一番モテないヒロインに転生しましたが、なぜかモテてます

Teko

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高等部2年生

それぞれの思惑 4/4

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※カウイ視点の話です。



カウイの分析と思惑
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気がつくと、いつも自然とアリアの話題になっている。

今もそうだ。
みんなで『アリアが踊れるか』という会話で盛り上がっている。

少し考えるような素振りを見せた後、オーンが口を開いた。

「事前に説明をして、練習しておいてもらうしかないね」
「そ、そうだな。アリアならすぐに覚えるさ!」

自分に言い聞かせるようにエウロが応えている。
そもそも、アリアが踊れないという前提で、話が進んでいるのが可笑しい。

思えば、アリアと一緒にこういったパーティーに出るのは初めてだな。
みんなも同じ事を考えてそうだけど、折角なら一緒に踊りたい。


逆にアリア以外の人と踊るのは抵抗があるけど、今回ばかりはそうも言ってられない。
ダンスの時に協力を仰ぐのだから。

「……さっきのは冗談として、俺は(元別館メンバーの)誰に声を掛ければいいかな?」

俺からの質問に、ミネルが淡々と答える。

「そうだな。ネヴェサさんをエウロに。リイさんをカウイに頼もうと思っていたが……難しいんだろ?」

ミネルから話を振られたエウロが、小さく頷く。

「……ああ、ごめんな。理由は分からないが、避けられてるみたいなんだ」

エウロが少し気まずそうに顔をしかめた。

「ネヴェサさんに何か失礼な事を言ってしまったのかもしれない」

失礼な事?
エウロが人を傷つけるような事を言うとは思えない。
そう考えると、別な理由がありそうだけど。

「よって、エウロはリイさんに。カウイはネヴェサさんに変更する」
「分かったよ」

ミネルの指示に逆らう事なく返事をする。

状況的に見て、妥当な判断だろう。

「オーンは立場上、いつ動けるか分からない。僕の方は、親との交渉の場を中心に動きたい」
「了解!」

エウロが明るく声を上げる。


──後々の話だけど、エウロがネヴェサさんをダンスに誘い、俺がリイさんをダンスに誘う事になる。
ネヴェサさんが、再びエウロと仲良くなるからだ──


それにしても……俺は愛想がないから、相手を不快にせず話せるか心配ではある。
さらに、大勢の人がいる場はどうも慣れないし、得意でもない。

アリアだったら、笑顔で話せるんだけどなぁ。
他の人だと、ついつい受け身になってしまう。

でも、今回はアリアに関わる事だから、頑張れるかな?

少しでも前向きに考えていると、ふいにミネルが神妙な面持ちで語り始めた。

「ジメス上院議長はきっと、何か理由をつけてアリアとの接触を図るだろう」

ミネルが僕達を見渡し、忠告するように話を続ける。

「僕の予想では、アリアの父親が傍で対応してくれるはずだ。警戒している、というオーラは出してもいいが、その場で変な動きはするなよ」

警戒している事は示していいんだ。
きっと向こうも気がついている事だろうから、気にしなくていいのかな?

どちらかというと、アリアが初めて会ったジメス上院議長と何を話すのか興味がある。

「それと……迷っている事がある」

……珍しいな。
ミネルが結論を出す前に話すなんて滅多にない。

「先ほど計画を話していた際に頭をよぎったんだが、エレに協力してもらうかどうか迷っている」
「ああ、オーラが見えるからだね」

オーンの言葉にミネルが黙って頷いた。

そっか。
エレくんは《闇の魔法》が使える。

見ようと思えば、人の気持ちに関するオーラが見える。
温かいオーラや怯えているオーラ、嘘をついているオーラ……など、色々だ。

元別館メンバーの親達と話をする時にエレくんが一緒にいれば……という事かな。
それを迷ってるという事は……。

「やっぱり、ミネルは優しいよ」
「うるさい」

《闇の魔法》は希少である分、負担やリスクを伴う事もある。
恐らくはミネルなりに気を遣っているのだろう。

気持ちは分かるけれど、迷わなくても大丈夫という事だけは伝えておこう。

「こちらから言わなくても、きっとエレくんは自分からオーラを見ると思うよ」

エレくんは、ミネルとは違った策士だ。

自分の使える武器を惜しむ事なく使っている。
他人が自分を心酔するように仕向ける事で、アリアを守っているのだと思う。

実際、エレくんの同学年の人達は『エレ様の大切な姉』という事で、アリアを慕っているらしい。
弟だからこそ、使える技だし、エレくんだからこそ、出来た事だと思う。

今回の計画を話した時点で、自分が何をすべきかすぐに気がつくだろうな。
それにエレくんはアリアの為なら、喜んで何でもするだろう。

俺も、エレくんに負けないようパーティーでは、きっちりと自分の役目は果たさなきゃね。

……でも困ったな。
アリア以外の人と、どうも積極的に話したいという気持ちが湧いてこない。

女性が苦手だと話しているエウロだけど、そもそもコミュニケーション能力に長けている。
だから苦手と言っていても、上手に話している。

俺は女性と言うより、人と話すのが苦手だ。
……とはいえ、何かいい方法がないか考える。


そうだ。
パーティーで接する人をアリアだと思って、接すれば上手くいくかな?

うん、そうしよう。
そして自分の役目以外の時は、なるべくアリアの傍にいて一番近くで守ろう。


俺の一番は、ずっとアリアだから。
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