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高等部3年生
コンテストへの勧誘
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そうと決まれば……と、一度に声を掛けるため、お昼にみんなを呼び出した。
久しぶりに8人でランチを食べる。
みんなが一緒だと緊張しないし、ね。
……さて、なんて切り出そう??
「アリア、どうしたの? 何か話したそうな顔をしてるけど」
私を見て、オーンがにっこりと微笑む。
「う、うん。その、“エンタ・ヴェリーノ学校祭”のナンバーワンコンテストなんだけど……みんなが参加したら楽しそうだなぁーと思って」
みんなの顔色をうかがいながら、話を切り出す。
私の言葉に、オーンがゆっくりと口を開いた。
「アリア……主催者の方にお願いされたんだね」
「うん。あはは」
とりあえず、笑ってごまかそう。
「もちろん無理強いはするつもりはないから……。あ、でも、この中なら誰が優勝するんだろうね?」
何気なく思った事をそのまま伝える。
私の幼なじみは素敵な人ばかりだし……うん、誰が選ばれてもおかしくないよね。
「……まぁ、私でしょうね。 正直、参加してもいいのだけれど……私が参加しちゃうと優勝者が決まっているようなものだから、つまらないじゃない?」
何気なく言ったセリフのはずが、思わぬ方向へと向かってしまったらしい。
まだコンテストに出てすらいないのに、セレスが勝ち誇った表情をしている。
「うふ。それはどうかなぁ? (私が出たら私が優勝だろうから)分からないんじゃないかな?」
マイヤがにっこりとセレスに笑い掛ける。
目の錯覚かもしれないけど、2人の間にはすでに火花が散っているように見えてしまう。
「2人はない。アリアが一番」
ルナ、ありがとう。
本音だろうけど、私の優勝は……参加者が1人とかじゃない限り、確実にない!!
すると、マイヤが私の方へと視線を移し、含み笑いを浮かべてみせた。
……この笑い方をする時に、いい事はなかった気がする。
「アリアちゃんは、私達が参加したとしたら誰に投票するの?」
──やっぱり!!
「そんなの、大親友の私に決まってるわ!」
「私だし」
セレスとルナが睨み合っている。
「うふ。私かもしれないよ? (可愛さなら2人に負けないもの)」
挑発するようにマイヤが2人に話し掛ける。
気迫に押されつつ、3人の顔を恐る恐る覗き込む。
「投票しない……」
というのはダメ? と、小さな声で言い掛けた所で不穏な空気を感じた。
マイヤが私に向かって、にこっと微笑んでいる。
「まさか自分から私たちに声を掛けておいて投票しない、なんて言わないわよね? うふ」
……おっしゃる通りでございます。
そこまで考えていなかった……私が悪い。
「……はい、投票します」
私が元気なく答えると、セレスが勢いよく立ち上がった。
「ふふふ。面白いじゃない。参加するわ!! アリアのナンバーワンは、この私よ!!!」
「もちろん(面白そうだから)私も参加しよーっと」
セレスのやる気スイッチが入った!
マイヤに関しては、セレスを挑発する為に参加するような……。
「ルナちゃんはどうするの? このままだと、私かセレスちゃんがアリアちゃんに選ばれちゃうよ??」
「……でる」
えっ! ルナも出るの!?
「うふ。面白くなりそうね。エウロくん達はどうするの?」
マイヤが活き活きし過ぎている気が……。
当分、サウロさんと会えないから刺激が欲しいのかな?
「(アリアが他の男性に投票するかもしれないのか)……参加しよう」
真っ先にオーンが参加表明!!
オーンの参加を聞いて、ミネルが軽く息を吐いた。
「オーンが参加するなら、優勝は決まったようなものだな」
確かに……オーン以外参加しないなら優勝かも。
ユーテルさんは……うん……。
「……俺も参加する!」
えっ!! エウロも参加!?
「エウロは、こういうの苦手なんじゃ?」
私が尋ねると、エウロが苦笑しながら顎をポリポリとかいている。
「そうなんだけど……アリアに選ばれたいから!!(選ばれたらプロポーズするきっかけになる! そして、返事は大会でもらう!!)」
うっ……まさかの返答。
エウロのたまに出るド直球にどう返していいものか……。
その前に私だけの投票で優勝にはならないよー!
「聞き捨てならないな」
どう答えるべきかオロオロしている私よりも早く、近くにいたミネルが声を上げる。
「優勝しないものに出るつもりはなかったが……僕も参加しよう」
ミ、ミネルも参加するの!?
あれ? なんか気軽に面白そうと思っていたコンテストが……どんどん予定外の方向に向かっている気がする。
「カウイはどうする?」
オーンがカウイに微笑み掛ける。
カウイが顎に手を添えると、少しだけ考えるように目を伏せた。
「そうだね……こういうのは得意じゃないんだけど……」
カウイが私に顔を向けた後、優しい口調でオーンに返す。
「アリアの頼みだから出ようかな」
まさかの全員参加!?
声は掛けたけど……さすがにこんな事になるとは思ってなかった。
うーん。でも、これはこれで面白いかもしれない。
テスタコーポ大会の時もみんなで勝負したけど、あの時はペア同士。
今回は内容こそ違うものの、完全に個人戦だもんね。
果たして、誰がエンタ・ヴェリーノのナンバーワンか……。
……と、その前に!
投票はするけど、これだけは言っておかないと!!
「投票はするけど、誰に投票したかは言わないよ!?」
「うん、分かってるよ」
マイヤが笑顔で答える。
えっ! 言わなくていいの??
驚いて周りを見れば、セレスやオーン達も『いいよ』と言ってくれている。
なんだ。『誰に投票したか教える』前提だと思ってたから、一安心。
……そう。もう皆さんは気がついているかもしれない。
この時の私は、自分が顔に出やすい性格という事をすっかり忘れ、安心しきっていた。
そして、みんなの中で『エンタ・ヴェリーノ ナンバーワンコンテスト』は、もはや『アリア ナンバーワンコンテスト』に変わっていたのだが……私が気づくのはもう少し後の事になる。
久しぶりに8人でランチを食べる。
みんなが一緒だと緊張しないし、ね。
……さて、なんて切り出そう??
「アリア、どうしたの? 何か話したそうな顔をしてるけど」
私を見て、オーンがにっこりと微笑む。
「う、うん。その、“エンタ・ヴェリーノ学校祭”のナンバーワンコンテストなんだけど……みんなが参加したら楽しそうだなぁーと思って」
みんなの顔色をうかがいながら、話を切り出す。
私の言葉に、オーンがゆっくりと口を開いた。
「アリア……主催者の方にお願いされたんだね」
「うん。あはは」
とりあえず、笑ってごまかそう。
「もちろん無理強いはするつもりはないから……。あ、でも、この中なら誰が優勝するんだろうね?」
何気なく思った事をそのまま伝える。
私の幼なじみは素敵な人ばかりだし……うん、誰が選ばれてもおかしくないよね。
「……まぁ、私でしょうね。 正直、参加してもいいのだけれど……私が参加しちゃうと優勝者が決まっているようなものだから、つまらないじゃない?」
何気なく言ったセリフのはずが、思わぬ方向へと向かってしまったらしい。
まだコンテストに出てすらいないのに、セレスが勝ち誇った表情をしている。
「うふ。それはどうかなぁ? (私が出たら私が優勝だろうから)分からないんじゃないかな?」
マイヤがにっこりとセレスに笑い掛ける。
目の錯覚かもしれないけど、2人の間にはすでに火花が散っているように見えてしまう。
「2人はない。アリアが一番」
ルナ、ありがとう。
本音だろうけど、私の優勝は……参加者が1人とかじゃない限り、確実にない!!
すると、マイヤが私の方へと視線を移し、含み笑いを浮かべてみせた。
……この笑い方をする時に、いい事はなかった気がする。
「アリアちゃんは、私達が参加したとしたら誰に投票するの?」
──やっぱり!!
「そんなの、大親友の私に決まってるわ!」
「私だし」
セレスとルナが睨み合っている。
「うふ。私かもしれないよ? (可愛さなら2人に負けないもの)」
挑発するようにマイヤが2人に話し掛ける。
気迫に押されつつ、3人の顔を恐る恐る覗き込む。
「投票しない……」
というのはダメ? と、小さな声で言い掛けた所で不穏な空気を感じた。
マイヤが私に向かって、にこっと微笑んでいる。
「まさか自分から私たちに声を掛けておいて投票しない、なんて言わないわよね? うふ」
……おっしゃる通りでございます。
そこまで考えていなかった……私が悪い。
「……はい、投票します」
私が元気なく答えると、セレスが勢いよく立ち上がった。
「ふふふ。面白いじゃない。参加するわ!! アリアのナンバーワンは、この私よ!!!」
「もちろん(面白そうだから)私も参加しよーっと」
セレスのやる気スイッチが入った!
マイヤに関しては、セレスを挑発する為に参加するような……。
「ルナちゃんはどうするの? このままだと、私かセレスちゃんがアリアちゃんに選ばれちゃうよ??」
「……でる」
えっ! ルナも出るの!?
「うふ。面白くなりそうね。エウロくん達はどうするの?」
マイヤが活き活きし過ぎている気が……。
当分、サウロさんと会えないから刺激が欲しいのかな?
「(アリアが他の男性に投票するかもしれないのか)……参加しよう」
真っ先にオーンが参加表明!!
オーンの参加を聞いて、ミネルが軽く息を吐いた。
「オーンが参加するなら、優勝は決まったようなものだな」
確かに……オーン以外参加しないなら優勝かも。
ユーテルさんは……うん……。
「……俺も参加する!」
えっ!! エウロも参加!?
「エウロは、こういうの苦手なんじゃ?」
私が尋ねると、エウロが苦笑しながら顎をポリポリとかいている。
「そうなんだけど……アリアに選ばれたいから!!(選ばれたらプロポーズするきっかけになる! そして、返事は大会でもらう!!)」
うっ……まさかの返答。
エウロのたまに出るド直球にどう返していいものか……。
その前に私だけの投票で優勝にはならないよー!
「聞き捨てならないな」
どう答えるべきかオロオロしている私よりも早く、近くにいたミネルが声を上げる。
「優勝しないものに出るつもりはなかったが……僕も参加しよう」
ミ、ミネルも参加するの!?
あれ? なんか気軽に面白そうと思っていたコンテストが……どんどん予定外の方向に向かっている気がする。
「カウイはどうする?」
オーンがカウイに微笑み掛ける。
カウイが顎に手を添えると、少しだけ考えるように目を伏せた。
「そうだね……こういうのは得意じゃないんだけど……」
カウイが私に顔を向けた後、優しい口調でオーンに返す。
「アリアの頼みだから出ようかな」
まさかの全員参加!?
声は掛けたけど……さすがにこんな事になるとは思ってなかった。
うーん。でも、これはこれで面白いかもしれない。
テスタコーポ大会の時もみんなで勝負したけど、あの時はペア同士。
今回は内容こそ違うものの、完全に個人戦だもんね。
果たして、誰がエンタ・ヴェリーノのナンバーワンか……。
……と、その前に!
投票はするけど、これだけは言っておかないと!!
「投票はするけど、誰に投票したかは言わないよ!?」
「うん、分かってるよ」
マイヤが笑顔で答える。
えっ! 言わなくていいの??
驚いて周りを見れば、セレスやオーン達も『いいよ』と言ってくれている。
なんだ。『誰に投票したか教える』前提だと思ってたから、一安心。
……そう。もう皆さんは気がついているかもしれない。
この時の私は、自分が顔に出やすい性格という事をすっかり忘れ、安心しきっていた。
そして、みんなの中で『エンタ・ヴェリーノ ナンバーワンコンテスト』は、もはや『アリア ナンバーワンコンテスト』に変わっていたのだが……私が気づくのはもう少し後の事になる。
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