえ……能力の詳細は、私でも知りません。聖王陛下は、ご自分の能力に関しては、一切情報を開示しません」
  「うん、それが安全だよ。私も自分の能力とか、教えないもん」
  「――俺にも?」
  「……少し、考える。……かな?」

  シャウの説明の途中で、黒の独自解釈の後に2人が、イチャイチャする。
  我慢効かず、隣の暁を抱き寄せ肩に頭を乗せる。

  「……甘えたかったの?」
  「はい……我慢できない。そんなシャウは、嫌いですか?」
  「好き嫌いよりも、そもそ――」

  暁の笑顔を未来がカバンで押さえ付ける。
  この後の言葉は良くないと判断した未来のファインプレーによって、シャウの機嫌は保たれている。

  「……つまり、俺の仕事は聖王に仇なす者の排除か?」
  「いえ、違います。お二人にお任せします依頼は――」


  シャウがカバンから、2人の身分証と星型のバッチを取り出し渡す――


  「――教師です」


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