20 / 94
第二章 巨大スライム討伐と一人目の嫁
その13
しおりを挟む
「さて、挨拶に行くとするかの。」
「挨拶って?」
「輿入れの挨拶に決まっとろうが。」
レインズの疑問に、アクサナはさも当然と言った風に答える。
「こ、輿入れっ?」
「そうですよね、ご結婚されるんですもの、ご挨拶は必要ですよねっ!」
事態を飲み込み切れないレインズに対して、先ほどまでは結婚に否定的だったアレクシィは乗り気だ。
「幼き日に契りを結び、夫婦となるを約した。
その日より再び相まみえる日を心待ちにし、そして今日ついに、再会できたのじゃ。
主様っ、機は熟したのじゃっ!祝言を上げようぞっ!」
「おめでとうございますっ、坊ちゃんっ!」
アクサナの力説を聞き、涙目のアレクシィが手を叩いて祝福してくれる。
「いやいや、急展開だな…。
子供の頃に結婚の約束をしたのは事実だが、そんな子供の頃の話を真に受けてー…。」
レインズは二人の勢いに腰が引ける。
ーざわっ!!ー
一瞬で背中に冷や汗が…。
辺りに禍々しい魔力が充満し始める。
明らかに敵意を持った魔力、しかも対象はレインズで、
発生源は言うまでもなく、アクサナだ。
「主様はワシとの約束を、幼子の戯言であったと…。そう申すのか…。」
「い、いや、それは…。」
「主様は戯れに女子と契りを結ぶような、痴れ者であったと…。」
「ひどっ!坊ちゃんヒドいですっ!乙女の純情を弄ぶなんてっ!」
「お前っ、いつからソッチ側なんだよっ!」
「私は元からナルコシア王女殿下との婚約は反対だったんですっ!
あの軽薄な尻軽王女、事故の後坊ちゃんとの婚約を破棄して、すぐに公爵家のー…っ。」
「やめろ、アレクシィ。俺の仕える王家のご息女だぞ。」
レインズは自身の主家の娘への侮辱に、アレクシィを諌める。
「失礼しましたっ!でもっ、坊ちゃんにはアクサナ様の方が断然お似合いですっ!」
「お前、さっきまであんなに魔族だなんだと反対してたのに…。」
「アクサナ様とお話しして、どれほど坊ちゃんを慕われているか、十二分に伝わりましたっ!
魔族であろうと問題ございませんっ!このお方であれば坊ちゃんの伴侶ふさわしいっ!
不肖このアレクシィも安心して坊ちゃんをお婿に出せますっ!」
先ほど和気藹々とレインズを褒めそやしあった間に、二人に友情の様なモノが芽生えたのだろうか。
アレクシィはアクサナとの婚姻を執拗に勧めてくる。
「お前、自分で何言ってるかわかってるのか?」
「わかってないのは坊ちゃんですっ!アクサナ様はこんなにー…っ。」
「もう良い、アレクシィよ。そなたの気持ち、よぉ伝わった。ありがとう。」
「アクサナ様…。」
「ワシも主様に久方ぶりに会うたせいで、はしゃぎすぎたようじゃ。
主様にも好みというものがあろう、残念じゃがワシでは主様のお眼鏡に叶わんかったようじゃ…。
主様はそなたの様な大きな乳が好みなのじゃろう、口惜しいかな、こればかりは我にもどうにも出来ぬ…。」
アクサナが目に涙を浮かべ、自分のペッタンこの胸をさすりながら無理に微笑む。
「うぅ…。アクサナ様、なんと健気な…っ!
お分け出来る事なら、お分けいたしますのにっ。」
アクサナの痛々しい作り笑いに涙を誘われ、アレクシィがもらい泣きの涙を袖で拭う。
「わかった、わかったからっ!
とりあえず、屋敷に帰ろう。助けてもらった礼もしたいしな。」
二人の涙ながらの訴えにレインズは折れる形で、
3人は屋敷に向かったー。
つづく
「挨拶って?」
「輿入れの挨拶に決まっとろうが。」
レインズの疑問に、アクサナはさも当然と言った風に答える。
「こ、輿入れっ?」
「そうですよね、ご結婚されるんですもの、ご挨拶は必要ですよねっ!」
事態を飲み込み切れないレインズに対して、先ほどまでは結婚に否定的だったアレクシィは乗り気だ。
「幼き日に契りを結び、夫婦となるを約した。
その日より再び相まみえる日を心待ちにし、そして今日ついに、再会できたのじゃ。
主様っ、機は熟したのじゃっ!祝言を上げようぞっ!」
「おめでとうございますっ、坊ちゃんっ!」
アクサナの力説を聞き、涙目のアレクシィが手を叩いて祝福してくれる。
「いやいや、急展開だな…。
子供の頃に結婚の約束をしたのは事実だが、そんな子供の頃の話を真に受けてー…。」
レインズは二人の勢いに腰が引ける。
ーざわっ!!ー
一瞬で背中に冷や汗が…。
辺りに禍々しい魔力が充満し始める。
明らかに敵意を持った魔力、しかも対象はレインズで、
発生源は言うまでもなく、アクサナだ。
「主様はワシとの約束を、幼子の戯言であったと…。そう申すのか…。」
「い、いや、それは…。」
「主様は戯れに女子と契りを結ぶような、痴れ者であったと…。」
「ひどっ!坊ちゃんヒドいですっ!乙女の純情を弄ぶなんてっ!」
「お前っ、いつからソッチ側なんだよっ!」
「私は元からナルコシア王女殿下との婚約は反対だったんですっ!
あの軽薄な尻軽王女、事故の後坊ちゃんとの婚約を破棄して、すぐに公爵家のー…っ。」
「やめろ、アレクシィ。俺の仕える王家のご息女だぞ。」
レインズは自身の主家の娘への侮辱に、アレクシィを諌める。
「失礼しましたっ!でもっ、坊ちゃんにはアクサナ様の方が断然お似合いですっ!」
「お前、さっきまであんなに魔族だなんだと反対してたのに…。」
「アクサナ様とお話しして、どれほど坊ちゃんを慕われているか、十二分に伝わりましたっ!
魔族であろうと問題ございませんっ!このお方であれば坊ちゃんの伴侶ふさわしいっ!
不肖このアレクシィも安心して坊ちゃんをお婿に出せますっ!」
先ほど和気藹々とレインズを褒めそやしあった間に、二人に友情の様なモノが芽生えたのだろうか。
アレクシィはアクサナとの婚姻を執拗に勧めてくる。
「お前、自分で何言ってるかわかってるのか?」
「わかってないのは坊ちゃんですっ!アクサナ様はこんなにー…っ。」
「もう良い、アレクシィよ。そなたの気持ち、よぉ伝わった。ありがとう。」
「アクサナ様…。」
「ワシも主様に久方ぶりに会うたせいで、はしゃぎすぎたようじゃ。
主様にも好みというものがあろう、残念じゃがワシでは主様のお眼鏡に叶わんかったようじゃ…。
主様はそなたの様な大きな乳が好みなのじゃろう、口惜しいかな、こればかりは我にもどうにも出来ぬ…。」
アクサナが目に涙を浮かべ、自分のペッタンこの胸をさすりながら無理に微笑む。
「うぅ…。アクサナ様、なんと健気な…っ!
お分け出来る事なら、お分けいたしますのにっ。」
アクサナの痛々しい作り笑いに涙を誘われ、アレクシィがもらい泣きの涙を袖で拭う。
「わかった、わかったからっ!
とりあえず、屋敷に帰ろう。助けてもらった礼もしたいしな。」
二人の涙ながらの訴えにレインズは折れる形で、
3人は屋敷に向かったー。
つづく
0
お気に入りに追加
728
あなたにおすすめの小説
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

悪女と名高い聖女には従者の生首が良く似合う
千秋颯
ファンタジー
これは歴史上で一番血の似合う聖女が不死身の従者と共にいくつもの国を巡る話。
社交界の悪女と呼ばれる公爵家次女、クリスティーナ・レディング。
悪い噂が付き纏うということ以外は至って普通の令嬢であった彼女の日常は、ある日を境に一変。
『普通』であった彼女は『規格外』となる。
負傷した騎士へ近づいたクリスティーナは相手の傷を瞬時に癒してしまったのだ。
この世界で回復魔法を使えるのは『聖女』と呼ばれるただ一人の存在のみ。
聖女の力に目覚めたクリスティーナの日常はこの日を境に失われた。
――ところで、どうして私は従者の生首を抱えて走っているのかしら。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる