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はじまりの章

父よ、母よ、妹よ

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「よし、ソーヤ!今日はここまでにしよう!」
「は…はい…。ありがとう…父さん…。」
「ソーヤ、炎系と水系の魔法は、そろそろ様になってきたな!」
「やった!っててて…。」
父さんとの魔法の修行を終え、俺はズキズキと痛むコメカミを押さえる。
魔法の威力や精度は、精神力に大きく左右される。
そのため、父さんの修行の後は決まってコメカミがズキズキする。
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ!」
心配そうに俺を覗き込む父さんに、俺は笑顔で答える。
「ならいいが…。風系と土系はまだ心もとないし、光系はまだまだ頑張らないとなっ。」
「うん!頑張るよっ!」
俺の返事に父さんはニッコリ微笑んだ。

俺の名前は[廿日市 宗弥(はつかいち そうや)]、転生者だ。
事故で死んで、この[ルデアソウト]に[ソーヤ・トゥエイン]として生まれ変わり、この間10歳になった。
ここはルデアソウトの中でも大国のアストラ王国の西の端、遠く離れた山奥の山村ヤフベ村。
俺は、ここに住む、わりと裕福な家庭に転生し、第二の人生を歩み出した。
外見は女神様に頼んだお陰で、イケメンの父さんと、美人の母さん、オマケで美人の姉と妹に囲まれて、俺もイケメン確定!のハズだが、今の所いまいち。
近所ではがっかりイケメンと呼ばれているが、家族には磨けば光る!とフォローされている。
内面が外見に出るってゆーし、内面をしっかり磨いていこう!俺は、この第二の人生もしっかり生きてやるんだっ!

女神様に『魔法めっちゃ使いたい』とお願いした結果、父さんが魔法使いだった。
おかげで毎日しごいてもらえる…。
まあ、魔力が人より多いという資質もあった。
村の老人が言うには、名の通った魔法使いだったようだ。
ま、今はこんな田舎にいるんだから、そこそこ名の通った、位だろうが、
俺は厳しくも優しい父さんが大好きだ。

「ソーヤ、しっかり休んでおけよ。午後からは母さんの修行だゾ。」
「…はい。」
母さんの修行…家へ向かう足が重くなる。
女神様に『ケンカがつよくなりたい』とお願いした結果、母さんが戦士だった。
おかげで毎日しごいてもらえる…。
まあ、普通の子供より力持ちという資質もあった。
この母さんも、村の老人が言うには、名の通った戦士だったようだ。
ま、父さん同様こんな田舎にいるのだから、そこそこ…敢えて言う事でもないか。
俺は、そんな母さんも大好きだ。

コメカミのズキズキが収まるころ、
「さあ、今日もビッシビシいくわよーっ!」
母さんが今日も張り切っている。
「おねがいします…。」
「さてソーヤ、今日はどっちにする?剣?槍?それとも…た♡い♡じゅ♡つ?」
美人に新婚夫婦のように迫られ。母さんとは言え不覚にもドキドキしてしまう。
「じゃ、じゃあ体じゅー」
言い終わる前に体が一回転して、地面に叩き付けられる。
「お兄ちゃん、頑張ってー。」
3歳下の妹[シエル]が木陰で応援してくれている。
よぉし、お兄ちゃん、頑張っちゃうゾ!

「もう一丁!」
背中の痛みに耐えながら、母さんに掴み掛る!
「えいっ!」
「ぐぇっ!」
俺は母さんの肩に担がれ、体が半回転して、頭から垂直落下で地面に落とされる。
母さんは、声は可愛いく美人なのだが、ヤル事がエグい…。
「地面に…デスバレーボムは…ダメ…。」
「お兄ちゃーーーーんっ!!!」
シエルの声が山に響いた。

夕食を取ると、一日が終わる。
「おやすみなさい。」
両親に挨拶をし、ベッドに入る。
俺はベッドの中で、自分のステータスを確認する。
女神様に頼んで、[鑑定]のスキルを付けてもらったのだ。
「よしよし…、順調順調。」
俺はベッドの中でほくそ笑む。
「前世では努力しても報われない事が多かったけど…。」
毎日の修行は大変だが、こうやって毎日の成長を数値として実感できるのは嬉しいし、何よりやりがいに直結する。
「よしっ!明日も修行、頑張るぞっ!」

俺は毎日の修行に励み、そして、16の誕生日ー。
俺は山狩りにあっていた。


つづく
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