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高等部 1年生
オーン先生による《光の魔法》講座(後編)
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弾かれた!? オーンの魔法が??
「こんな事は……初めてだ」
私と同じくらいにオーンも困惑しているらしい。
お互いに落ち着く為にも、一旦椅子へと腰を下ろす。
「オーンにとっては初めてだっただけで、たまに弾かれたりするのかな?」
「いや、そんな話は聞いた事がない」
つまり、かなり特殊なケースってこと?
……弾かれるくらい、私に魔法を使わせたくなかったとかだったら、ショックなんですけど。
「もう一度試すのは、アリアを傷つけてしまうかもしれないから……怖いな」
オーンが腕を組み、考え込んでいる。
「ごめん、アリア。この件は一度、持ち帰らせてくれないか?」
「うん。私は全然大丈夫だけど……」
結局、弾かれる原因が解決するまで、すぐに魔法は使えないって事だよね。
まぁ、原因が解決したとしても魔法が使えるようになるかは分からないし。
……うん、今まで以上に頑張って鍛えよう! それしかない!!
「忙しい中、来てくれたのに……。なんかごめんね」
「アリアが悪いわけではないから、謝る必要はないよ」
そうだけど、なんかね。悪い気がしちゃうよね。
「それに、こうしてアリアに会えたわけだし、僕としては役得だったけど?」
オーンがにっこりと笑った。
うっ! またしても返答に困ることを!! オーンの表情からして、私が困るって分かってて言ってるな。
「……オーンは私が困っちゃう事ばかり言うよね」
言ってやった。言ってやったぞー!
「アリアの表情が可愛くて、つい、ね」
オーンがおどけた表情を見せる。
ず、ずるい。イケメンにそんな事を言われたら怒れないじゃないかー!
「あと、アリアが僕の告白を忘れているじゃないかって思ってイジワルしちゃったよ」
…………するどい。
「わ、忘れてはいないよ」
少し図星を指された感があり、焦って答える。
「本当かなぁ? まぁ、僕も改めて気持ちを伝えるまで返事はいらないと言ってるからね。アリアは僕を意識してくれるだけでいいよ」
オーンが楽しそうに微笑んでいる。
……それって、どうなのかな?
返事はいらないと言われつつも、オーンの出会いのチャンスを踏みにじっているような気もする。
オーンって客観的に見ると、顔も整ってる上に文武両道。何をしてもそつなくこなす(少しイジワルだけど)。
本来なら好きにならない理由、付き合わない理由ってないよね?
んー、でもきちんと好きになっていないのに、そんな理由で返事はしたくないなぁ。
私が悩んでいる事に勘づいたのか、オーンが口を開いた。
「意識はしてもらいたいし、願わくば、僕の事を好きになってもらえるのが一番だけど」
オーンがまっすぐな目で私を見つめた。
「卒業まで僕が気持ちを伝え続けて、それでもアリアが僕を好きになれないのなら──潔く諦めて、別な婚約者を見つけるよ。アリア以外なら、誰が婚約者になっても構わないからね。すぐ見つかると思うし」
えっ!! この国では愛のない、好きでもない人との結婚も当たり前のようにある事は知ってるけど、それはそれでどうなのかな。
返事もしていない私が言える立場ではない事は分かってるけど。
「他に好きな人ができるとかは考えないの?」
「先の事は分からないけど、アリアが僕に与えてくれたものを他の人が与えてくれるのは難しいと思うから」
与えた? って……何かしたかな?
思い当たる節が……ない。
「そんなの分からないよ?」
私の質問に穏やかな表情でオーンが答える。
「例えいたとしてもアリアに似ていると思うだけで、結局、僕の中では二番煎じになってしまうんだ」
どう答えるべきか迷っていると、オーンが表情を崩した。
「……なんてね。昔の僕なら、立場上、婚約者を作らなければいけないと思ってたけど、今は違うよ」
えっ! 違う!?
「婚約者を作る時は立場とかを考えずに行動するから、アリアは安心して? まぁ、僕の中ではアリアだと思ってるけど」
オーンがさらっと言った。
あまりにもさりげなく言うものだから、危うく聞き逃すとこだった!!
少なくとも現時点で、私がオーンに対して恋愛感情がない事はオーン自身も知っている。
『“恋愛対象”として見てほしい』って言われたし。
その上で、自分を好きになるという絶対的な自信があるオーンは王子、いや、“王になる資質”を持ってるんだなって思う。
んー、でも今の会話で思っちゃった。
綺麗事かもしれないけど、私の友人、関わる人たちは自分の思いに反した結婚はしてほしくないなぁ。
そのままオーンとの会話を続けていると、メイドのサラが私の元へやって来た。
「アリアお嬢様。お話し中に申し訳ございません。お客様がお見えです」
「お客様?」
今日はオーン以外、誰とも会う約束はしていなかったけど??
「はい、サウロ様がいらっしゃってます」
サウロさん!?
予想だにしなかった人の名前に、思わずオーンと顔を見合わせる。
ひとまず、サラにはオープンテラスまで案内してもらうようお願いした。
サウロさんが来るまでの間、オーンがそっと私に尋ねてくる。
「会う予定だったの?」
「ううん。そんな予定はなかったけど……」
どうしたのかな?
不思議に思っていると、すぐにサウロさんが現れた。
「急にごめんな、アリアって……オーンもいたのか。ちょうど良かった」
ちょうど良かった??
「報告したい事があったんだ。ほら、2人が調査に参加した時、本来はない場所に道ができていた事があっただろ?」
──ああ! あった!!
そこで、モハズさんが大変な目にあったんだ!!
「この前、調査に行った時にも同じような道が見つかったんだ」
──!!!
「情報に進展があったから、2人に伝えようと思ってな。オーンの場合は気軽に行けないから、まずはアリアの家に来たんだ」
まぁ、王室ですからね。気軽には通してくれないよね。
「覚えててくれたんですね。わざわざ、ありがとうございます!」
「あの時──アリアとオーンには世話になったからな。必ず伝えたいと思っていたんだ」
サウロさんって、義理堅いのね。
「あっ、すいません。立ち話もなんなので、座ってください。今飲み物を用意してもらいますね」
サラに飲み物をお願いする。その間に、サウロさんはオーンの横に腰を掛けた。
飲み物が運ばれてきたタイミングで、オーンが話を切り出す。
「この前も似たような道を見つけたって……」
サウロさんが頷く。
「その前に確認させてくれ。オーンの方には何も情報が入っていなかったのか?」
「はい。職務として一部の業務に関わる事もありますが、全てを聞いているわけではないので」
オーンの立場なら、聞いててもおかしくない話なのね。
「そうか」と返事をしつつ、サウロさんが話を戻していく。
「実はその際、仲間らしき人物を2名ほど、捕まえる事ができたんだ」
おおー! すごい!!
「その内の1名が──行方不明者だった」
えっ!
「……操られていた、という事ですか?」
「ああ。捕まえた時は操られていたから、会話がままならなくてな。その後《光の魔法》で浄化させたら、通常の会話できる状態に戻ったよ。ただ『女性に声を掛けられた後の記憶がない』と言っていた」
女性……。
行方不明事件のグループが関わっているって事はきっと、“魔法更生院”の脱走に手引きしたグループって事だよね。
これで、一連の事件は全て同じグループという事がはっきりした。
「そうなんですか……」
「もう1名の方は?」
オーンがサウロさんに尋ねる。
「もう1人は事情を聞いてるんだが、何も話さないんだ。他に首謀者がいるはずなんだが……」
サウロさんが「はぁ~」とため息をつき、頭をかいている。
相当、手こずってるみたいだな。
──あっ! そうだ!!
「だとすると、他国に移動してる可能性があるかもしれないです」
「ん? そうなのか!?」
ミネルから聞いた情報を話すと、サウロさんがぱっと私の顔を見た。
あっ、はい。ミネルの裏ルートの話ですが。
ミネルは『このレベルの内容なら、誰かに話しても構わない』って言ってたし。
「ミネルから教えてもらいました。どうやって知ったかはすいません。触れないでください」
さすがに裏ルートの話はしづらいなぁ。
「ああ、分かった。聞かない」
サウロさんがミネルという名前を聞いたからかな? 納得した表情を見せた。
「情報を伝えるつもりで来たんだが、逆に助かった!」
サウロさんが感謝の言葉を口にする。力になれて良かった!
ふとオーンを見ると、テーブルの上で手を組み、顎に当てている。
何か様子がおかしいような……?
「へぇ~、ミネルと。いつ? 知らなかったなぁ」
……ものすごーくにこやかな顔をしているけど、なんでかな? とてつもない圧を感じる。
「そうだ! 俺はそろそろ仕事に戻らないと」
サウロさんが、いきなり席を立った。
ずるいっ! オーンの不穏な空気を感じて、そそくさと退散しようとしている。
「ま、まだ大丈夫じゃないですかねぇ?」
適当な事を言って、必死でサウロさんを引き留める。
「アリア。サウロさんは仕事で忙しいみたいだよ? 邪魔したら悪いよ?」
オーンの表情はずっと変わる事なく笑顔のままだ。
それが、逆に怖いっ!!
「そうだぞ、アリア! それじゃあ、俺は帰るな!!」
ああー! サウロさん『助かった』って言ってたのに。助けてくれないなんてー!!
一人悲しんでいると、帰る間際、サウロさんが何かを思い出したように私達の方へと振り返った。
「そうだ。お前たちが作った学校だけど、俺も仕事がない日、たまに魔法を教えに行ってるんだ」
そうだったの!?
「学校はまだスタートしたばかりだけど、なかなか優秀な人材がいそうだぞ? 学校がなければ気づけなかった事だ。お前たちが頑張ってくれたお陰だな」
サウロさんが優しい表情で目を細める。
……『助けてくれないなんてー! 逃げるのー? ずるいよー!!』とか、たくさん思っちゃってました。すいません。
「嬉しいお話、ありがとうございます!!」
……そっか、みんなが助けてくれてるんだなぁ。
近々、様子でも見に行こうかな!?
「こんな事は……初めてだ」
私と同じくらいにオーンも困惑しているらしい。
お互いに落ち着く為にも、一旦椅子へと腰を下ろす。
「オーンにとっては初めてだっただけで、たまに弾かれたりするのかな?」
「いや、そんな話は聞いた事がない」
つまり、かなり特殊なケースってこと?
……弾かれるくらい、私に魔法を使わせたくなかったとかだったら、ショックなんですけど。
「もう一度試すのは、アリアを傷つけてしまうかもしれないから……怖いな」
オーンが腕を組み、考え込んでいる。
「ごめん、アリア。この件は一度、持ち帰らせてくれないか?」
「うん。私は全然大丈夫だけど……」
結局、弾かれる原因が解決するまで、すぐに魔法は使えないって事だよね。
まぁ、原因が解決したとしても魔法が使えるようになるかは分からないし。
……うん、今まで以上に頑張って鍛えよう! それしかない!!
「忙しい中、来てくれたのに……。なんかごめんね」
「アリアが悪いわけではないから、謝る必要はないよ」
そうだけど、なんかね。悪い気がしちゃうよね。
「それに、こうしてアリアに会えたわけだし、僕としては役得だったけど?」
オーンがにっこりと笑った。
うっ! またしても返答に困ることを!! オーンの表情からして、私が困るって分かってて言ってるな。
「……オーンは私が困っちゃう事ばかり言うよね」
言ってやった。言ってやったぞー!
「アリアの表情が可愛くて、つい、ね」
オーンがおどけた表情を見せる。
ず、ずるい。イケメンにそんな事を言われたら怒れないじゃないかー!
「あと、アリアが僕の告白を忘れているじゃないかって思ってイジワルしちゃったよ」
…………するどい。
「わ、忘れてはいないよ」
少し図星を指された感があり、焦って答える。
「本当かなぁ? まぁ、僕も改めて気持ちを伝えるまで返事はいらないと言ってるからね。アリアは僕を意識してくれるだけでいいよ」
オーンが楽しそうに微笑んでいる。
……それって、どうなのかな?
返事はいらないと言われつつも、オーンの出会いのチャンスを踏みにじっているような気もする。
オーンって客観的に見ると、顔も整ってる上に文武両道。何をしてもそつなくこなす(少しイジワルだけど)。
本来なら好きにならない理由、付き合わない理由ってないよね?
んー、でもきちんと好きになっていないのに、そんな理由で返事はしたくないなぁ。
私が悩んでいる事に勘づいたのか、オーンが口を開いた。
「意識はしてもらいたいし、願わくば、僕の事を好きになってもらえるのが一番だけど」
オーンがまっすぐな目で私を見つめた。
「卒業まで僕が気持ちを伝え続けて、それでもアリアが僕を好きになれないのなら──潔く諦めて、別な婚約者を見つけるよ。アリア以外なら、誰が婚約者になっても構わないからね。すぐ見つかると思うし」
えっ!! この国では愛のない、好きでもない人との結婚も当たり前のようにある事は知ってるけど、それはそれでどうなのかな。
返事もしていない私が言える立場ではない事は分かってるけど。
「他に好きな人ができるとかは考えないの?」
「先の事は分からないけど、アリアが僕に与えてくれたものを他の人が与えてくれるのは難しいと思うから」
与えた? って……何かしたかな?
思い当たる節が……ない。
「そんなの分からないよ?」
私の質問に穏やかな表情でオーンが答える。
「例えいたとしてもアリアに似ていると思うだけで、結局、僕の中では二番煎じになってしまうんだ」
どう答えるべきか迷っていると、オーンが表情を崩した。
「……なんてね。昔の僕なら、立場上、婚約者を作らなければいけないと思ってたけど、今は違うよ」
えっ! 違う!?
「婚約者を作る時は立場とかを考えずに行動するから、アリアは安心して? まぁ、僕の中ではアリアだと思ってるけど」
オーンがさらっと言った。
あまりにもさりげなく言うものだから、危うく聞き逃すとこだった!!
少なくとも現時点で、私がオーンに対して恋愛感情がない事はオーン自身も知っている。
『“恋愛対象”として見てほしい』って言われたし。
その上で、自分を好きになるという絶対的な自信があるオーンは王子、いや、“王になる資質”を持ってるんだなって思う。
んー、でも今の会話で思っちゃった。
綺麗事かもしれないけど、私の友人、関わる人たちは自分の思いに反した結婚はしてほしくないなぁ。
そのままオーンとの会話を続けていると、メイドのサラが私の元へやって来た。
「アリアお嬢様。お話し中に申し訳ございません。お客様がお見えです」
「お客様?」
今日はオーン以外、誰とも会う約束はしていなかったけど??
「はい、サウロ様がいらっしゃってます」
サウロさん!?
予想だにしなかった人の名前に、思わずオーンと顔を見合わせる。
ひとまず、サラにはオープンテラスまで案内してもらうようお願いした。
サウロさんが来るまでの間、オーンがそっと私に尋ねてくる。
「会う予定だったの?」
「ううん。そんな予定はなかったけど……」
どうしたのかな?
不思議に思っていると、すぐにサウロさんが現れた。
「急にごめんな、アリアって……オーンもいたのか。ちょうど良かった」
ちょうど良かった??
「報告したい事があったんだ。ほら、2人が調査に参加した時、本来はない場所に道ができていた事があっただろ?」
──ああ! あった!!
そこで、モハズさんが大変な目にあったんだ!!
「この前、調査に行った時にも同じような道が見つかったんだ」
──!!!
「情報に進展があったから、2人に伝えようと思ってな。オーンの場合は気軽に行けないから、まずはアリアの家に来たんだ」
まぁ、王室ですからね。気軽には通してくれないよね。
「覚えててくれたんですね。わざわざ、ありがとうございます!」
「あの時──アリアとオーンには世話になったからな。必ず伝えたいと思っていたんだ」
サウロさんって、義理堅いのね。
「あっ、すいません。立ち話もなんなので、座ってください。今飲み物を用意してもらいますね」
サラに飲み物をお願いする。その間に、サウロさんはオーンの横に腰を掛けた。
飲み物が運ばれてきたタイミングで、オーンが話を切り出す。
「この前も似たような道を見つけたって……」
サウロさんが頷く。
「その前に確認させてくれ。オーンの方には何も情報が入っていなかったのか?」
「はい。職務として一部の業務に関わる事もありますが、全てを聞いているわけではないので」
オーンの立場なら、聞いててもおかしくない話なのね。
「そうか」と返事をしつつ、サウロさんが話を戻していく。
「実はその際、仲間らしき人物を2名ほど、捕まえる事ができたんだ」
おおー! すごい!!
「その内の1名が──行方不明者だった」
えっ!
「……操られていた、という事ですか?」
「ああ。捕まえた時は操られていたから、会話がままならなくてな。その後《光の魔法》で浄化させたら、通常の会話できる状態に戻ったよ。ただ『女性に声を掛けられた後の記憶がない』と言っていた」
女性……。
行方不明事件のグループが関わっているって事はきっと、“魔法更生院”の脱走に手引きしたグループって事だよね。
これで、一連の事件は全て同じグループという事がはっきりした。
「そうなんですか……」
「もう1名の方は?」
オーンがサウロさんに尋ねる。
「もう1人は事情を聞いてるんだが、何も話さないんだ。他に首謀者がいるはずなんだが……」
サウロさんが「はぁ~」とため息をつき、頭をかいている。
相当、手こずってるみたいだな。
──あっ! そうだ!!
「だとすると、他国に移動してる可能性があるかもしれないです」
「ん? そうなのか!?」
ミネルから聞いた情報を話すと、サウロさんがぱっと私の顔を見た。
あっ、はい。ミネルの裏ルートの話ですが。
ミネルは『このレベルの内容なら、誰かに話しても構わない』って言ってたし。
「ミネルから教えてもらいました。どうやって知ったかはすいません。触れないでください」
さすがに裏ルートの話はしづらいなぁ。
「ああ、分かった。聞かない」
サウロさんがミネルという名前を聞いたからかな? 納得した表情を見せた。
「情報を伝えるつもりで来たんだが、逆に助かった!」
サウロさんが感謝の言葉を口にする。力になれて良かった!
ふとオーンを見ると、テーブルの上で手を組み、顎に当てている。
何か様子がおかしいような……?
「へぇ~、ミネルと。いつ? 知らなかったなぁ」
……ものすごーくにこやかな顔をしているけど、なんでかな? とてつもない圧を感じる。
「そうだ! 俺はそろそろ仕事に戻らないと」
サウロさんが、いきなり席を立った。
ずるいっ! オーンの不穏な空気を感じて、そそくさと退散しようとしている。
「ま、まだ大丈夫じゃないですかねぇ?」
適当な事を言って、必死でサウロさんを引き留める。
「アリア。サウロさんは仕事で忙しいみたいだよ? 邪魔したら悪いよ?」
オーンの表情はずっと変わる事なく笑顔のままだ。
それが、逆に怖いっ!!
「そうだぞ、アリア! それじゃあ、俺は帰るな!!」
ああー! サウロさん『助かった』って言ってたのに。助けてくれないなんてー!!
一人悲しんでいると、帰る間際、サウロさんが何かを思い出したように私達の方へと振り返った。
「そうだ。お前たちが作った学校だけど、俺も仕事がない日、たまに魔法を教えに行ってるんだ」
そうだったの!?
「学校はまだスタートしたばかりだけど、なかなか優秀な人材がいそうだぞ? 学校がなければ気づけなかった事だ。お前たちが頑張ってくれたお陰だな」
サウロさんが優しい表情で目を細める。
……『助けてくれないなんてー! 逃げるのー? ずるいよー!!』とか、たくさん思っちゃってました。すいません。
「嬉しいお話、ありがとうございます!!」
……そっか、みんなが助けてくれてるんだなぁ。
近々、様子でも見に行こうかな!?
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