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高等部 1年生
姉弟の絆は深まるばかり(前編)
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私は今、エレと2人で中等部の“特別図書館”にいる。
実はこの度、優秀な弟──エレは、なんと! なんとっ!!
夏季休暇前に行われたテスタコーポ大会で優勝したのです!!
皆さん、ありがとうございます!!!
有言実行なんて、エレは 本当に すごい!
私はまだ高等部1年生という事もあり、テスタコーポ大会の手伝いとかはなく、ただただ応援に徹した。
いつもは可愛いエレだけど、大会ではかっこよかったなぁ。
優勝したエレは、当初の目的である“特別図書館”使用の権利を手に入れた。
エレの優しさに感謝しつつ、私の代わりに色々と調べてもらおうと思っていたら──
「アリアも“特別図書館”に入れるよ」
突然、エレから耳を疑うような事を言われた。
「ど、どうして?」
「優勝チームは、3つある権利の内2つ権利を選べるから、“特別図書館”の権利を2つにしたんだ」
そんな事ができるの? できたっけ??
「それで先生達に僕とアリアで“特別図書館”の権利を使わせてくださいと交渉したんだ」
なんとなく、それだけでは認めてもらえないような気がするんだけど……。
どちらにせよ、前代未聞の交渉だろうなぁ。
「アリアの事情を (目を潤ませながら)説明したら、理解してもらえたよ」
うーん……状況も状況だから? 特例だったのかな?
とにかく! エレの優れた活躍&交渉技術により、夏季休暇を利用して“特別図書館”に入れたのです!
本当にありがとう、エレ!!
それにしても、“特別図書館”って想像していたよりずっと広いかも。
一般公開していない本がこんなにあるのかぁ。
普通の図書館と違う所は、司書さんがいない代わりに監視員がいるってことかな。
許可がないと入れない場所だから、見張り的な人がいるのね。
さて、と! さっそく魔法が使えない人がどうやって魔法から身を守るのか調べてみよう。
「僕も一緒に調べるよ」
「ありがとう」
防衛に関する書物を探しながら、エレと共にひたすら本を読み漁る。
集中する事、およそ2時間。それらしい内容は全くといっていいほど、見つからなーーい!
……頭も使ったから、お腹もすいたな。
リフレッシュがてらお昼を食べに行く事に決め、エレと2人、中等部にあるレストランへと向かう。
「エレと2人で出掛けるの久しぶりだね。まあ、出掛けるといっても中等部だけど」
「そうだね。家では(誰かさんがいるから)中々2人になれないからね」
そう言われればそうだなぁ。家ではマイヤと3人でいることが多いもんね。
「僕、アリアがマイヤさんと仲良くなるとは思ってなかったよ」
「えっ! どうして?」
基本、“表の顔”でいるマイヤは、誰とでも仲良くなれそうな気がするけど。
「あの人──裏表激しいでしょ?」
な、なぜ、それを!?
エレと話す時のマイヤは“表の顔”なはず。
「どうして?」
「(不本意だけど……同類だから)見てたら分かるよ」
何でも出来る上に千里眼の持ち主とは。
さすがエレ。私は全然気がついてなかったよ。
そうだ。忘れない内に言っておかなきゃ。
「2人だけの時間をつくる約束だけど、今度一緒に出掛けようね」
「えっ? 今も2人の時間だけど……」
今? ああ、今ね。
「今日は調べものしてるから、あまり会話してないじゃない? こういうのを抜きにして、私がエレとゆっくり話をする時間がほしいな」
エレが頬を緩める。
喜んでくれてる。エレが嬉しそうだと私も嬉しいな。
「この前、ルナたちと行った“エルスターレ”が楽しかったから、エレと一緒に行きたいなぁと思ってるんだ」
「……ルナさん、たち?」
ん? “エルスターレ”ではなく、ルナさん“たち”の部分に反応?
「うん。ルナとリーセさん」
「この前って、ルナさんだけじゃなかったんだ」
あれ? エレに伝えてなかったっけ?
うーん……確かに『ルナと出掛けてくるねー』としか言わなかったかも。
「3人で出掛けたの?」
「うん。それがね~、ルナったら家庭教師がある事を忘れてたみたいで、最初はリーセさんと2人で出掛けたの。その後にルナが合流したよ」
エレの表情がほんの一瞬、硬直する。
「……相手がルナさんだと思って油断してたな。“僕のノート”にメモしておくよ」
「ん?」
今、“僕のノート”って言った? あまりツッコまない方がいいかな??
「今度リーセさんとルナさん……リーセさんと会う時は僕も一緒に行きたいな」
今……リーセさん、1回多くなかった? まぁ、いっか。
エレがにっこりと天使の笑顔で微笑んでいる。
「そうだね。兄弟同士でお出掛けも楽しそうだね」
「……約束だからね?」
「は、はい」
お昼を食べ終わり、再び“特別図書館”へと足を運ぶ。
そういえば、以前『オリュンは力をつける当てがあるんじゃないか』って、カウイと話した事があったな。
どうやって魔力をアップさせるのかな?
んー、悪い癖が出てきた。気になりだしちゃったよー。
「アリア、どうしたの?」
「あっ、ごめんね。考え事してた」
エレも気づくくらい考え込んでたみたい。
「今回の件に関わること?」
「いちおう、そうかな?」
オリュンの件だしね。
「話してみたら?」
「えっ?」
「話したら一緒に解決できるかもよ? それに1人で考えるより、話す事で頭が整理されて解決できるかもしれないし」
なんて優しい弟なんだろう。
お言葉に甘えさせていただきますっ!!
「カウイの従兄弟──オリュンの事を考えてて。もしオリュンに魔力を上げる当てがあるとしたら、どんな方法を使うのかな? と思って」
エレが頷きながら、私の話を聞いている。
「前にね、魔力を急激に上げる方法を調べた事があるんだ。そこで出てきたのが《光の魔法》」
エレも私の言わんとしている事に気がついてるみたい。
「《光の魔法》って、人の眠っている才能を引き出せるから、それで魔力がアップするんじゃないかって考えたんだけど……そもそも 《光の魔法》が使える人って操られる事がないでしょ?」
なんせ《闇の魔法》を浄化できるからね!
「なので、その線は薄いなと思って」
自分で言ってて、行き詰まってしまった。
私の話を少しだけ俯きながら聞いていたエレが、考えるように顎の下へと手をあてる。
「うーん。確かにそうだね……そうだなぁ。もう一度、魔法について調べてみるのは?」
実はこの度、優秀な弟──エレは、なんと! なんとっ!!
夏季休暇前に行われたテスタコーポ大会で優勝したのです!!
皆さん、ありがとうございます!!!
有言実行なんて、エレは 本当に すごい!
私はまだ高等部1年生という事もあり、テスタコーポ大会の手伝いとかはなく、ただただ応援に徹した。
いつもは可愛いエレだけど、大会ではかっこよかったなぁ。
優勝したエレは、当初の目的である“特別図書館”使用の権利を手に入れた。
エレの優しさに感謝しつつ、私の代わりに色々と調べてもらおうと思っていたら──
「アリアも“特別図書館”に入れるよ」
突然、エレから耳を疑うような事を言われた。
「ど、どうして?」
「優勝チームは、3つある権利の内2つ権利を選べるから、“特別図書館”の権利を2つにしたんだ」
そんな事ができるの? できたっけ??
「それで先生達に僕とアリアで“特別図書館”の権利を使わせてくださいと交渉したんだ」
なんとなく、それだけでは認めてもらえないような気がするんだけど……。
どちらにせよ、前代未聞の交渉だろうなぁ。
「アリアの事情を (目を潤ませながら)説明したら、理解してもらえたよ」
うーん……状況も状況だから? 特例だったのかな?
とにかく! エレの優れた活躍&交渉技術により、夏季休暇を利用して“特別図書館”に入れたのです!
本当にありがとう、エレ!!
それにしても、“特別図書館”って想像していたよりずっと広いかも。
一般公開していない本がこんなにあるのかぁ。
普通の図書館と違う所は、司書さんがいない代わりに監視員がいるってことかな。
許可がないと入れない場所だから、見張り的な人がいるのね。
さて、と! さっそく魔法が使えない人がどうやって魔法から身を守るのか調べてみよう。
「僕も一緒に調べるよ」
「ありがとう」
防衛に関する書物を探しながら、エレと共にひたすら本を読み漁る。
集中する事、およそ2時間。それらしい内容は全くといっていいほど、見つからなーーい!
……頭も使ったから、お腹もすいたな。
リフレッシュがてらお昼を食べに行く事に決め、エレと2人、中等部にあるレストランへと向かう。
「エレと2人で出掛けるの久しぶりだね。まあ、出掛けるといっても中等部だけど」
「そうだね。家では(誰かさんがいるから)中々2人になれないからね」
そう言われればそうだなぁ。家ではマイヤと3人でいることが多いもんね。
「僕、アリアがマイヤさんと仲良くなるとは思ってなかったよ」
「えっ! どうして?」
基本、“表の顔”でいるマイヤは、誰とでも仲良くなれそうな気がするけど。
「あの人──裏表激しいでしょ?」
な、なぜ、それを!?
エレと話す時のマイヤは“表の顔”なはず。
「どうして?」
「(不本意だけど……同類だから)見てたら分かるよ」
何でも出来る上に千里眼の持ち主とは。
さすがエレ。私は全然気がついてなかったよ。
そうだ。忘れない内に言っておかなきゃ。
「2人だけの時間をつくる約束だけど、今度一緒に出掛けようね」
「えっ? 今も2人の時間だけど……」
今? ああ、今ね。
「今日は調べものしてるから、あまり会話してないじゃない? こういうのを抜きにして、私がエレとゆっくり話をする時間がほしいな」
エレが頬を緩める。
喜んでくれてる。エレが嬉しそうだと私も嬉しいな。
「この前、ルナたちと行った“エルスターレ”が楽しかったから、エレと一緒に行きたいなぁと思ってるんだ」
「……ルナさん、たち?」
ん? “エルスターレ”ではなく、ルナさん“たち”の部分に反応?
「うん。ルナとリーセさん」
「この前って、ルナさんだけじゃなかったんだ」
あれ? エレに伝えてなかったっけ?
うーん……確かに『ルナと出掛けてくるねー』としか言わなかったかも。
「3人で出掛けたの?」
「うん。それがね~、ルナったら家庭教師がある事を忘れてたみたいで、最初はリーセさんと2人で出掛けたの。その後にルナが合流したよ」
エレの表情がほんの一瞬、硬直する。
「……相手がルナさんだと思って油断してたな。“僕のノート”にメモしておくよ」
「ん?」
今、“僕のノート”って言った? あまりツッコまない方がいいかな??
「今度リーセさんとルナさん……リーセさんと会う時は僕も一緒に行きたいな」
今……リーセさん、1回多くなかった? まぁ、いっか。
エレがにっこりと天使の笑顔で微笑んでいる。
「そうだね。兄弟同士でお出掛けも楽しそうだね」
「……約束だからね?」
「は、はい」
お昼を食べ終わり、再び“特別図書館”へと足を運ぶ。
そういえば、以前『オリュンは力をつける当てがあるんじゃないか』って、カウイと話した事があったな。
どうやって魔力をアップさせるのかな?
んー、悪い癖が出てきた。気になりだしちゃったよー。
「アリア、どうしたの?」
「あっ、ごめんね。考え事してた」
エレも気づくくらい考え込んでたみたい。
「今回の件に関わること?」
「いちおう、そうかな?」
オリュンの件だしね。
「話してみたら?」
「えっ?」
「話したら一緒に解決できるかもよ? それに1人で考えるより、話す事で頭が整理されて解決できるかもしれないし」
なんて優しい弟なんだろう。
お言葉に甘えさせていただきますっ!!
「カウイの従兄弟──オリュンの事を考えてて。もしオリュンに魔力を上げる当てがあるとしたら、どんな方法を使うのかな? と思って」
エレが頷きながら、私の話を聞いている。
「前にね、魔力を急激に上げる方法を調べた事があるんだ。そこで出てきたのが《光の魔法》」
エレも私の言わんとしている事に気がついてるみたい。
「《光の魔法》って、人の眠っている才能を引き出せるから、それで魔力がアップするんじゃないかって考えたんだけど……そもそも 《光の魔法》が使える人って操られる事がないでしょ?」
なんせ《闇の魔法》を浄化できるからね!
「なので、その線は薄いなと思って」
自分で言ってて、行き詰まってしまった。
私の話を少しだけ俯きながら聞いていたエレが、考えるように顎の下へと手をあてる。
「うーん。確かにそうだね……そうだなぁ。もう一度、魔法について調べてみるのは?」
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