一番モテないヒロインに転生しましたが、なぜかモテてます

Teko

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高等部 1年生

ジュリアの謎(後編)

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私……じゃない。すでに土地は譲ってもらって学校を作ったし。
それにヤン爺ちゃんにはもう自分の家以外、土地はないはず……。


……んー、気になる。
この後、ヤン爺ちゃんに会いに行こう。

改めてスレイさんに別れを告げ、エレ、カウイと一緒に“ヴェント”でヤン爺ちゃんの家へと向かった。

それにしても“キレイな女性”で私の事?? って思ってくれるスレイさん。
なんて素敵な人なんだ!!!


いい気分のままヤン爺ちゃんの家に着き、“ヴェント”を降りた。
カウイがヤン爺ちゃんの家を見つめている。

「アリアから話を聞いてたけど、会うのは初めてだな」

そっか!
カウイが留学しているときに学校を作ったから、ヤン爺ちゃんと会う機会がなかったのか!!

私が「カウイの事は話してるから大丈夫だよ~」と話しながら、我が家のように扉を開けた。

「……ノックは?」

カウイが驚いている。

「ああ、ヤン爺ちゃんの家に入る時は勝手に入っていいの~」

私が笑顔で答える。
ヤン爺ちゃんが『アリアはいつでも勝手に入れ』って言ってくれてるし。

「ヤン爺ちゃーん」
「……おお、アリアか」

驚くこともなく、ヤン爺ちゃんが笑顔で返事をした。

ええと、まずはカウイを紹介しよう。

「ヤン爺ちゃん、今日はカウイを連れてきたの」
「ああ、話に聞いてた幼なじみの子か」
「うん」

ヤン爺ちゃんの前までカウイが歩いていく。

「カウイです。よろしくお願いします」

頭を下げたカウイをヤン爺ちゃんがジーっと見ている。

「ほぅ~、アリアの周りはかっこいい男性が多いんじゃな。ただ!」

ヤン爺ちゃんの目がキラッと光った。

「かっこいいだけでは、アリアは譲らんからな! わしが認めた男じゃないとダメだ!!」

……ヤン爺ちゃんに男性を紹介するとすぐにこれだ。カウイは幼なじみだよ。

「はい、肝に銘じておきます」

カウイが頬を緩めた。

……どういう意味だろう!?
不思議に思っていると、エレがヤン爺ちゃんに向かって言った。

「えっ? 僕は?? ヤン爺ちゃんに認められてないの??」

ウルウルとした瞳でヤン爺ちゃんに訴えている。

「エレは別格じゃ」
「嬉しいなぁ! 僕の事は認めてくれてるんだぁ」

少しだけ声を大きくしたエレが、カウイに向かってニコリと微笑み掛ける。
ん、なんだろう。この踏み込みにくい雰囲気。

……それにヤン爺ちゃん、鼻の下伸びてるよ。
って、違った。そろそろ、本題に入ろう!!

「ヤン爺ちゃん! スレイさんから『土地を譲ってほしい』っていう人が来たって聞いたんだけど」
「ん? ……ああ!」

ヤン爺ちゃんがポンと手をたたいた。

「そうそう、2~3週間前にキレイな女性が来たぞ」
「そう、それ!」

私が興奮気味に言う。

「急にやって来て『学校を作らなきゃいけないから、土地を譲ってほしい。お金ならいくらでもある』とな。失礼な女性じゃった」

その時の事を思い出したのか、ヤン爺ちゃんが少し怒りながら説明している。

「『土地はない、帰れ』と言ったんだが、おかしな事を言い出してな。『まぁ、最初断られるのは分かってますから、また来ます』と、それで帰って行った」

──えっ!?

「そ、それで?」
「宣言通り、また来たんじゃ。また来られても困るから『土地はアリアに譲って、もう学校を作った』と説明してやった。そしたら──」

そ、そしたら??

「えらく驚いておった。『そんなはずない、私が作るはずよ!』と訳の分からない事を言っておったわ」

……その女性って。

「ヤン爺ちゃん、その女性の名前は聞いた?」

私の予想が合っていれば……。

「ああ、“ジュリア”と言っていた」

──やっぱり!!!
カウイも“ジュリア”という名前を聞いて驚いている。

「ほ、他には何か言ってた?」

私の気迫に押されながらも、ヤン爺ちゃんが質問に答える。

「ん~、『イベントが~なんたらこうたら~』って言ってたな」

以前、ジュリアが言っていた“ヒロイン”。
──そして、今回言ったジュリアの言葉。


本来、学校を作る事が“乙女ゲーム”のイベントだったとしたら?
“乙女ゲーム”のヒロインがジュリアで、そのイベントのためにヤン爺ちゃんに会いに来たんだとしたら?

そう考えると話の筋が通るし、ジュリアの言った言葉にもうなずける。
……ただ“乙女ゲーム” 「childhood friends」にジュリアというキャラはいない。


んー、行き詰ってしまった。
考え過ぎという事も有りえるけど、そのわりにはジュリアがヤン爺ちゃんに会いに来たタイミングと、ジュリア達が対決を申し込んできたタイミングが良すぎるな。

もしかして、イベントをつぶした私への恨みだったりして。
あはは、そんな筈ないか。


……いや、待てよ。本当に? そんな筈はないと言い切れる!?
ジュリアについて、もう少し詳しく調べた方がよさそうだ。
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