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高等部 1年生
魔法祭 開催!!(前編)
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やって来ました! 待ちに待った魔法祭!!!
……と浮かれたいところだけど……無理だ!!
楽しんでる余裕なんて全然ないよー!!!
「アリアちゃん……心の声と行動が伴ってないわよ」
「へっ?」
「食べ過ぎ、遊び過ぎ、はしゃぎ過ぎよ」
一緒に魔法祭を回っているマイヤが呆れた顔をしている。
だって、だって、だって!
間近で魔法の見学や体験ができたり、魔法で作った食材や料理が食べられたり……と日頃経験できない事ばかりなんだもん!!
そりゃ、無意識のうちにハメをはずしちゃうよ!!
というか……またしても私の心が読まれている!!
“エスパーマイヤ”恐るべし!!!
私の顔を見たマイヤが、さらに呆れた顔をしている。
「私は元々、人の気持ちに敏感な方ではあるけど……。アリアちゃんって、私が今まで出会った誰よりも単純だからね!」
そんな、大げさな!
「まぁ、私としては単純なアリアちゃんのままでい……」
……ん? 急に会話が止まった。
不思議に思っていると、マイヤが軽く咳払いをした。
「それより、アリアちゃんは何時から説明を聞くの?」
「え、ええと、確か……」
何か言い掛けたような気がするけど……。
とりあえず、時間を確認しよう!
昨日メロウさんから渡された紙を確認する。
──遡ること、魔法祭前日
子供のようにワクワクしたメロウさんが、私のクラスへやって来た。
「明日の試合は午後からですので、午前中は自由に魔法祭を楽しんでくださいー!」
「は、はい。ありがとうございます」
……とは言ったものの、そんな暇あるのかな??
「試合のルール説明ですが、各魔法によってルールを変えています。なので、個別にルール説明を行おうと思っています!」
「そうなんですね。分かりました」
……とは言ったものの、魔法を使えない私にもルールがあるのかな??
「アリアはジュリアさんと対決するので、ジュリアさんと一緒に《水の魔法》についてのルールを聞いてもらいますよー」
「あっ、そっか。そうですよね!」
メロウさんがにっこりと笑い、1枚の紙を私に差し出した。
「アリアは明日──試合当日の△時に、この紙に記載された場所に来てください。ここでジュリアさんと一緒に詳しいルールを聞いてもらいます。試合順に時間を決めているので、お二人が最後です」
「分かりました」
紙を受け取り、お礼を伝える。
「実は困った事に、ジュリアさんがどこを探しても見つからなくてですねー」
「そうなんですか?」
……とは聞いたものの、あまり困っているように見えないな。
「代わりにジュリアさんと同じクラスのソフィーさんにお伝えしておきました」
なんだ、だから困ってなかったのね。
「ただ、あのお2人はあまり仲が良くないようですねー」
へぇ~、そうなんだ。
幼なじみ達と一緒に行動してたから、そんな感じは……って、あっ!
そういえば、お父様からの手紙にも書いてあった。
2人に限らず、ジュリアは女性の幼なじみ達とは仲が良くないようだって。
だけど、一緒に行動してるなんて……なんだか変な感じ。
「明日は私が実況しますよー」
張り切った口調でメロウさんが告げる。
「メロウさんが実況なら、楽しい試合になりそうですね」
「そう言ってもらえると嬉しいです! では、明日に備えてゆっくり休んでください! また明日ー!!」
明るく手を振って、メロウさんはそのまま去って行った。
「アリアちゃーん!?」
──はっ!
マイヤの声で我に返る。
「ああ、ごめん。今、ルナとセレスが説明を受けてるはずだから……1時間後だ。マイヤはもう聞き終わってるもんね。どんなルールがあったの?」
私の質問に可愛いらしく首をかしげ、考えるようなポーズを見せてきた。
「私はねぇ」
「アリアー! マイヤ!」
あれ? どこからかエウロの声がする。
キョロキョロと周りを見渡すと、エウロとミネルが後ろから歩いてきた。
そっか! 2人はもう説明が終わったんだ。
「アリア、挙動不審だぞ」
「えへへ」
ミネルの突っ込みを、笑ってごまかす。
その様子を見ていたマイヤがニコッと……いや、ニヤッと笑った。
「うふ。ミネルくん、そんなアリアちゃんも可愛いと思ってたりして」
マ、マイヤ? 急に何を言い出すの!?
ミネルだよ!? また『いや、逆だ。気持ち悪い』と突っ込まれるのがオチだよ??
……と思っていたのに、予想に反して何も言ってこない。
どうしたんだろう?
ミネルの顔を見ると、目線を横にそらし、手で口元を隠している。
もしかして、あのミネルが照れてる?
……なんて、ね。あり得ないか。
「ミネル、どうしたの?」
「……なんでもない。マイヤの発言に驚いただけだ」
なんだ。そっか、そうだよね。
“いつものマイヤ”だったら、言わない発言だもんね。
それにしても“いつものマイヤ”って言うのもややこしいな。
私にとって“いつものマイヤ”は、他人(私)が困る事を平気で言うタイプのツンデレだからなぁ。
マイヤは「貴重なものが見れちゃったな」とニヤニヤしている。
そんな中、必死な顔をしたエウロが私に向かって口を開いた。
「……ア、アリアは可愛いぞ!」
えっ!? 急にどうしたの??
思いもかけないエウロの発言にドキッとする。
言った本人であるエウロは、なぜか腰元で小さくガッツポーズをしている。
「だ、大丈夫だぞ!」
……ん? 大丈夫??
あぁ、なるほど。変にドキッとしてしまったけど、勘違いだったようだ。
優しいエウロらしい。
「気を遣ってくれたんだね。ありがとう、エウロ」
「えっ! いや! ……あぁ、うん」
私の言葉に、エウロがガックリとうなだれている。
何か変なこと言ったっけ??
「うふふ、元気出して。エウロくん」
「残念だったな、エウロ」
エウロに声を掛けるマイヤとミネルは、なんだか楽しそうだ。
「やっぱり、アリアちゃんといると面白いな」
マイヤが嬉しそうに笑っている。
そう言ってくれるのは嬉しいけど……さっぱり意味が分からない。
……と浮かれたいところだけど……無理だ!!
楽しんでる余裕なんて全然ないよー!!!
「アリアちゃん……心の声と行動が伴ってないわよ」
「へっ?」
「食べ過ぎ、遊び過ぎ、はしゃぎ過ぎよ」
一緒に魔法祭を回っているマイヤが呆れた顔をしている。
だって、だって、だって!
間近で魔法の見学や体験ができたり、魔法で作った食材や料理が食べられたり……と日頃経験できない事ばかりなんだもん!!
そりゃ、無意識のうちにハメをはずしちゃうよ!!
というか……またしても私の心が読まれている!!
“エスパーマイヤ”恐るべし!!!
私の顔を見たマイヤが、さらに呆れた顔をしている。
「私は元々、人の気持ちに敏感な方ではあるけど……。アリアちゃんって、私が今まで出会った誰よりも単純だからね!」
そんな、大げさな!
「まぁ、私としては単純なアリアちゃんのままでい……」
……ん? 急に会話が止まった。
不思議に思っていると、マイヤが軽く咳払いをした。
「それより、アリアちゃんは何時から説明を聞くの?」
「え、ええと、確か……」
何か言い掛けたような気がするけど……。
とりあえず、時間を確認しよう!
昨日メロウさんから渡された紙を確認する。
──遡ること、魔法祭前日
子供のようにワクワクしたメロウさんが、私のクラスへやって来た。
「明日の試合は午後からですので、午前中は自由に魔法祭を楽しんでくださいー!」
「は、はい。ありがとうございます」
……とは言ったものの、そんな暇あるのかな??
「試合のルール説明ですが、各魔法によってルールを変えています。なので、個別にルール説明を行おうと思っています!」
「そうなんですね。分かりました」
……とは言ったものの、魔法を使えない私にもルールがあるのかな??
「アリアはジュリアさんと対決するので、ジュリアさんと一緒に《水の魔法》についてのルールを聞いてもらいますよー」
「あっ、そっか。そうですよね!」
メロウさんがにっこりと笑い、1枚の紙を私に差し出した。
「アリアは明日──試合当日の△時に、この紙に記載された場所に来てください。ここでジュリアさんと一緒に詳しいルールを聞いてもらいます。試合順に時間を決めているので、お二人が最後です」
「分かりました」
紙を受け取り、お礼を伝える。
「実は困った事に、ジュリアさんがどこを探しても見つからなくてですねー」
「そうなんですか?」
……とは聞いたものの、あまり困っているように見えないな。
「代わりにジュリアさんと同じクラスのソフィーさんにお伝えしておきました」
なんだ、だから困ってなかったのね。
「ただ、あのお2人はあまり仲が良くないようですねー」
へぇ~、そうなんだ。
幼なじみ達と一緒に行動してたから、そんな感じは……って、あっ!
そういえば、お父様からの手紙にも書いてあった。
2人に限らず、ジュリアは女性の幼なじみ達とは仲が良くないようだって。
だけど、一緒に行動してるなんて……なんだか変な感じ。
「明日は私が実況しますよー」
張り切った口調でメロウさんが告げる。
「メロウさんが実況なら、楽しい試合になりそうですね」
「そう言ってもらえると嬉しいです! では、明日に備えてゆっくり休んでください! また明日ー!!」
明るく手を振って、メロウさんはそのまま去って行った。
「アリアちゃーん!?」
──はっ!
マイヤの声で我に返る。
「ああ、ごめん。今、ルナとセレスが説明を受けてるはずだから……1時間後だ。マイヤはもう聞き終わってるもんね。どんなルールがあったの?」
私の質問に可愛いらしく首をかしげ、考えるようなポーズを見せてきた。
「私はねぇ」
「アリアー! マイヤ!」
あれ? どこからかエウロの声がする。
キョロキョロと周りを見渡すと、エウロとミネルが後ろから歩いてきた。
そっか! 2人はもう説明が終わったんだ。
「アリア、挙動不審だぞ」
「えへへ」
ミネルの突っ込みを、笑ってごまかす。
その様子を見ていたマイヤがニコッと……いや、ニヤッと笑った。
「うふ。ミネルくん、そんなアリアちゃんも可愛いと思ってたりして」
マ、マイヤ? 急に何を言い出すの!?
ミネルだよ!? また『いや、逆だ。気持ち悪い』と突っ込まれるのがオチだよ??
……と思っていたのに、予想に反して何も言ってこない。
どうしたんだろう?
ミネルの顔を見ると、目線を横にそらし、手で口元を隠している。
もしかして、あのミネルが照れてる?
……なんて、ね。あり得ないか。
「ミネル、どうしたの?」
「……なんでもない。マイヤの発言に驚いただけだ」
なんだ。そっか、そうだよね。
“いつものマイヤ”だったら、言わない発言だもんね。
それにしても“いつものマイヤ”って言うのもややこしいな。
私にとって“いつものマイヤ”は、他人(私)が困る事を平気で言うタイプのツンデレだからなぁ。
マイヤは「貴重なものが見れちゃったな」とニヤニヤしている。
そんな中、必死な顔をしたエウロが私に向かって口を開いた。
「……ア、アリアは可愛いぞ!」
えっ!? 急にどうしたの??
思いもかけないエウロの発言にドキッとする。
言った本人であるエウロは、なぜか腰元で小さくガッツポーズをしている。
「だ、大丈夫だぞ!」
……ん? 大丈夫??
あぁ、なるほど。変にドキッとしてしまったけど、勘違いだったようだ。
優しいエウロらしい。
「気を遣ってくれたんだね。ありがとう、エウロ」
「えっ! いや! ……あぁ、うん」
私の言葉に、エウロがガックリとうなだれている。
何か変なこと言ったっけ??
「うふふ、元気出して。エウロくん」
「残念だったな、エウロ」
エウロに声を掛けるマイヤとミネルは、なんだか楽しそうだ。
「やっぱり、アリアちゃんといると面白いな」
マイヤが嬉しそうに笑っている。
そう言ってくれるのは嬉しいけど……さっぱり意味が分からない。
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