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高等部2年生
それぞれの思惑 1/4
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話はテスタコーポ大会前に遡ります。
※オーン視点の話です。
オーンの提案と思惑
---------------------------------------
僕達はライバルではあるけど、1つだけ利害が一致している事がある。『アリアが誰よりも大切で 、何においても最優先』という事だ。
これは“絶対”であり“必然”だ。
今後の計画を練る為、僕の部屋にミネルとエウロ、カウイの3人が集まっている。
アリア達(女性陣)には敢えて声を掛けなかった。
本来であればアリア達にも声を掛けたいところではあるが、そうなると週末にしか集まる事ができない。
(男子寮の忍び込みは、セレスの壮絶なる怒りにより、今後行わない事を誓わされた)
何より、アリア抜きで計画を立てたかった。
アリアはいじけるかもしれないけど、今回は僕達だけで『アリアに危険が及ばない』計画を立てたかったからだ。
いじける姿も見てみたいとは思うけど、ね。
もう二度と魔法祭のような思いはしたくない。
それは、きっとみんな同じ考えだろう。
「近々、上院が集まるパーティーが開催される」
僕が3人に話を切り出す。
「みんなも知っていると思うけど、上院の方々とそのパートナーが集まるパーティーだ。それと一部の上流階級の方々も参加する」
「ああ、そういえばあったな。それが、どうかしたか?」
急にパーティーの話を持ち掛けた僕にエウロが尋ねる。
「今回は上院の家族も参加できるよう国王に提案をしてみようと思っているんだ」
僕の提案を聞き、真っ先にミネルが反応する。
「名目は?」
「より親睦を深める為に。または、子供たちが知り合う出会いの場を設けたいと思っている。で、どうかな? 理由としては弱いかな?」
ミネルが腕を組み、わずかに目を伏せた。
何かを考え出した証拠かな?
「サール国王は、いきなりオーンが提案する事を不審に思うかもしれないが……」
やはり、そうか。
「それでも王が話を通してくれるのであれば、上院の承認は容易に得られるだろう。いまだ“次期王”には婚約者がいないからな。娘がいる親にとっては絶好の機会だ」
「…………」
自分から提案した事だけど、僕にはアリアがいるから面倒だな。
カウイ達に女性が集まるよう上手く誘導する事ができればいいんだけど。
当日までに何か考えておくかな?
僕の考えを察したミネルが、ほくそ笑んだ。
「オーンの元に女性が集まらない事はあり得ないだろう。沢山の女性と知り合って、ぜひ(アリア以外の)婚約者を作ってくれ」
「ミネルなら、そう言うと思ったよ」
予想通りの言葉に思わず苦笑する。
ミネルの言う通り、立場的に難しいか。
こうなったら、ミネル達も道連れにしよう。
……と思ったけど、ミネル達の家系や容姿を考えると、女性達が放っておくはずがない。
何もしなくても大丈夫そうだ。
「まぁ、それは(本気だが)いいとして、オーンの提案は賛成だ」
ミネルが本題へ戻り、話し始めた。
「アリアに上院全員の“魔法の色”を見てもらい、要注意人物を把握しておきたいと考えていた。だが、危険が及ぶ可能性も高い。実行に移すには難しいと思っていた」
エウロが「あっ!」と声を上げる。
「そのパーティーで、アリアに“魔法の色”を確認してもらうんだな!」
エウロがミネルの言いたい事に気がついたようだ。
「──そうだ」
カウイは言葉を発せず、静かに話を聞いている。
「大規模な夜会なら、ジメス上院議長もおかしな行動はできないはずだ。娘は雲隠れ……失踪中な上、魔法も使えないしな」
ミネルがニヤッと笑った。
「アリアは“安全な場所”からジメス上院議長にもお目にかかれる。それに一度に上院を確認し、要注意人物の把握もできる。一石二鳥だな」
さすがだね。
僕の考えていた事を瞬時に把握してくれた。
──僕達には時間がない。
恐らくジメス上院議長は、ジュリアさんの魔法を戻したいと思っている。
アリアの話では、ジュリアさんは詠唱せずに魔法を使えるらしい。
ジメス議長としては、それを利用しない手はない。
間違いなく、近い内にアリアは狙われるだろう。
それだけは……なんとしても避けたい。
その為には今回参加するパーティーで反撃の土台を作り、ジメス上院議長よりも先に行動に移す。
……とはいえ、今回はアリアと一緒に参加する初めてのパーティーだ。
カウイは迷う事なく、真っ先にアリアに踊ってくれるよう頼みそうだな。
考える傍から、心がモヤモヤしてくる。
アリアが僕以外の人と踊るかもしれない、と考えるだけでも嫌気がさすし、誰にも触れさせたくない。
僕個人の意見としては、アリアはパーティーになんて出なくていいんだけどね。
──ただ、今回の計画にアリアは必要不可欠だ。
それにアリアの立場上、この先、上流階級が集まる場に出ないで過ごすのは無理な事も分かっている。
(一応、ご令嬢だしね)
そうなると……誰もアリアに声を掛けようなんて思えなくなるような状況を作るしかないな。
僕の特別な女性は“アリア”だという事を、遠回しにでも知らしめておかないとね。
※オーン視点の話です。
オーンの提案と思惑
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僕達はライバルではあるけど、1つだけ利害が一致している事がある。『アリアが誰よりも大切で 、何においても最優先』という事だ。
これは“絶対”であり“必然”だ。
今後の計画を練る為、僕の部屋にミネルとエウロ、カウイの3人が集まっている。
アリア達(女性陣)には敢えて声を掛けなかった。
本来であればアリア達にも声を掛けたいところではあるが、そうなると週末にしか集まる事ができない。
(男子寮の忍び込みは、セレスの壮絶なる怒りにより、今後行わない事を誓わされた)
何より、アリア抜きで計画を立てたかった。
アリアはいじけるかもしれないけど、今回は僕達だけで『アリアに危険が及ばない』計画を立てたかったからだ。
いじける姿も見てみたいとは思うけど、ね。
もう二度と魔法祭のような思いはしたくない。
それは、きっとみんな同じ考えだろう。
「近々、上院が集まるパーティーが開催される」
僕が3人に話を切り出す。
「みんなも知っていると思うけど、上院の方々とそのパートナーが集まるパーティーだ。それと一部の上流階級の方々も参加する」
「ああ、そういえばあったな。それが、どうかしたか?」
急にパーティーの話を持ち掛けた僕にエウロが尋ねる。
「今回は上院の家族も参加できるよう国王に提案をしてみようと思っているんだ」
僕の提案を聞き、真っ先にミネルが反応する。
「名目は?」
「より親睦を深める為に。または、子供たちが知り合う出会いの場を設けたいと思っている。で、どうかな? 理由としては弱いかな?」
ミネルが腕を組み、わずかに目を伏せた。
何かを考え出した証拠かな?
「サール国王は、いきなりオーンが提案する事を不審に思うかもしれないが……」
やはり、そうか。
「それでも王が話を通してくれるのであれば、上院の承認は容易に得られるだろう。いまだ“次期王”には婚約者がいないからな。娘がいる親にとっては絶好の機会だ」
「…………」
自分から提案した事だけど、僕にはアリアがいるから面倒だな。
カウイ達に女性が集まるよう上手く誘導する事ができればいいんだけど。
当日までに何か考えておくかな?
僕の考えを察したミネルが、ほくそ笑んだ。
「オーンの元に女性が集まらない事はあり得ないだろう。沢山の女性と知り合って、ぜひ(アリア以外の)婚約者を作ってくれ」
「ミネルなら、そう言うと思ったよ」
予想通りの言葉に思わず苦笑する。
ミネルの言う通り、立場的に難しいか。
こうなったら、ミネル達も道連れにしよう。
……と思ったけど、ミネル達の家系や容姿を考えると、女性達が放っておくはずがない。
何もしなくても大丈夫そうだ。
「まぁ、それは(本気だが)いいとして、オーンの提案は賛成だ」
ミネルが本題へ戻り、話し始めた。
「アリアに上院全員の“魔法の色”を見てもらい、要注意人物を把握しておきたいと考えていた。だが、危険が及ぶ可能性も高い。実行に移すには難しいと思っていた」
エウロが「あっ!」と声を上げる。
「そのパーティーで、アリアに“魔法の色”を確認してもらうんだな!」
エウロがミネルの言いたい事に気がついたようだ。
「──そうだ」
カウイは言葉を発せず、静かに話を聞いている。
「大規模な夜会なら、ジメス上院議長もおかしな行動はできないはずだ。娘は雲隠れ……失踪中な上、魔法も使えないしな」
ミネルがニヤッと笑った。
「アリアは“安全な場所”からジメス上院議長にもお目にかかれる。それに一度に上院を確認し、要注意人物の把握もできる。一石二鳥だな」
さすがだね。
僕の考えていた事を瞬時に把握してくれた。
──僕達には時間がない。
恐らくジメス上院議長は、ジュリアさんの魔法を戻したいと思っている。
アリアの話では、ジュリアさんは詠唱せずに魔法を使えるらしい。
ジメス議長としては、それを利用しない手はない。
間違いなく、近い内にアリアは狙われるだろう。
それだけは……なんとしても避けたい。
その為には今回参加するパーティーで反撃の土台を作り、ジメス上院議長よりも先に行動に移す。
……とはいえ、今回はアリアと一緒に参加する初めてのパーティーだ。
カウイは迷う事なく、真っ先にアリアに踊ってくれるよう頼みそうだな。
考える傍から、心がモヤモヤしてくる。
アリアが僕以外の人と踊るかもしれない、と考えるだけでも嫌気がさすし、誰にも触れさせたくない。
僕個人の意見としては、アリアはパーティーになんて出なくていいんだけどね。
──ただ、今回の計画にアリアは必要不可欠だ。
それにアリアの立場上、この先、上流階級が集まる場に出ないで過ごすのは無理な事も分かっている。
(一応、ご令嬢だしね)
そうなると……誰もアリアに声を掛けようなんて思えなくなるような状況を作るしかないな。
僕の特別な女性は“アリア”だという事を、遠回しにでも知らしめておかないとね。
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