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『おまんじゅうゲーム』開始

悪魔降臨

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「〇〇県△△市××番地◻︎丁目の『セツカ』といいます。悪魔さん、聞こえているなら答えてください。わたしは病気で死にかけたことがあって、その時に天使さんとも繋がれるようになったんです。だから悪魔さんとも繋がれるはずなんです。わたしに『悪』を教えてください。
 余命宣告されたんです。前の病気がぶり返して、もう治らないんです。このまま静かに過ごすのも良いけど、でも、命が終わる前に、何か悪いことをしてみたいんです。何をすればいいのか、アイデアをください。お願いします!!」
 声を聞いた悪魔は、瞬時にその人間の元へ飛んだ。姿、形は無い。だが、この人間の考えていることは手に取るように分かる。悪魔を求める彼女の意識と悪魔の意識は、一心同体になっていた。
 今まで自分は人に優しく、『善い人』として生きてきた。
 ところが、何かが物足りない。ルールを破ったり、無邪気にイタズラをしたり、ちょっかいを出すなんてことをした記憶がない。でもやっぱり、死ぬ前にそういう体験もしてみたい。とは言えやはり、誰かを傷つけることはしたくない。ちょうど良い塩梅で好奇心を満たし、かつ人を傷つけない、優しい「悪さ」を知りたい。
 強欲な奴め、と悪魔は嘲笑した。自分の望みは叶えたい、だが他人を傷つけたくはないだって? さぞお花畑の中で生きてきたのだろう。さては天使の生まれ変わりか? そんなにオレ様の手ほどきが欲しいのなら手伝ってやろう。だがタダではない。最期の瞬間に後悔することになるだろうよ。まあしかし、それも含めて貴様の『願い』なのだろうがな。
 悪魔の容赦無い悪意に対しても、セツカは自信満々に、独特の身振り手振りを交えて答えた。
 「はい。それに関しては大丈夫です。わたしには天使さんたちも付いていますし、ドロドロのグルグルのような状態にはならないと思います」
 普通の人間相手には意味不明にも聞こえるだろう、このセツカの言葉は皮肉にも、意識が繋がった悪魔相手には、双子の兄弟を相手に話しているが如くごく自然に伝わった。
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