上 下
42 / 224
ダンジョン攻略と4人の新人騎士

ザ・ライトスタッフ その1

しおりを挟む
「待ってたぞっ!サスティっ!!」
「うっさい!ばかっ!!」
えぇっ?!俺、なんで罵倒されんの??
と、とにかく、ガルドントを倒すための最後のピースが帰って来てくれた!

「よ、よしっ!みんな、俺が奴を抑えてる間に、
サスティのトコまで下がれっ!」
俺はアルフリーヌたちに指示を出す。
「「「はいっ!」」」
「エイクっ!」
「はいっ?!」
ミラたちと一緒に下がるタイミングを計っていたエイクに近づき、
「必勝法を授けるっ!」
エイクは一瞬、キョトンとしたがすぐに気を取り直し、
「は、はいっ!」
満面の笑顔で俺の指示を聞く。

「はは、必勝法とは大きく出ましたね!
これは、全力で邪魔しないとw」
そう言うとガルドントが腕を振りかぶる。
また石を飛ばしてくるつもりか。
「ちょっと待ってろっ!」
俺は足元にあった石をガルドント目掛け蹴飛ばす。
「くっ!」
石は見事ガルドントの肩口に当たり、
魔法はキャンセルされる。

「以上だっ!エイク、わかったな!」
「はいっ!」
「よしっ!行くぞっ!」
「「「はいっ!」」」
彼女たちの返事を聞き、俺はガルドントに飛び回し蹴りを放つ。

「ふぅっ!」
上体を反らして避けるガルドント。
「もう一丁っ!」
俺は着地せずそのまま後ろ回し蹴りにつなげる。
「がぁっ!」
こちらはガルドントの横っ面に直撃、
ガルドントを後方に吹っ飛ばす。

「ははっ!体術は苦手かっ?!」
俺は追撃に飛び込みの横蹴りを放つが、
「アナタが強すぎるんですよっ!」
上段受けで流され、残りの3本の腕で掴みにくる。
「おっとw」
俺は掴まれないよう、後ろに飛退る。
「何か策を授けていたようですが、
そんな付け焼き刃が通用するとお思いですかっ?」
ガルドントが4本の腕で襲いかかる。
「それを試すんだよっ!お前でなっ!」
俺は人間の2倍の手数を意に介さず捌く。

俺はガルドントの相手をしながら、
サスティたちの方に目をやる。
ちょうど、3人がサスティと合流した所のようだ。
さて、うまくやってるかな?
風魔法で4人の会話を盗み聞く。

「あー、そのー、えっと…。」
うん、そりゃ気まずいよね!
サスティはしどろもどろだ。
アルフリーヌは『ふぅ』、と一息つくと、
「ミラさん。」
「はい。」
言うが早いかミラが、
「歯ぁ食いしばれぇっ!!」
「え?」
ーごんっ!!!ー
魔法無しでも聞こえる程の鈍い音とともに、
ミラにぶん殴られて、アルフリーヌが吹っ飛ぶ。
「いっ!ぇじゃねぇっあ!痛いじゃないですかっ!」
「黙りなさいっ!」
アルフリーヌが仁王立ちで一括。
「言いたい事も、貴女の猫被りも、今は置いておきますっ!」
「……はい。」
そして、俺の方に向き直り、
「ハヤト様っ!いけますわっ!!!」

「さて、準備できたようだぜ。
お前は準備できたのか?」
「?なんのです?」
「あいつらに、ヤられる心の準備だよっ!」
ーガンッ!!ー
「がはっ!」
俺はガルドントのアゴに飛び膝を叩き込むと、
アルフリーヌたちの元へ空間移動で飛ぶ。

「くそっ!やはりアレは手に負えな…。」
アゴをさすりながら立ち上がるガルガントに、
ードンッ!!!ー
「なっ?!」
ガルガントが大楯のチャージで吹き飛ぶ。
「さっきまでのチャージより重っ?!」
ーザウッ!!ー
「がっ?!」
大楯に気を取られているガルガントの背後に一太刀。

「小癪なっ!」
浅かったのかガルガントはすぐに反撃、
大剣の出所、アタッカー目掛けて腕を振り回す。
が、その腕は虚しく空を切る。
「?!さっきまでより早いっ?!」

攻撃が空を切ったせいで体勢が崩れた所へ、
水の壁ウォーターウォールっ!」
ードオォッ!!ー
「ぶわっ?!」
巨大な水の壁がガルガントへ打ち付ける。

押し流され、片膝を着いたガルガントを、
「えいっ!」
間髪入れず、エイクが斬りつける。
「ちいぃっ!」
エイクの剣を後ろに飛びながら避けた所を、
「おりゃあぁっ!!」
ーゴンッ!!ー
「くぅっ!」
横から大盾がチャージで吹き飛ばす。

「くそっ!」
吹き飛ばされたガルガントに、
「獲りましたわっ!!」
大剣が横薙ぎに一閃。
「っ!」
ガルガントは間一髪しゃがんで避ける。
が、ヤツの背中から血が噴き出し、
背中から生えていた腕が一本、宙に舞う。

「ぐうぅぅっ!!」
苦悶の表情でこちらを睨みつけるガルガントに、
「おっ!いい顔出来るじゃないか!」
俺は4人に補助呪文をかけながら挑発する。

「…これが必勝法ですか?」
「ああっ!」
そう、担当を変えたのだ。
アルフリーヌの大盾をミラに渡してタンクへ。
ミラの大剣をアルフリーヌに渡してアタッカーへ。
サスティを補助、回復魔法担当から魔法アタッカーへ。
そして、エイクは物理アタッカーのまま回復担当、殴りヒーラーってヤツか?
今は俺が補助呪文を担当しているが、
ゆくゆくは補助呪文をサスティとエイクが担当する。
これが俺が考えた、この4人の陣形だ。

最初にアルフリーヌが小さい身体で大盾背負ってタンクしてたのが最大の違和感だった。
あんなの、体力があるミラがタンクする方が合理的だろう。
先祖代々タンクだからって、こだわる気持ちもわかるが、
適性は大切だ。
まぁ、あの大盾をある程度使えるほどの筋力が付いたおかげで、
ミラの大剣を振り回し、かつ小柄な体形を生かしてスピードもある、
素晴らしい大剣使いになれたわけだが。

サスティも今のこの世界では威力が高い水系の攻撃魔法に専念できるのは大きい。
補助魔法、回復魔法に縛られるのはもったいない。
回復魔法はエイクも使えるしな。
前線ですばやく使用できるのが利点だ。

「どうだ?付け焼刃の切れ味は?」
「~~~~~~っ!!小賢しい真似をっ!」
俺の挑発にガルガントが切れた。
「メチャクチャ効いてるじゃねえかっ!」


つづくっ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について

ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに…… しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。 NTRは始まりでしか、なかったのだ……

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

【18禁】ゴブリンの凌辱子宮転生〜ママが変わる毎にクラスアップ!〜

くらげさん
ファンタジー
【18禁】あいうえおかきくけこ……考え中……考え中。 18歳未満の方は読まないでください。

【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。

飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。 ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。 そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。 しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。 自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。 アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!

処理中です...