219 / 222
2章 王冠に願う果てなき希望――【湖上に馳せる麗しの『乙女』達】
北の聖王《Ⅱ》
しおりを挟む「じゃ、何か? その政治的な問題に俺の首を勝手に突っ込んだと?」
「えぇ、そうです」
「わー、シャウちゃんのいい笑顔……眩しい」
「……黒だけだって思うけど、未来ちゃんもその政治的な問題に首を突っ込んでるからね。シャウと聖王陛下は、恐ろしい人だよ」
北欧行きの列車の中で、黒、シャウ・ラン、未来、暁の4人が事の経緯を知る。
事の発端は、聖王に使える聖王使徒と呼ばれる者達の裏切りであった。
聖王使徒とは、聖王を守護する直属の兵士のような者であって、その権力は実質聖王の命令とも捉えられた。
それ故、聖王使徒の裏切り行為は北欧の地を2分する可能性があった。
表では、優秀な臣下を演じて裏では国家の転覆を狙っていた。
長い年月を経て、これまで積み重ねてきた計画が完成目前で破綻する。
聖王は、その圧倒的な力ですべてを支配する事が可能である。しかし、その能力の全貌を誰も知りはしない。
ただ、倭の黒竜帝と勝るとも劣らないと言う噂で、確かめた者は誰一人存在しない。
――が、歴代聖王は女性がその席に座っており、聖王と言う称号は血と共に継承されている。
それ故、過去の聖王が強い力を秘めているとなれば、現在の聖王も強力な力を秘めている。
そう信じられており、現にブラフマン達北欧の裏で画策する者達はその力を恐れていた。
「……ですから、橘様と未来様です」
「――なんで?」
黒の質問にシャウはニコニコなスマイルで答える。
「北欧の地に、彼らは戦争をもたらす計画でした。聖王陛下も多くの民を守って、その力を振るう事はできません――」
「なるほど、強い能力であるがゆえ……対象を1人に絞れない。または、対象を選ぶ事ができない。こんな所か?」
「いえ……能力の詳細は、私でも知りません。聖王陛下は、ご自分の能力に関しては、一切情報を開示しません」
「うん、それが安全だよ。私も自分の能力とか、教えないもん」
「――俺にも?」
「……少し、考える。……かな?」
シャウの説明の途中で、黒の独自解釈の後に2人が、イチャイチャする。
我慢効かず、隣の暁を抱き寄せ肩に頭を乗せる。
「……甘えたかったの?」
「はい……我慢できない。そんなシャウは、嫌いですか?」
「好き嫌いよりも、そもそ――」
暁の笑顔を未来がカバンで押さえ付ける。
この後の言葉は良くないと判断した未来のファインプレーによって、シャウの機嫌は保たれている。
「……つまり、俺の仕事は聖王に仇なす者の排除か?」
「いえ、違います。お二人にお任せします依頼は――」
シャウがカバンから、2人の身分証と星型のバッチを取り出し渡す――
「――教師です」
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる