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第三章 獣隷王国と二人目の嫁
その27 エピローグ その2
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「で、主様とセレーテ。
これからどうするのじゃ?」
「ああ、それなら…。」
「船に乗ってる獣人達と、レインズの領地に移住する事にしたよ。
コイツの領地、大魔森林の開拓をしようと思う。」
「なるほどの、よい考えじゃな。」
アクサナが感心する。
「そうだろっ。コイツ、思ったより頭が回るんだ。」
「よせよ、オマエほどじゃないさ。」
二人が褒め合っていると、
「おかしいでしょうがっ!!」
アレクシィの怒声が砦に響く。
「な、何怒ってるんだ、アレクシィ?」
「レインズ様の事を呼び捨てだったり、
コイツだったり、挙句オマエ呼ばわりまでっ!
この女からは、レインズ様への敬意が感じられませんっ!」
「確かに、それは問題じゃな。」
白熱するアレクシィに、アクサナも賛同する。
「狼女っ!」
「なっ?!何だその呼び方はっ!」
「うるさいっ!しれっとレインズ様の奥方に収まって!うらやましいっ!」
なんか、うらやましいと聞こえた気がするが、
レインズは聞こえなかった事にする。
「大体、レインズ様のどこが好きなのっ!
こちらに御座しますアクサナ様は、
私とレインズ様の好きなトコを語り合うだけで数時間は過ぎてしまう猛者っ!
アナタにそれ程のレインズ様への愛はあるのっ?!」
熱弁を振うアレクシィと、
そのアレクシィに褒められ(?)、得意げなアクサナ。
それを少し冷ややかに見つめるセレーテ。
なんだ、この絵面は…。
「…お前…二人にそんな事させてるのか?」
「違うよっ!二人が勝手にやってるんだよっ!」
引き気味のセレーテにレインズは慌てて弁解する。
「あ!なんですか、不服なんですかっ?!」
「ワシ達の主様への愛が重荷じゃとっ?!」
「違う違うっ、そんな事はないっ!とっても嬉しいよっ!」
「なんだ、やっぱり言わせてるのか。」
「いやいや、違うんだって!」
このままでは話が進まない、そう思ったセレーテは大きく深呼吸すると、
「…こ、コイツの好きなトコは…その…頼りになる所だ。」
「そうですね、レインズ様は頼りになります。」
「…あと、その、義理堅いトコは信頼出来る。
助けに来てくれるかは、半信半疑だったからな…。
コイツの姿を見た時は嬉しくて泣きそうになった…。」
「そうですね、信頼は大切です。」
「…それと、強いトコだな。
オレを助けてくれた時なんて、目にも止まらない素早さだった。」
「そうですね、レインズ様は御強いですからっ!」
照れながらレインズの好きな所を挙げてゆくセレーテに、
アレクシィはそのどれもに尤もだと大きく頷く。
ちなみに、レインズは恥ずかしさのあまり床に突っ伏していた。
「では、呼び方はどうです?」
「呼び方?」
「レインズ様をコイツだとかオマエだとか…。
許されるとお思いですか?」
「うっ…。
あ~…ん~…お…御前…様?」
アレクシィに睨まれ、セレーテが苦し紛れに答える。
「様を付ければイイってもんじゃー…っ!
……アリですね。」
「アリなのかよっ!」
セレーテの苦し紛れの案に、妙に納得顔のアレクシィ。
「でも、さ…。」
「なんです?」
「敬意とか…こ、好意って、その…こんな風に人前で言うもんじゃないだろ?」
頬を染めて俯くセレーテ。その姿はしおらしく、可愛らしい。
セレーテのその姿を見てアレクシィが、
「合格ですっ!」
「は?」
アレクシィの突然の合格宣言に、呆気に取られるセレーテ。
「よかったのぉ、セレーテ。
アレクシィの合格が出たぞ、喜べ。」
「なんの事だよっ?!」
「セレーテ様っ!貴女の今のその態度に、
レインズ様への愛がしっかり見て取れましたっ!
よって、レインズ様の奥方として合格ですっ!」
「アレクシィが認めたなら、ワシにも異存はないの。」
「はぁ…?」
未だ事態を消化しきれないセレーテ。
「ま、二人に受け入れられたって事だよ。」
レインズは混乱しているセレーテの肩を叩く。
「…いや、御前…様が認めれくれればそれでいいんだけど。」
「なんじゃっ!第一夫人であるワシをないがしろにするつもりかっ?!」
「第二小姑の私も黙ってませんよっ!」
「第二小姑っ?!」
「あー…、俺には姉がいるからな、その事だろう。」
「さて、アレクシィの合格も出たことじゃし、そろそろバルクへ帰ろうかの?」
「そうですね!では、『レインズ様の好きなトコ言い合いっこ』の続きは、船の中で!」
「まだやるのかよっ!
もぉっ、なんなんだよ、オマエらっ!!!」
セレーテの声が砦に響き、爺の死に顔が心なしか微笑んだように見えたー。
つづく
これからどうするのじゃ?」
「ああ、それなら…。」
「船に乗ってる獣人達と、レインズの領地に移住する事にしたよ。
コイツの領地、大魔森林の開拓をしようと思う。」
「なるほどの、よい考えじゃな。」
アクサナが感心する。
「そうだろっ。コイツ、思ったより頭が回るんだ。」
「よせよ、オマエほどじゃないさ。」
二人が褒め合っていると、
「おかしいでしょうがっ!!」
アレクシィの怒声が砦に響く。
「な、何怒ってるんだ、アレクシィ?」
「レインズ様の事を呼び捨てだったり、
コイツだったり、挙句オマエ呼ばわりまでっ!
この女からは、レインズ様への敬意が感じられませんっ!」
「確かに、それは問題じゃな。」
白熱するアレクシィに、アクサナも賛同する。
「狼女っ!」
「なっ?!何だその呼び方はっ!」
「うるさいっ!しれっとレインズ様の奥方に収まって!うらやましいっ!」
なんか、うらやましいと聞こえた気がするが、
レインズは聞こえなかった事にする。
「大体、レインズ様のどこが好きなのっ!
こちらに御座しますアクサナ様は、
私とレインズ様の好きなトコを語り合うだけで数時間は過ぎてしまう猛者っ!
アナタにそれ程のレインズ様への愛はあるのっ?!」
熱弁を振うアレクシィと、
そのアレクシィに褒められ(?)、得意げなアクサナ。
それを少し冷ややかに見つめるセレーテ。
なんだ、この絵面は…。
「…お前…二人にそんな事させてるのか?」
「違うよっ!二人が勝手にやってるんだよっ!」
引き気味のセレーテにレインズは慌てて弁解する。
「あ!なんですか、不服なんですかっ?!」
「ワシ達の主様への愛が重荷じゃとっ?!」
「違う違うっ、そんな事はないっ!とっても嬉しいよっ!」
「なんだ、やっぱり言わせてるのか。」
「いやいや、違うんだって!」
このままでは話が進まない、そう思ったセレーテは大きく深呼吸すると、
「…こ、コイツの好きなトコは…その…頼りになる所だ。」
「そうですね、レインズ様は頼りになります。」
「…あと、その、義理堅いトコは信頼出来る。
助けに来てくれるかは、半信半疑だったからな…。
コイツの姿を見た時は嬉しくて泣きそうになった…。」
「そうですね、信頼は大切です。」
「…それと、強いトコだな。
オレを助けてくれた時なんて、目にも止まらない素早さだった。」
「そうですね、レインズ様は御強いですからっ!」
照れながらレインズの好きな所を挙げてゆくセレーテに、
アレクシィはそのどれもに尤もだと大きく頷く。
ちなみに、レインズは恥ずかしさのあまり床に突っ伏していた。
「では、呼び方はどうです?」
「呼び方?」
「レインズ様をコイツだとかオマエだとか…。
許されるとお思いですか?」
「うっ…。
あ~…ん~…お…御前…様?」
アレクシィに睨まれ、セレーテが苦し紛れに答える。
「様を付ければイイってもんじゃー…っ!
……アリですね。」
「アリなのかよっ!」
セレーテの苦し紛れの案に、妙に納得顔のアレクシィ。
「でも、さ…。」
「なんです?」
「敬意とか…こ、好意って、その…こんな風に人前で言うもんじゃないだろ?」
頬を染めて俯くセレーテ。その姿はしおらしく、可愛らしい。
セレーテのその姿を見てアレクシィが、
「合格ですっ!」
「は?」
アレクシィの突然の合格宣言に、呆気に取られるセレーテ。
「よかったのぉ、セレーテ。
アレクシィの合格が出たぞ、喜べ。」
「なんの事だよっ?!」
「セレーテ様っ!貴女の今のその態度に、
レインズ様への愛がしっかり見て取れましたっ!
よって、レインズ様の奥方として合格ですっ!」
「アレクシィが認めたなら、ワシにも異存はないの。」
「はぁ…?」
未だ事態を消化しきれないセレーテ。
「ま、二人に受け入れられたって事だよ。」
レインズは混乱しているセレーテの肩を叩く。
「…いや、御前…様が認めれくれればそれでいいんだけど。」
「なんじゃっ!第一夫人であるワシをないがしろにするつもりかっ?!」
「第二小姑の私も黙ってませんよっ!」
「第二小姑っ?!」
「あー…、俺には姉がいるからな、その事だろう。」
「さて、アレクシィの合格も出たことじゃし、そろそろバルクへ帰ろうかの?」
「そうですね!では、『レインズ様の好きなトコ言い合いっこ』の続きは、船の中で!」
「まだやるのかよっ!
もぉっ、なんなんだよ、オマエらっ!!!」
セレーテの声が砦に響き、爺の死に顔が心なしか微笑んだように見えたー。
つづく
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