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アルフラーデ王国連合と異世界勇者

カシネvsエフタフ その4(決着)

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徐々に土埃の煙幕が薄れていく。
斬り飛ばされたカシネの腕越しに、
エフタフの巨体が土埃の隙間から見え始める。
その巨大な影の横、振り下ろされた大斧の脇に小さな影、カシネの姿も見える。

ーガクッー
カシネの斬られた腕から血が吹き出し、片膝をつく。
「また…痛いん…ですけど…ねぇ?」
「ふんっ」
エフタフは鼻で笑うと、
「…見事…御見事。」
ーボタッ、ボタボタッ!ー
エフタフの喉には、カシネの刀が深々と突き刺さっていた。
刀が刺さった喉からは血があふれ出し、突き刺さった刀を伝い、血が地面に垂れ落ちる。

そして、
「ゴポッ!ゴボッ!」
喉から血と泡を吹きながら、エフタフの巨体はゆらりと揺れると、力なく天を仰ぎ、
ードッ…ズウゥゥンッッッ!!ー
土煙を上げながら、仰向けに倒れた。

ーどすんっー
「はは…ヤ、ヤバかったぁ…。」
力が抜けて、カシネもその場にへたり込む。
ービリッー
溢れる血を止めるべく、破いた袖で傷口を縛ろうとする。
しかし、血が流れすぎたのか、力が入らず上手く縛れない。
『あ、ヤバ…。』
目眩がしてグニャリと視界が歪む。

歪んだ視界の中に夢か幻か、ハヤトの姿が見える。
『あ…ハヤ…ト…様……。』
遠くに浮かぶハヤトの姿に向かい、無意識に手を伸ばす。
「あぁ…。」
短くため息を吐くと、
カシネの体から力が抜け、陽炎のように揺れながら、上体が崩れる。
薄れゆく意識の中、夜のお勤め用に皆が来ている寝巻きに身を包んだ自分を夢想し、
『…いて…もらいたかったなぁ……。』

地面に倒れる寸前、誰かに抱えられた。
「あ…幻じゃなかった…?」
「強くなったな、カシネ。」
遠く聞こえるその声の主は、ハヤトだった。
「…ハヤト様…見てくれまし…た…?勝ち…ましたよ…。」
「ああ、しっかり見せてもらった。素晴らしかったぞ!」
ハヤトはカシネを強く抱きしめる。
「はは…痛いん…ですけど…。」
「あっ、すまんっ!」
「そうだ…ガトフさんは…?」
「大丈夫、気にするな。」
「そうですか…よかった…。
…ちょっと…休ませて…ください…ね。」
カシネはそう言うと、満足そうに微笑みながらそっと目を閉じた。
「ああ、ああ。ゆっくり休め。」

「本当に、強くなったなぁ、カシネ。」
ハヤトは感慨深げにカシネを見つめると、再生魔法を唱える。
斬り飛ばされた腕を再生しながら、先ほどのカシネとエフタフの死闘を思い出す。
『逆袈裟に振り上げられた大斧を、カシネはしゃがみ込んで避けた。
膝の力を抜き、前に倒れ込む様にしゃがみ込んだことで、一瞬、エフタフの目にはカシネが消えたように見えただろう。
そして、刀を肩を支点に逆手に構え、振り下ろされた大斧を刀の鎬で受け流しながら、エフタフの振り下ろしの力を蓄える。そして、刀の先を抑える右手を離すことで肩を中心に刀が回転し、その力を利用して刀を跳ね上げ、エフタフの喉元深くを突き刺したー。』

「ただ、無防備になった右手は斬られてしまう…か。」
ハヤトはカシネの右腕に目をやる。
「よし、こんなもんだろう。…傷は…。」
前回はカシネの希望で傷を残したが、今回はどうしたもんか?
傷とにらめっこで悩んでいると、
「…傷は、消してください。」
カシネが目を開ける。

「おお、カシネ。まだ休んでろよ。」
「ガトフさんが心配です。早く行きましょう。」
「だから、ガトフなら大丈夫だって…。で、傷は消すのか?」
「ええ、キレイな肢体からだで可愛がっていただきたいですから。」
ハヤトの問いに、カシネは少し頬を染めながら、
にっこりとハヤトに微笑みかけた。


つづく

ーあとがきー
文章では説明できなかったので図を付けましたが、いかがでしょうか?
伝わりましたか??
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