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高等部 1年生
特訓、調査、たまに休んで、また特訓(前編)
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ヤン爺ちゃんからジュリアの話を聞いた私は、ミネルたちとは異なる調査を開始する事にした。
ミネル達は、特技や弱点など試合に役立ちそうな内容を調べてくれるはず。
私はジュリア自身について……もっと詳しく調べてみよう。
きっとジュリアは“乙女ゲーム”の事を知っている。
もしかすると私が知らないだけで、「childhood friends」の隠れキャラなのかもしれない。
私と同じ転生者だから“乙女ゲーム”の事を知っている?
それとも誰かから“乙女ゲーム”の事を聞いていて自分がヒロインだと言ってる?
本当にヒロインなのかも分からないけど……どちらにせよ、その答えを知っておく必要がありそうだ。
もちろん、ジュリアに勝つべくトレーニングも頑張らないと!!
トレーニングについては、ありがた~い申し出があった。
それは──お母様だ。
週末に家へ帰った際、家族に魔法祭のイベントで対決をする事を伝えた。
私の話に、お母様は少しだけ困ったような顔で息を吐いた。
「アリアの周りは色々な事が起こるのね~」
うっ。またしてもお母様に心配を掛けている。
「でも……今回は面白そうね。《水の魔法》を使える人なら、身近にいるじゃない?」
お母様が自分を指差し、にっこりと微笑んだ。
えー!!
お母様が直々に練習相手になってくれるの!?
「アリアが帰ってくる週末だけにはなってしまうけど、親子なんだし遠慮はいらないわ」
「いえ、週末だけでも助かります。ありがとうございます!」
よくよく思い返してみると、お母様の魔法を見るのは初めてかも!!
「私に勝てるようになったら、次はお父様かしら、ね?」
お母様がお父様に視線を向ける。
「うーん。そうだけど、可愛い娘の練習相手は……」
お父様が今まで見た事ないくらい困惑した顔をしている。
……やっぱり娘相手に戦うのは抵抗があるのね。優しいお父様らしいと言えば、お父様らしい。
「お母様に勝てたら、考えることにします」
「そうしましょうか。私にはなかなか勝てないと思うしね」
いつもは物腰柔らかなお母様が自信満々だ。
これは、願ってもない練習相手かもしれない。
──そうだ! もう一つ確認しないと!!
「お父様の知り合いに、《雷の魔法》を使える方はいませんか?」
「……ああ、オーンくんの対戦相手だね?」
私がこくりと頷く。
お父様とお母様が「うーん」と悩んでいる。
2人がすぐに思い浮かばないくらい《雷の魔法》を使える人って少ないんだ。
そう上手くはいかないかぁ~。
すると突然、一緒に話を聞いていたエレが思い出したように口を開いた。
「僕、知ってるよ」
な、なんですと!?
「エレの知り合いにいるの?」
興奮気味に私が尋ねると、エレが首を横に振った。
「以前、《雷の魔法》が使える従兄弟が他校にいるって、クラスメイトが話をしていたんだ」
な、な、なんですとー!!
早くも見つけちゃった!??
「従兄弟は、他校の中等部と……アリアが通ってる高等部にもいるらしいから、もしかすると対戦相手の弟かもしれない」
その場合、協力を仰ぐのは難しそう。
んー、ダメ元で頼むだけ頼んでみようかな?
「クラスメイトの人に頼んで、紹介だけでもしてもらえないかなぁ?」
「…………(僕にとってはオーンさんが負けてもいいしなぁ)」
……この間は一体??
「そういえば……」
何かを思い出したようにエレが私に問い掛けた。
「今回、なんで対決になったの?」
──えっ?
「アリアとセレスは置いといて、他の人たちは対決を受け入れるような人たちじゃないよね?」
さすがです、エレ様。
実は今回の対決について、親やエレに心配掛けまいと、自分が悪く言われた話を省いて説明してたんだよね。
そこを怪しまれてしまったようだ。
うーん、ダメだ。ウソをつかずに誤魔化せる気がしない。
…………正直に言おう。
「実は……」
仕方なく、ことの経緯を細かく説明する。
「……それで、みんなが怒って対決をする流れになりました」
未だに魔法も使えず、情けない娘ですいません!!
……ん? なんか空気が重く、淀んでいる(気がする)!!
「なるほど。高等部にはそんなくだらない人達がいるんだ。アリア達の代わりに僕が殺りたいところだけど……それはまたの機会にするよ」
エレが淡々と話している。
ん? ん?? 普通に僕も対決したいって事だよね??
一瞬、天使のエレが不吉な事を言ったように聞こえてしまった。
「《雷の魔法》が使える人については、必ず僕が練習相手になってくれるよう落とす……じゃない、頼むからから任せて!」
エレが得意げに笑った。
「その代わり、オーンさんには『必ず勝ってください』と伝えておいて」
おおー! 何て頼もしい弟なんだろう!!
エレが『任せて』って言ったんだもん。
オーンの練習相手は見つかったと思っても過言じゃないだろう。
ミネル達は、特技や弱点など試合に役立ちそうな内容を調べてくれるはず。
私はジュリア自身について……もっと詳しく調べてみよう。
きっとジュリアは“乙女ゲーム”の事を知っている。
もしかすると私が知らないだけで、「childhood friends」の隠れキャラなのかもしれない。
私と同じ転生者だから“乙女ゲーム”の事を知っている?
それとも誰かから“乙女ゲーム”の事を聞いていて自分がヒロインだと言ってる?
本当にヒロインなのかも分からないけど……どちらにせよ、その答えを知っておく必要がありそうだ。
もちろん、ジュリアに勝つべくトレーニングも頑張らないと!!
トレーニングについては、ありがた~い申し出があった。
それは──お母様だ。
週末に家へ帰った際、家族に魔法祭のイベントで対決をする事を伝えた。
私の話に、お母様は少しだけ困ったような顔で息を吐いた。
「アリアの周りは色々な事が起こるのね~」
うっ。またしてもお母様に心配を掛けている。
「でも……今回は面白そうね。《水の魔法》を使える人なら、身近にいるじゃない?」
お母様が自分を指差し、にっこりと微笑んだ。
えー!!
お母様が直々に練習相手になってくれるの!?
「アリアが帰ってくる週末だけにはなってしまうけど、親子なんだし遠慮はいらないわ」
「いえ、週末だけでも助かります。ありがとうございます!」
よくよく思い返してみると、お母様の魔法を見るのは初めてかも!!
「私に勝てるようになったら、次はお父様かしら、ね?」
お母様がお父様に視線を向ける。
「うーん。そうだけど、可愛い娘の練習相手は……」
お父様が今まで見た事ないくらい困惑した顔をしている。
……やっぱり娘相手に戦うのは抵抗があるのね。優しいお父様らしいと言えば、お父様らしい。
「お母様に勝てたら、考えることにします」
「そうしましょうか。私にはなかなか勝てないと思うしね」
いつもは物腰柔らかなお母様が自信満々だ。
これは、願ってもない練習相手かもしれない。
──そうだ! もう一つ確認しないと!!
「お父様の知り合いに、《雷の魔法》を使える方はいませんか?」
「……ああ、オーンくんの対戦相手だね?」
私がこくりと頷く。
お父様とお母様が「うーん」と悩んでいる。
2人がすぐに思い浮かばないくらい《雷の魔法》を使える人って少ないんだ。
そう上手くはいかないかぁ~。
すると突然、一緒に話を聞いていたエレが思い出したように口を開いた。
「僕、知ってるよ」
な、なんですと!?
「エレの知り合いにいるの?」
興奮気味に私が尋ねると、エレが首を横に振った。
「以前、《雷の魔法》が使える従兄弟が他校にいるって、クラスメイトが話をしていたんだ」
な、な、なんですとー!!
早くも見つけちゃった!??
「従兄弟は、他校の中等部と……アリアが通ってる高等部にもいるらしいから、もしかすると対戦相手の弟かもしれない」
その場合、協力を仰ぐのは難しそう。
んー、ダメ元で頼むだけ頼んでみようかな?
「クラスメイトの人に頼んで、紹介だけでもしてもらえないかなぁ?」
「…………(僕にとってはオーンさんが負けてもいいしなぁ)」
……この間は一体??
「そういえば……」
何かを思い出したようにエレが私に問い掛けた。
「今回、なんで対決になったの?」
──えっ?
「アリアとセレスは置いといて、他の人たちは対決を受け入れるような人たちじゃないよね?」
さすがです、エレ様。
実は今回の対決について、親やエレに心配掛けまいと、自分が悪く言われた話を省いて説明してたんだよね。
そこを怪しまれてしまったようだ。
うーん、ダメだ。ウソをつかずに誤魔化せる気がしない。
…………正直に言おう。
「実は……」
仕方なく、ことの経緯を細かく説明する。
「……それで、みんなが怒って対決をする流れになりました」
未だに魔法も使えず、情けない娘ですいません!!
……ん? なんか空気が重く、淀んでいる(気がする)!!
「なるほど。高等部にはそんなくだらない人達がいるんだ。アリア達の代わりに僕が殺りたいところだけど……それはまたの機会にするよ」
エレが淡々と話している。
ん? ん?? 普通に僕も対決したいって事だよね??
一瞬、天使のエレが不吉な事を言ったように聞こえてしまった。
「《雷の魔法》が使える人については、必ず僕が練習相手になってくれるよう落とす……じゃない、頼むからから任せて!」
エレが得意げに笑った。
「その代わり、オーンさんには『必ず勝ってください』と伝えておいて」
おおー! 何て頼もしい弟なんだろう!!
エレが『任せて』って言ったんだもん。
オーンの練習相手は見つかったと思っても過言じゃないだろう。
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