一番モテないヒロインに転生しましたが、なぜかモテてます

Teko

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高等部2年生

ドキドキハラハラする提案

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──次の日。

歴史の授業で、ミネルとソフィーに会った。
私の隣にはミネルが、私の前にはソフィーが座っている。

授業が始まるまでの間、3人で会話をする。
ミネルはソフィーが苦手なのか、少し嫌な顔をしているけど(笑)

難しいとは思いつつも、誰が聞いてても怪しまれないよう、遠回しに話してみる。

「学校で話せないのって不便だよね」

ミネルが、すぐに何を言いたいのか察してくれた。

「ああ、そうだな」
「ソフィーとは、私の部屋やソフィーの部屋で話できるから女性同士は楽だよね」

話題を振ると、ソフィーが同意した。

「そうですね。アリア様の恋の話など聞けますからね」

えっ! 恋の話なんてした事ないよ!?
周りに怪しまれない為のカモフラージュ??

ソフィーがミネルを見て、くすくすと笑っている。
ミネルはというと……機嫌はよくなさそうだ。

ソフィーが微笑みながら、さらさらと紙に何かを書いている。

『急ぎでしたら、男子寮に忍び込んで話をしてみては?』

──へっ!?

……考えた事なかった。
ソフィーって、こういう提案もするんだ!

とはいえ、忍び込むのはさすがにハードルが高い。
それにバレたら……どうなるんだろう??

「行けなくもないな」

ソフィーの案に、ミネルが同意するように呟いた。

えっ! まさかの反応!!
真っ先に『上流階級の人間はそんな事しないぞ』とか言いそうなのに!

「不本意だが、エウロがいる。それに」

ミネルが紙にすらすらと書いていく。

『オーンの部屋なら誰も来ない。警護の人間がいるし、生徒が通ったりしない端の部屋だ』

そういえば、王子という事もあり、部屋だけは他の生徒と違うって言ってた。

思えば、オーンにも聞きたい事があるんだよなぁ。
それに行動に移すのは、少しでも早い方がいい。

「ただし、行くにしてもアリア1人が限界だな。セレスはうるさい(すぐにばれる)。ルナはいてもいなくても変わらない」

……ヒドイ言われよう。

「どうする?」

ミネルがニヤッと笑っている。
私がどう答えるか分かっている笑い方だ。

バレた時は『私が勝手に忍び込みました』と言えば大丈夫かな? ……うん、そうしよう!
心を決め、黙ってこくんと頷く。

ミネルが紙に何かを付け足した後、紙を4つに折りたたんだ。

私の横に紙を置くと、「授業が始まる」と言って何事もなかったかのように正面を向いた。

1時間ほどで授業も終わり、さっき渡された紙をこっそり見る。
そこには時間と場所が書かれていた。

つまり今日、この場所に来いって事だよね?

んー、私の悪い癖が出始めた。
ちょっと面白そうと思ってしまう自分がいる。

先走りそうになる気持ちを抑えると、まずは他の授業をきっちりと終わらせた。


放課後になり、次は男子寮──ではなく、テスタコーポの準備!
作業を行う為、準備の為に割り当てられた教室へと向かった。

他のメンバーと一緒に用意を進めながら、バレない程度にエウロの様子をうかがう。

エウロは今日の事をミネルに聞いてるのかな?
雰囲気だけ見ると、聞いてない気がする。

まぁ、今日の事はミネルに任せよう。
先にマイヤの事でも聞いてみようかな?

「エウロ」

作業の手を休める事なく、エウロに話し掛ける。

「どうした?」

エウロも作業しながら返事をする。

「サウロさん……」

っ! しまった!!

そういえば、マイヤの気持ちをエウロに話していいか聞いてなかった!
ど、どうしよう……。

「兄様がどうした?」

……こうなった以上、マイヤの名前は出さずに聞いてみるしかない。

「ええと、休みの日は何をしてるの?」
「たまに学校で魔法を教えてるみたいだけど」

そういえば、以前サウロさんもそんな話をしていたような?

「家に帰ってきたり……してる?」
「兄様は滅多に帰ってこないかな」

それじゃあ、普段は何をしているか分からないか。

「エウロは……サウロさんと会ったりはしないの?」
「ああ、滅多に会わないなぁ」

んー、困ったなぁ。

……こういう時は仕切り直すのが一番!!
マイヤにエウロに話していいか確認してから話そう。

「アリア……まさか……」
「ん?」

エウロの顔を見ると、わずかに表情が曇っている?

「どうしたの?」
「……いや、何でもない」

どうしたんだろう?
その後は何事もなかったかのように普通に会話をし、今日の作業は終了した。



──そして、やって来ました!

本日のメインイベント!
夜、男子寮に忍び込みます!!

寮自体はいつ外出しても大丈夫だから、普通に外に出る事ができる。
そうは言っても目立たないよう、静かにミネルに指定された場所へと向かった。

今更だけど……私の場合、警護の人がついている。
こっそり忍び込むって出来ないんじゃない?

ど、どうしよう? 何も考えていなかった。
警護の人に『ここにいて下さい』という無神経な事も言えない。

困惑しながらも指定場所へ到着すると、エウロが立っていた。

「アリア」

小さい声でエウロが私の名前を呼ぶ。

「かなり驚いたけど、ミネルから話は聞いた」

私に向かって柔らかく微笑むと、今度は警護の人達へと声を掛ける。

「本日《風の魔法》を使える方は、警護についてますか?」
「はい、私が使えます」

エウロが安堵の表情を見せた。

「良かった。すいません、1人はここで待っていただけますか? あの部屋でアリアと話します」

一番端の部屋をエウロが指差す。

「扉の前にはカウイとオーンの警護の方もいるので、1名で大丈夫だと思います」

ここで待機する警護の人に安心してもらう為、エウロが丁寧に説明をする。
さらに信用してもらう為、私からもお願いする。

「すいません。1時間ほどで戻ります」

懸命に頭を下げ、何とか了承してもらうと、エウロがひょいと私を抱き上げた。

「よし、行くか。俺について来てください」

《風の魔法》を使う警護の人を誘導しつつ、エウロがふわっと浮いた。


部屋の方を見ると、ベランダからオーンが顔を出し、小さく手を振っている。
オーンの後ろにはカウイも見える。

……よくよく考えたら、男子寮潜入をよく皆が許可したなぁ。
オーンなんて、王子なんだよ!?

私が言うのもなんだけど、みんな度胸というか、突拍子もない事への許容範囲が広過ぎ!


エウロに抱えられながら、思わずクスッと笑ってしまう。

「ん? どうした?」

エウロが私の顔を見て、つられたように笑みを浮かべる。

「ううん」

首を横に振ると、詳しい事は言わずに笑顔だけを返した。

そういえばエウロも驚いたと言ってはいたけど、もしかしてワクワクしているのかな?
少し楽しそうに見える。


エウロはそのまま上昇し続け、そしてついに、私は禁止されている男子寮──オーンの部屋へと入った。
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