一番モテないヒロインに転生しましたが、なぜかモテてます

Teko

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高等部2年生

カリーナ元王妃捕獲大作戦!! 1/4

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カリーナ王妃のそっくりさんに会うべく、5人で例の一軒家へと向かう。


「カリーナ元王妃は、“本当”に病で亡くなっているんだよな?」
「そう聞いてるよ、としか私も言えない。ただ、死因は感染症だったから、一部の人しか看取れなかったと聞いている」

歩きながら、ミネルがオーンに確認している。

「……まぁ、仮に生きてたとしても80代か。オーンが見たのは若い時の王妃。どちらにせよ、考えにくいな」

何となくだけど、ミネルが想像している事が分かる。

「《癒しの魔法》には、死者の蘇生ができる禁断の魔法があるみたいなんだ。禁断の魔法を使って蘇ったとか……はあり得ないかな?」

以前、エレと行った特別図書館で読んだ本。
みんなも知ってるかもしれないけど、その時に得た知識をそのまま伝える。

「もしくは……」

私に続き、カウイが口を開く。

「留学中に読んだ本の中には、他者から生命エネルギーを奪い取る事で自身の細胞を活性化させる──つまり、若返る魔法というのがあったよ。これもまた禁止されている魔法だけどね」
「よく他国の禁断の魔法を知る事ができたな」

ミネルが素朴な疑問をカウイに投げかける。
この国では特別図書館に入れる人しか知りえない情報だもんね。

「留学先では禁断の魔法に関する書籍も自由に読めたよ」
「国によって全然ルールが異なるんだな」

エウロが感心したように頷いている。

「そういえば、私とオーンの報告しかしていないけど、ミネルとエウロ、カウイの方はどうだったの?」
「ああ、そうか。突然の事で話していなかったな。結論から言うと、似顔絵を見せても『見た事がある』と答えた人間はいなかった」

歩みを止める事なく、ミネルが話し続ける。

「だが、その中で疑わしい人物が1人だけいた」
「俺はミネルに言われるまで、全然気がつかなかったけど……」
「お前は人を信じすぎだ。疑う事を覚えた方がいい」

ミネルの助言? に、エウロが苦笑しながら、あごをポリポリとかいている。

「疑わしい人物にだけジュリアという名前を伝えたが、何の反応も示さなかった。この点については嘘をついているように見えなかったから、もしかすると名前を名乗っていないか、偽名を使っているのかもしれない」

名前はともかく、ジュリアを知っている可能性は高いという事かな?
自分の報告を終えたミネルが、今度はカウイの方へと目を向けた。

「カウイはどうだった?」

ミネルからの問い掛けに、カウイがゆっくりと首を横に振っている。

「残念ながら、知ってそうな人はいなかったよ」
「話している所申し訳ないけど──着いたよ」

オーンが立ち止まり、少し離れた場所に建つ一軒家を指差す。
考えるように一瞬だけ間を置いた後、ミネルが口を開いた。

「ひとまず僕とアリア、エウロの3人で行く。警護の人たちには、バレない距離でついてきてもらおう」

あれ? オーンとカウイは?

「2人は何かあった時の為に、ここで待機してくれ」

ミネルの指示に、オーンとカウイが静かに頷く。
みんなの動きを改めて確認すると、ミネルが私を見た。

「“魔法の色”が見えたと言ってたな? 本当はすぐにでも魔法を封じ込めてほしいが、こちらが怪しい行動をする事で何も話してくれない可能性もある。まずは様子を見る。だが、少しでも怪しい行動をしたら、すぐに魔法を封じ込めろ」
「分かった!」

勢いよく返事はしたけど……ジュリア以外の人の魔法を封じ込めた事がなかった。
やり方もよく分かっていないままなのに、上手く出来るんだろうか。

私の判断が遅れれば、ミネルとエウロにも被害が及ぶ。
失敗したら、どうしよう。

「余計な事は考えるな。アリアはその方が上手くいく」

私の不安を察してくれたのか、ミネルが横から声を掛けてくれる。
黙って頷くと、カウイが真剣な表情でミネルを見た。

「何分、待てばいい?」
「30分だ。もし家に招かれて、30分で出てこなかったら来てくれ」
「……分かった」

そう約束し、私とミネル、エウロが家に向かって歩き出す。
途中、エウロがミネルに尋ねた。

「どうして、このメンバーなんだ?」

そう言われれば、そうかも。
私が選ばれたのは魔法を封じ込める為だよね、きっと。

「オーンの場合は変装しているとはいえ、先ほどの話から顔を知られている可能性が高い。だから、避ける事にした」

なるほど。

「カウイは《火の魔法》だ。《水の魔法》とは相性が悪い」

家の近くまで来たところで、揃って足を止めた。
ミネルがさっきよりも小さい声でエウロに話し掛ける。

「エウロ。何かあれば、アリアを連れて逃げろ。一切、迷うな。それがお前を選んだ理由だ。いいな?」

淡々と話していたミネルの表情が、真剣なものへと変わっている。
戸惑いつつも、ミネルの気持ちに応えるようにエウロが返事をした。

「……分かった」
「い……」

『嫌だ』と、言い掛けた言葉をグッと飲み込む。

ただ『嫌だ』と言うだけなら簡単だ。
嫌だと否定するなら、それに見合う意見がないとダメだ。

みんなの無事を願うなら、私が魔法を封じ込めればいいだけの話だ。
もしくは逃げ出して、オーンとカウイに助けを求めた方が確実だ。

そう決意する私の隣で、エウロが柔らかい表情でミネルを見つめている。

「ミネルは、かっこいいな」
「よせ。そんな趣味はない」

不本意だと言わんばかりに、ミネルが険しい表情を浮かべる。
意味が伝わったのか、エウロが途端に慌て出した。

「い、いや、そういう意味じゃないぞ?」
「当たり前だ」

緊張した空気の中、2人のやり取りに思わず笑いそうになる。
でも、お陰で少しリラックスできたかも。

そこで一旦会話を止め、家の前まで移動する。
ドアの前に立ち、気持ちを整えたところでミネルが私とエウロを見た。

「名前を聞かれたら偽名を使えよ。さて、と。ドアをノックするぞ?」
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