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高等部3年生
アリアの好きな人 3/4
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ランチの件を気にしながらも一日の授業を終え、寮へ帰ろうと一人教室を出る。
すると、廊下を挟んだ向かい側にケリーが立っていた。
いつも笑顔のケリーが、真剣な表情で私を見つめている。
「……アリアさんに話したい事があります。少しよろしいですか?」
声のトーンも低く、普段の明るさはどこにもない。
ひとまずは教室を離れ、人けのない場所へと移動し、改めて顔を合わせる。
「どうしたの?」
「実は……先ほどマイヤさんに会って、とても失礼な事を言われました」
……マイヤ?
うーん、『もう少し話したい事があった』と言ってたから、その事かな?
「今日のお昼の件について、いきなり『さっきは思い描いていたアリアちゃんと違う面を見て困ったんでしょう? よく笑う分には真似しやすいけど、怒るとなると難しいものね。どのタイミングで怒ればいいの? 怒ったら相手は不快にならない? って心配になっちゃうわよね』と、嫌みたっぷりに言われました」
その時の事を思い出したのか、怒りながらケリーが話している。
細かいセリフまで覚えているあたり、よほど気に障ったのかもしれない。
「それだけじゃありません。『アリアちゃんは駆け引きでものを言う人じゃないし、もっと単純な子なの。ケリーさんの目的が見えないけど、アリアちゃんを利用しているなら止めて』と、まるで私がアリアさんを利用しているかのような口ぶりでした」
怒りに身を震わせたケリーが、キッと睨むように私を見る。
単純……は置いといて、きっとマイヤは……。
「マイヤさんは男性から人気があるみたいですけど……性格はよくないと思います! なぜアリアさんが仲良くしているのかが不思議で仕方ないです!」
ずっと話し続けているせいか、ケリーの息が少し上がっている。
それでも怒りは収まらないようで、一向に口の動きが止まる気配はない。
「マイヤさんは、アリアさんの傍にいるには相応しくない方だと思います!! それに……カウイさんも」
……? カウイ??
「以前カウイさんに、私が『アリアさんに似ているとよく言われるんです』と話したら、『? アリアに似ている要素なんて1つもないよ』って!」
えっと……んん?
それのどこが怒る要素なんだろう?
「話し掛けても全然応えてくれないし……もしかしたら、私の事を見下してるのかもしれません! 明るくて、誰とでも気さくに話すアリアさんには、カウイさんも相応しくない方だと思います!!」
「…………」
あまりの勢いに何も言わず、ただ静かに様子を眺める。
反応が返ってこない事が気になったのか、ケリーが覗き込むように私の顔を見つめてきた。
「……アリアさん? 聞いてます??」
不思議そうな表情を浮かべつつ、小さな声で尋ねてくる。
「うん、聞いてたよ。それで……ケリーはマイヤになんて言ったの?」
「えっ、あっ。特に何も……」
急にケリーが口ごもった。
「じゃあ、今話した事を直接マイヤに伝えたら?」
「えっ?」
思った事をそのまま口にすると、ケリーが大きく目を見開いた。
心底意外そうな顔をしている。
「事実と異なる事があるなら否定すればいい。マイヤはきちんと聞いてくれる人だよ」
言い返す人でもあるけど……と、心の中だけで追加しておく。
私の言葉が受け入れられないのか、ケリーが目に見えて動揺している。
「……アリアさんは、こういう時に助けてくれる人じゃ……」
こういう時に助ける人……?
ケリーの中には、私の理想像のようなものがあるみたいだ。
「突き放すような言葉になってしまうけど、今の話を聞いて私ができる事は何もないよ。それに私はマイヤの良くない所も知ってるし、逆にいい所もたくさん知ってる。何よりマイヤの事が大好きだから。傍にいるのに相応しい……ううん、傍にいたい人か、いたくない人かは自分で決める」
自分の気持ちをきっぱりとケリーに伝える。
何を言われようと、私の事を誰かに決められたくない。
「それに、カウイは人を見下すような人じゃないよ。私はケリーがカウイに対して、何を怒っているのかが分からない」
私の言葉に、ケリーが肩を震わせる。
下を向き、自分のつま先へと目をやりながら、ボソリと呟いた。
「アリアさんは……そんな事、言いません」
んっ?
アリアさんは、そんな事を言う人だよ??
「私はアリアさんが気がついていないと思って……アリアさんの事を思って話したんです! だから……私の味方をしてほしかったです!!」
勢いよく顔を上げると、涙ぐみながら私に激しく詰め寄ってくる。
いつものケリーとは別人みたいだ。
きっとケリーは、私の事を思って話した……と思ってるのかもしれないけど。
「ケリーがさっき話した事は、少なくとも私の事を思って話したとは思えなかったよ?」
「どうしてですか? 私よりもマイヤさんの方が好きなんですか!?」
んんん?
どこから、その思考回路になったの??
「あの2人より、私の方がアリアさんを慕っています! 私が心酔している人……心から好きな人は、アリアさんだなのに!!!」
今までにないくらい大きい声で、ケリーが私に向かって叫んだ。
心酔……? ケリーが私に??
……ん?
予想外の展開に何も返す事ができず、私とケリーの間に沈黙が流れる。
正直、このままケリーの気持ちが落ち着くかと思ったけれど……どうやら無理だったらしい。
ケリーが興奮気味に話し続けている。
「アリアさんはなんで、カウイさんやマイヤさんの味方をするんですか!?」
「ええと……ケリー、一旦落ち着いて?」
ついでに、私も落ち着こう。
ケリーの言いたい事がいまいちよく分からないけど、私に似ている事もあって、仲間意識みたいなものがあるのかな?
それがあまりにも強すぎて、独占欲が湧いてるのかもしれないなぁ。
要は……私に依存しているという事なのかな??
憤るケリーに、私が掛けてあげられる言葉は……。
「私はケリーの事も好きだよ? 可愛い後輩というかなんていうか……」
弾かれたように、ケリーがパッと私の方へ顔を向ける。
「んー、正直に話すと、私の真似をしているようにも思えてしまって“どうしてかな?” という疑問もあるし、どう接していいのか分からない部分もある。だけど、慕ってくれてるのも分かるから。慕われて嫌な気分にはならないしね」
さっき『アリアに似ている要素なんて1つもない』とカウイに言われて怒ったという事は、裏を返せば『私に似てる』と言われたいという事だ。
……そこが1番の謎なんだけど。
「どうして、ケリーは私に似せたいの?」
また興奮しちゃうかな? と思いつつも尋ねる。
涙目になりながらも、ケリーはまっすぐに私を見つめてきた。
「……アリアさんは私の人生を変えてくれた人。私の中では憧れ……いえ、憧れ以上の聖なる存在なんです!」
すると、廊下を挟んだ向かい側にケリーが立っていた。
いつも笑顔のケリーが、真剣な表情で私を見つめている。
「……アリアさんに話したい事があります。少しよろしいですか?」
声のトーンも低く、普段の明るさはどこにもない。
ひとまずは教室を離れ、人けのない場所へと移動し、改めて顔を合わせる。
「どうしたの?」
「実は……先ほどマイヤさんに会って、とても失礼な事を言われました」
……マイヤ?
うーん、『もう少し話したい事があった』と言ってたから、その事かな?
「今日のお昼の件について、いきなり『さっきは思い描いていたアリアちゃんと違う面を見て困ったんでしょう? よく笑う分には真似しやすいけど、怒るとなると難しいものね。どのタイミングで怒ればいいの? 怒ったら相手は不快にならない? って心配になっちゃうわよね』と、嫌みたっぷりに言われました」
その時の事を思い出したのか、怒りながらケリーが話している。
細かいセリフまで覚えているあたり、よほど気に障ったのかもしれない。
「それだけじゃありません。『アリアちゃんは駆け引きでものを言う人じゃないし、もっと単純な子なの。ケリーさんの目的が見えないけど、アリアちゃんを利用しているなら止めて』と、まるで私がアリアさんを利用しているかのような口ぶりでした」
怒りに身を震わせたケリーが、キッと睨むように私を見る。
単純……は置いといて、きっとマイヤは……。
「マイヤさんは男性から人気があるみたいですけど……性格はよくないと思います! なぜアリアさんが仲良くしているのかが不思議で仕方ないです!」
ずっと話し続けているせいか、ケリーの息が少し上がっている。
それでも怒りは収まらないようで、一向に口の動きが止まる気配はない。
「マイヤさんは、アリアさんの傍にいるには相応しくない方だと思います!! それに……カウイさんも」
……? カウイ??
「以前カウイさんに、私が『アリアさんに似ているとよく言われるんです』と話したら、『? アリアに似ている要素なんて1つもないよ』って!」
えっと……んん?
それのどこが怒る要素なんだろう?
「話し掛けても全然応えてくれないし……もしかしたら、私の事を見下してるのかもしれません! 明るくて、誰とでも気さくに話すアリアさんには、カウイさんも相応しくない方だと思います!!」
「…………」
あまりの勢いに何も言わず、ただ静かに様子を眺める。
反応が返ってこない事が気になったのか、ケリーが覗き込むように私の顔を見つめてきた。
「……アリアさん? 聞いてます??」
不思議そうな表情を浮かべつつ、小さな声で尋ねてくる。
「うん、聞いてたよ。それで……ケリーはマイヤになんて言ったの?」
「えっ、あっ。特に何も……」
急にケリーが口ごもった。
「じゃあ、今話した事を直接マイヤに伝えたら?」
「えっ?」
思った事をそのまま口にすると、ケリーが大きく目を見開いた。
心底意外そうな顔をしている。
「事実と異なる事があるなら否定すればいい。マイヤはきちんと聞いてくれる人だよ」
言い返す人でもあるけど……と、心の中だけで追加しておく。
私の言葉が受け入れられないのか、ケリーが目に見えて動揺している。
「……アリアさんは、こういう時に助けてくれる人じゃ……」
こういう時に助ける人……?
ケリーの中には、私の理想像のようなものがあるみたいだ。
「突き放すような言葉になってしまうけど、今の話を聞いて私ができる事は何もないよ。それに私はマイヤの良くない所も知ってるし、逆にいい所もたくさん知ってる。何よりマイヤの事が大好きだから。傍にいるのに相応しい……ううん、傍にいたい人か、いたくない人かは自分で決める」
自分の気持ちをきっぱりとケリーに伝える。
何を言われようと、私の事を誰かに決められたくない。
「それに、カウイは人を見下すような人じゃないよ。私はケリーがカウイに対して、何を怒っているのかが分からない」
私の言葉に、ケリーが肩を震わせる。
下を向き、自分のつま先へと目をやりながら、ボソリと呟いた。
「アリアさんは……そんな事、言いません」
んっ?
アリアさんは、そんな事を言う人だよ??
「私はアリアさんが気がついていないと思って……アリアさんの事を思って話したんです! だから……私の味方をしてほしかったです!!」
勢いよく顔を上げると、涙ぐみながら私に激しく詰め寄ってくる。
いつものケリーとは別人みたいだ。
きっとケリーは、私の事を思って話した……と思ってるのかもしれないけど。
「ケリーがさっき話した事は、少なくとも私の事を思って話したとは思えなかったよ?」
「どうしてですか? 私よりもマイヤさんの方が好きなんですか!?」
んんん?
どこから、その思考回路になったの??
「あの2人より、私の方がアリアさんを慕っています! 私が心酔している人……心から好きな人は、アリアさんだなのに!!!」
今までにないくらい大きい声で、ケリーが私に向かって叫んだ。
心酔……? ケリーが私に??
……ん?
予想外の展開に何も返す事ができず、私とケリーの間に沈黙が流れる。
正直、このままケリーの気持ちが落ち着くかと思ったけれど……どうやら無理だったらしい。
ケリーが興奮気味に話し続けている。
「アリアさんはなんで、カウイさんやマイヤさんの味方をするんですか!?」
「ええと……ケリー、一旦落ち着いて?」
ついでに、私も落ち着こう。
ケリーの言いたい事がいまいちよく分からないけど、私に似ている事もあって、仲間意識みたいなものがあるのかな?
それがあまりにも強すぎて、独占欲が湧いてるのかもしれないなぁ。
要は……私に依存しているという事なのかな??
憤るケリーに、私が掛けてあげられる言葉は……。
「私はケリーの事も好きだよ? 可愛い後輩というかなんていうか……」
弾かれたように、ケリーがパッと私の方へ顔を向ける。
「んー、正直に話すと、私の真似をしているようにも思えてしまって“どうしてかな?” という疑問もあるし、どう接していいのか分からない部分もある。だけど、慕ってくれてるのも分かるから。慕われて嫌な気分にはならないしね」
さっき『アリアに似ている要素なんて1つもない』とカウイに言われて怒ったという事は、裏を返せば『私に似てる』と言われたいという事だ。
……そこが1番の謎なんだけど。
「どうして、ケリーは私に似せたいの?」
また興奮しちゃうかな? と思いつつも尋ねる。
涙目になりながらも、ケリーはまっすぐに私を見つめてきた。
「……アリアさんは私の人生を変えてくれた人。私の中では憧れ……いえ、憧れ以上の聖なる存在なんです!」
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