一番モテないヒロインに転生しましたが、なぜかモテてます

Teko

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高等部 1年生

『まぁ、いっか』で済ませられない事態発生!!(前編)

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うわぁーーーーー!!
ワタシ、わたし、オーンに告白された!?

ええと、今日はニティと理不尽な賭けをして、剣術で勝負して、勝って……。
『ふぅ、初日から大変だった。反省文書いちゃった、てへ』で終わるはずだったよね?
うん、そうだ。……疲れすぎて夢でも見ちゃった?

「──お嬢様!」

それに……いつの間に自分の部屋に戻ったんだろう?
オーンに別れを告げてからの記憶が全くないっ!!
えっ! やっぱり夢だった??

「お嬢様!!」

大声で呼ばれ、ハッと我に返る。
パニックになっている私の横で、サラが必死に声を掛けていた。

「あっ、サラ。どうしたの?」
「どうしたの? じゃありません。何度お呼びになっても上の空で心配しました」
「ご、ごめん。ちょっと初日から色々ありすぎて、キャパオーバーというか……」

サラが気遣いながらも、心配そうに見ている。

「体調が悪いというわけではないのですね? 夕食は食べられますか?」
「うん、ごめんね。食べるよ。いつもありがとう」

不思議だ。キャパオーバーだけど、お腹は減った。
“腹が減っては戦はできぬ”という、ことわざがあるくらいだ。
“前の世界”の先人の言葉を信じて、まずは食べよう。

サラの美味しい料理を食べながら、オーンとの出来事を整理してみた。
まず、夢ではない(はず)。
とすると……オーンってマイヤが好きなんじゃなかったっけ?
私とマイヤの2人が好きってこと??  オーンって二股気質だったの!!?



……いやいや、違った。
オーンがマイヤを好きというのは、私の勝手な妄想だった。
危ない、危ない。危うく、オーンの名誉を傷つけるところだった。
そうなると、私の“マイヤがヒロイン説”は違うってこと??
うーん。こうなると何が何だか分からなくなってきた。


──オーンは、いつから私の事を好きでいてくれたんだろう?


セレスとオーンが婚約解消をした日を思い出す。

あまりにも突然の出来事だった。そういえば、セレスから何も相談がなかったな。
もしかしたら、私が原因だったのかな?
だとしたら、セレスはつらい思いをしたんじゃ……。
知らなかったとはいえ、無神経な事をしていたかもしれない。

セレスは今も変わらず、接してくれている。
何でもハッキリ、時には余計な事まで言うけど、私が気にするような事は一切言わない。

背中の火傷で、私が髪をバッサリ切った時もそうだった。
私を思い、セレスも同じようにロングヘアを短く切った。それなのに私を気遣い『暑くなってきたから切った』とだけ言った。
──婚約解消の時もそうだったのかもしれない。


オーンとセレス……本当にどうすればいいんだろう?
いつもは『まぁ、いっか』と短絡的に思ってたけど、今回ばかりはきちんと考えなきゃ。

食事を終え、帰るサラを見送った。
サラに心配かけちゃったな……。
申し訳ないと思いながらも、1人になった事で、再びオーンとセレスの事を考え始める。
……そっか。私がまずやらなきゃいけない事があった。
まずは“やるべきこと”をやってから、2人の事を考えよう。

心に決めると、その日はそのまま就寝した。



次の日の朝。

自分の中ではやる事を決めたつもりだったけど……。
ベッドに入った後もごちゃごちゃ考えてしまい、結局のところ、ほとんど眠れなかったなぁ。

学校に着くと、自分のクラスへ向かう前にカウイのいるDクラスをのぞいた。
カウイが窓際の後ろの席に座り、本を読んでいる。
へぇ~、一番後ろの席なんだ。
さらに窓際! いいなぁ~、特等席!!

……じゃなかった! カウイを呼ばなきゃ。
とはいえ、大声で呼び出すのもなぁ。
悩んでいると、ちょうど教室に入ろうとする女性に目が止まる。

「すいません」

急いで女性を呼び止めた。

「はい?」
「カウイを呼んでもらえますか?」
「……カウイさん? 分かりました!」

カウイに話し掛けるきっかけが出来た事が嬉しいのかな?
張り切った声で返事をすると、急いでカウイの元へ向かって行った。

待つ間、女性が嬉しそうにカウイに話し掛ける姿を目で追う。
カウイが本を閉じ、私のいるドアを見た。目が合ったので、笑顔で手を振る。

カウイが私に応えるよう片手を少し上げ、顔をほころばせた。
そのまま席を立つと、すぐに私のところへやって来る。
話し掛けた女性は確実にカウイに見とれているなぁ。

「どうしたの? アリア?」
「あのね。放課後、予定ある? 話したい事があるんだ」

あれ? カウイの表情がほんの一瞬だけど……曇った?
ん? いや、でも、今はにこやかに笑ってるよね??

「もちろん、大丈夫だよ。アリアが誘ってくれたなら断らないよ」

見た目は変わったけど、やっぱり性格は変わらないなぁ。
優しいままだ。

「ありがとう」

カウイと放課後会う約束をし、自分の教室へ向かう。
中へ入ると、一斉に視線が私に集まった。


……あれ? デジャヴ??
昨日もこの光景を見たぞ??

「おはよう、アリア」

ユラちゃんとサイネちゃんが声を掛けてくれた。他のクラスメイトたちも次々に声を掛けてくれる。

良かったぁ。一瞬、初日に戻って、またニティにケンカを売られるのかと思ったぁ。
安心していると、肝心のニティが私の元までやって来た。

「なぁ、昨日の……」
「昨日の?」

ニティが他の人に聞こえないよう私の耳元でささやいた。

「お前の友人が好きなタイプの話……威張らなかったら好きになるか?」

うん。そんなんで好きになるはずないよね。
威張らないなんて、『やっと赤ちゃんが立てるようになりました』レベルだからね。

もしかして、昨日からずっとこの事を考えてたのかな? ニティって……単純なんだな。
表現が正しいのか分からないけど、バカっぽい所が可愛く見えてきた。

初日とは打って変わって、2日目はクラスメイトとワイワイ楽しみながら平和に終了した。
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