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第三章 獣隷王国と二人目の嫁

その21

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潮風を頬に受け、船は大海原を進む。
革命軍は王国軍最新鋭船を接収、そのまま一路セレーテの母国、狼人国へ。

「これ…持ってきてよかったのか?」
「戦いに勝ったら、船をもらう!当然の権利だ!」
船の中を見て歩くセレーテはご機嫌だ。

「しかし、こんな目立つモノ…。王国も取り返しに来るかもしれないぞ?」
「それまでに改修して、色も塗り替えて、違う船って事にしよう!」
「…言っちゃ悪いが、お前達狼人族のどこにこんな船作る金があるんだって話だよ…。
最初っから誤魔化せる気がしないよ?」

心底不安そうなレインズにセレーテは、
「なんだなんだ、あんな大胆な救出作戦を考えるのに、
肝っ玉の小さいヤツだなぁっ!」
「なっ?!なんだと?!」
「まあ安心しろ、オレにいい考えがあるからさ!」
「いい考え?」
「それはー…。」

セレーテが説明しようとした時、
「セレーテ様ぁっ!港が見えてきましたよぉっ!」
「もうかっ!やっぱ外輪船は早いなっ!この大きさでこのスピード…、
ますます気に入った!
レインズっ!上陸の準備だ!歓迎するぞ!」
「あ!おいっ!」
レインズの呼びかけには応じず、セレーテは上陸準備にかかる。

「まったく…。」
レインズは呆れ顔だが、この船が素晴らしいのは確かだ。
とは言え、セレーテはこの船で帝国との密輸を行うつもりだろうか…。
「目立ってしょうがないだろうに…。」

「おーい、レインズぅ~!」
セレーテが甲板の向こうの方で手をブンブン振りながら、レインズを呼ぶ。
上陸準備が整ったのだろう。
上機嫌のセレーテは満面の笑みだ。

「…ホント、可愛いな。」
ぼそりと呟いて、レインズは慌てて周囲を見渡す。
もちろん、誰もいない。
「…アクサナ達、迎えに行きそびれたな。
まああの砦が再び攻められたりって事はないだろうが…。」

「流れで狼人国まで来たけど、早く戻らないとな…。」
「レインズぅ~!早くこぉ~いっ!」
「わかった、わかったよ、うるさいなぁっ!」
レインズは手招きするセレーテの方へ歩いて行った。

つづく

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