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高等部2年生
アリアとデート(エウロ編)2/2
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ん? ……と、いう事は。
手を繋いで拒否されなかった時に『もしかしたら、アリアが俺を意識している?』と思ってしまったのは……勘違いだったのか!!
『この雰囲気は』と、キスするタイミングだと思っていたのも思い違いだった。
ああ、今にも崩れ落ちそうだ。
……穴があったら入りたい。
アリアと目が合い、お互いに気まずそうに笑い合う。
「ご、ごめんね、エウロ」
「な、何がだ!?」
も、もう振られるのか!?
「きっと他の人ならネヴェサさんの催眠にかからなかったと思うんだ。初めてかけたって話してたし。迷惑掛けちゃったね」
あっ、そっちの『ごめん』か。
少しホッとした。
「いや、元はといえば俺が巻き込んだようなものだ。俺の方こそ、ごめん」
「私の方が『ごめん』だよ!」
「俺だろ!?」
お互いに自分が悪いと言い合っていると、アリアが笑った。
「じゃあ、お互いが悪くないってことで、ね」
「そうだな」
アリアにつられるように頬が緩む。
「俺、アリアがものすごく好きなんだ」
気がつけば、自然と言葉がでていた。
「あ、ありがとう」
照れながらも、アリアがお礼を言ってくれる。
「その、今の照れた顔も可愛いし、笑った顔も可愛い。俺にとっては、どんなアリアの表情も可愛い」
アリアの顔がものすごく赤いけど、きっと俺の顔も赤いだろうな。
「そそっかしい所も含めて可愛いし、何でも何をしても愛おしくて……」
アリアの右手をそっと両手で掴み、片膝をつく。
「もっと……もっと俺の知らないアリアの良い所も悪い所も含めて知っていきたい」
気持ちが伝わるように、アリアをまっすぐ見つめる。
「それに……これだけは誓える。例えアリアの悪い所を知ったとしても、きっと俺はアリアが大好きだ!」
自分を落ち着かせるように、ふぅっ、と一呼吸置く。
「ずっと笑い合いたいと思う女性はアリアだけだし、年をとっても一緒にいたいと思う女性もアリアだけだ」
手の甲にそっとキスを落とすと、再びアリアに視線を送る。
「俺と結婚してください!」
言い終えると同時に、俺とアリアの間に沈黙が流れる。
……ん? あれ?
俺は、今、なんて言った?
『婚約者になってください』と言ったか?
……いや、言っていない気がする。
頭をフル回転させ、自分の言ったセリフを思い出す。
『俺と結婚してください!』
「け、結婚!?」
予想だにしていなかった状況に驚き、アリアより先に声に出してしまった!
付き合ってもいないし、婚約者でもないアリアに俺はいきなり『結婚してくれ』と言ったのか!?
急いで立ち上がり、アリアに向かって必死に弁解する。
「ああ、違う! いや、結婚したいという気持ちは違わない! でも違うんだ!!」
ああ! 俺は何を言ってるんだ!!
「本当は『婚約者になってください』と言う予定だったんだ」
最後の最後で何というミスを!!
「でも、将来的には結婚したいと思ってる! だから、決して間違いではない!!」
自分で説明しながら思う。
じゃあ、言い直す必要はなかったんじゃないか?
自分の頭を抱えるようにして困っていると、アリアが吹き出すように小さく笑った。
「大切な話をしてくれてる時にごめん。誤解しないでね。エウロが言ってくれた事がおかしくて笑ったわけじゃないの」
笑いながら、アリアが話す。
「エウロの気持ちを聞きながら、確かにエウロとはこんな風にどんな時も笑い合えるだろうなって思って」
アリアも同じ事を思ってくれたのか。
嬉しい気持ちに満たされていると、ふとアリアの表情が少し曇った事に気がついた。
「……俺、さっき嘘ついた」
「えっ?」
きっとアリアは、俺を傷つけないように何て言おうか迷っている。
「『どんなアリアの表情も可愛い』って言ったけど、アリアの困った顔、悲しい顔は見たくない」
その顔をさせてるのが、俺なんだ。
振られるかもしれないとか、俺は自分の事しか考えていなかった。
言われる側だって、断るのはつらいよな。
「今悲しい顔をさせてるのが、俺だっていうのが情けない」
「情けなくないよ! エウロが情けなかった事なんて一度もないよ!」
力強くアリアが断言する。
「真摯に気持ちを伝えてくれてありがとう。好きになってくれてありがとう」
アリアが笑顔で、必死に感謝の言葉を告げる。
「もし私が悲しい表情に見えたのだとしたら、それはエウロのせいではないから!」
アリアの言葉にふっと笑みがこぼれる。
「……俺が自分を“否定”しても、いつも“肯定”してくれるのがアリアだよな」
──うん。よし!
アリア、ごめんな。
「一度だけアリアを困らせようと思う。アリアの事、悩ませる事にした」
「んっ?」
突然の宣言に、アリアがぽかんとしている。
「自分勝手かもしれないけど、俺の事を考えてほしい!」
アリアを困らせるのは、これが最初で最後だ!
「アリアは告白されるまで、俺の気持ちに気がついていなかっただろ?」
アリアが戸惑いながら、黙って頷く。
「今日一日で判断せず、俺が“ただの幼なじみ”で終わるのか、ただの幼なじみじゃなく、“一生隣にいてもいい存在”なのか考えてほしい」
アリアの両手をぎゅっと握る。
『結婚したいという気持ちは本当だから』と言おうとしたけど、今言われても困るよな?
だから、言おうとした言葉をぐっとのみこむ。
「またこうやって2人で出掛けたいんだけど……いいか?」
もしかして、これはアリアを困らせる1つなのか?
「2人で出掛ける事で、俺を意識してほしいんだ」
少し困りながらもアリアが何か考えている。
それから何か決心したように、ゆっくりと頷いた。
「う、うん。分かった」
──!!
嬉しさのあまりアリアをぎゅっと抱きしめ、感謝を伝える。
「ありがとう!!」
「うわっ!」
……うわっ?
その言葉で、途端に正気へと戻る。
「うわっ! ごめん! その、嬉しくて……」
抱きしめた身体を勢いよく離し、何度も謝る。
そんな俺の焦った様子を見たアリアがまた笑ってくれた。
アリアの笑顔を見て、俺もまた表情を緩めてしまう。
うん。
やっぱり一番緊張するのもアリアだし、一番一緒にいて楽しいのもアリアだ!
──おまけ
アリアを家まで送った後の帰り道、一人反省会を行う。
本当はもっとスマートにエスコートする予定だった。
イメージトレーニングをしたけど、全然上手くいかなかったな。
うーん。
俺ってアリアが相手だと、どうもかっこ悪くないか?
そもそもライバルがオーンとミネル、カウイだぞ?
大丈夫か? 俺?
あっ、でも。
知らず知らずの内にミッションを3つともクリアしてた。
そして何より、アリアが別れ際に『楽しかった』と言ってくれた。
その言葉が聞けただけで、今日は最高の1日だ!!
手を繋いで拒否されなかった時に『もしかしたら、アリアが俺を意識している?』と思ってしまったのは……勘違いだったのか!!
『この雰囲気は』と、キスするタイミングだと思っていたのも思い違いだった。
ああ、今にも崩れ落ちそうだ。
……穴があったら入りたい。
アリアと目が合い、お互いに気まずそうに笑い合う。
「ご、ごめんね、エウロ」
「な、何がだ!?」
も、もう振られるのか!?
「きっと他の人ならネヴェサさんの催眠にかからなかったと思うんだ。初めてかけたって話してたし。迷惑掛けちゃったね」
あっ、そっちの『ごめん』か。
少しホッとした。
「いや、元はといえば俺が巻き込んだようなものだ。俺の方こそ、ごめん」
「私の方が『ごめん』だよ!」
「俺だろ!?」
お互いに自分が悪いと言い合っていると、アリアが笑った。
「じゃあ、お互いが悪くないってことで、ね」
「そうだな」
アリアにつられるように頬が緩む。
「俺、アリアがものすごく好きなんだ」
気がつけば、自然と言葉がでていた。
「あ、ありがとう」
照れながらも、アリアがお礼を言ってくれる。
「その、今の照れた顔も可愛いし、笑った顔も可愛い。俺にとっては、どんなアリアの表情も可愛い」
アリアの顔がものすごく赤いけど、きっと俺の顔も赤いだろうな。
「そそっかしい所も含めて可愛いし、何でも何をしても愛おしくて……」
アリアの右手をそっと両手で掴み、片膝をつく。
「もっと……もっと俺の知らないアリアの良い所も悪い所も含めて知っていきたい」
気持ちが伝わるように、アリアをまっすぐ見つめる。
「それに……これだけは誓える。例えアリアの悪い所を知ったとしても、きっと俺はアリアが大好きだ!」
自分を落ち着かせるように、ふぅっ、と一呼吸置く。
「ずっと笑い合いたいと思う女性はアリアだけだし、年をとっても一緒にいたいと思う女性もアリアだけだ」
手の甲にそっとキスを落とすと、再びアリアに視線を送る。
「俺と結婚してください!」
言い終えると同時に、俺とアリアの間に沈黙が流れる。
……ん? あれ?
俺は、今、なんて言った?
『婚約者になってください』と言ったか?
……いや、言っていない気がする。
頭をフル回転させ、自分の言ったセリフを思い出す。
『俺と結婚してください!』
「け、結婚!?」
予想だにしていなかった状況に驚き、アリアより先に声に出してしまった!
付き合ってもいないし、婚約者でもないアリアに俺はいきなり『結婚してくれ』と言ったのか!?
急いで立ち上がり、アリアに向かって必死に弁解する。
「ああ、違う! いや、結婚したいという気持ちは違わない! でも違うんだ!!」
ああ! 俺は何を言ってるんだ!!
「本当は『婚約者になってください』と言う予定だったんだ」
最後の最後で何というミスを!!
「でも、将来的には結婚したいと思ってる! だから、決して間違いではない!!」
自分で説明しながら思う。
じゃあ、言い直す必要はなかったんじゃないか?
自分の頭を抱えるようにして困っていると、アリアが吹き出すように小さく笑った。
「大切な話をしてくれてる時にごめん。誤解しないでね。エウロが言ってくれた事がおかしくて笑ったわけじゃないの」
笑いながら、アリアが話す。
「エウロの気持ちを聞きながら、確かにエウロとはこんな風にどんな時も笑い合えるだろうなって思って」
アリアも同じ事を思ってくれたのか。
嬉しい気持ちに満たされていると、ふとアリアの表情が少し曇った事に気がついた。
「……俺、さっき嘘ついた」
「えっ?」
きっとアリアは、俺を傷つけないように何て言おうか迷っている。
「『どんなアリアの表情も可愛い』って言ったけど、アリアの困った顔、悲しい顔は見たくない」
その顔をさせてるのが、俺なんだ。
振られるかもしれないとか、俺は自分の事しか考えていなかった。
言われる側だって、断るのはつらいよな。
「今悲しい顔をさせてるのが、俺だっていうのが情けない」
「情けなくないよ! エウロが情けなかった事なんて一度もないよ!」
力強くアリアが断言する。
「真摯に気持ちを伝えてくれてありがとう。好きになってくれてありがとう」
アリアが笑顔で、必死に感謝の言葉を告げる。
「もし私が悲しい表情に見えたのだとしたら、それはエウロのせいではないから!」
アリアの言葉にふっと笑みがこぼれる。
「……俺が自分を“否定”しても、いつも“肯定”してくれるのがアリアだよな」
──うん。よし!
アリア、ごめんな。
「一度だけアリアを困らせようと思う。アリアの事、悩ませる事にした」
「んっ?」
突然の宣言に、アリアがぽかんとしている。
「自分勝手かもしれないけど、俺の事を考えてほしい!」
アリアを困らせるのは、これが最初で最後だ!
「アリアは告白されるまで、俺の気持ちに気がついていなかっただろ?」
アリアが戸惑いながら、黙って頷く。
「今日一日で判断せず、俺が“ただの幼なじみ”で終わるのか、ただの幼なじみじゃなく、“一生隣にいてもいい存在”なのか考えてほしい」
アリアの両手をぎゅっと握る。
『結婚したいという気持ちは本当だから』と言おうとしたけど、今言われても困るよな?
だから、言おうとした言葉をぐっとのみこむ。
「またこうやって2人で出掛けたいんだけど……いいか?」
もしかして、これはアリアを困らせる1つなのか?
「2人で出掛ける事で、俺を意識してほしいんだ」
少し困りながらもアリアが何か考えている。
それから何か決心したように、ゆっくりと頷いた。
「う、うん。分かった」
──!!
嬉しさのあまりアリアをぎゅっと抱きしめ、感謝を伝える。
「ありがとう!!」
「うわっ!」
……うわっ?
その言葉で、途端に正気へと戻る。
「うわっ! ごめん! その、嬉しくて……」
抱きしめた身体を勢いよく離し、何度も謝る。
そんな俺の焦った様子を見たアリアがまた笑ってくれた。
アリアの笑顔を見て、俺もまた表情を緩めてしまう。
うん。
やっぱり一番緊張するのもアリアだし、一番一緒にいて楽しいのもアリアだ!
──おまけ
アリアを家まで送った後の帰り道、一人反省会を行う。
本当はもっとスマートにエスコートする予定だった。
イメージトレーニングをしたけど、全然上手くいかなかったな。
うーん。
俺ってアリアが相手だと、どうもかっこ悪くないか?
そもそもライバルがオーンとミネル、カウイだぞ?
大丈夫か? 俺?
あっ、でも。
知らず知らずの内にミッションを3つともクリアしてた。
そして何より、アリアが別れ際に『楽しかった』と言ってくれた。
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