一番モテないヒロインに転生しましたが、なぜかモテてます

Teko

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高等部 1年生

オーンの告白

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オーン視点の話です。


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登校初日。

今日、アリアに自分の気持ちを伝えようと決めた。
……とはいえ、さすがに伝えるのは学校が終わってからの方がいいだろう。

朝、アリアを見かけて声を掛けたけど、あまり会話はできなかったな。
ひとまず放課後を待って、アリアに声を掛ける事にしよう。


午前の授業が終わり、昼食を挟んで午後へと移行する。
滞りなく授業が進められている中、なんだか教室の外が騒がしい。

……気のせいだろうか?



休憩時間。
僕とミネルが話しているとマイヤがやって来た。

「同じクラスの人が教えてくれたよ。午後の授業を始めようと先生がクラスへ行ったら、Aクラスの人たちが一人もいなかったみたいで……それで教室の外が騒がしかったみたい」

Aクラス? ──アリアのクラスだ。

騒がしいと思っていたのは気のせいではなかった。
横にいたミネルがクスッと笑った。

「……多分、アリアだろう」
「ええ! なんでアリアちゃん?」

ミネルの言葉にマイヤが驚いている。

「こういう時、必ずあいつが関わっているからな」

口調こそ呆れながら言っているけど、ミネルの表情はどこか楽しそうだ。

確かに今までの経験からアリアが関わっている可能性が高いと……なぜか思ってしまう。
アリアに会ったら、何があったのか聞いてみよう。


学校が終わり、Aクラスをのぞいてみる……アリアがいない?
すでに帰った? さすがにそれはないか……。

「すいません。アリアがどこに行ったかご存知ですか?」

アリアのクラスメイトであろう女性に声を掛け、居場所を尋ねる。
すると彼女は、アリアが反省文を書く為、今は先生の所にいる事を教えてくれた。


…………反省文。
本当にアリアは何をしたのだろう?

教えてくれた女性は「反省文は書いてますが、クラスを代表して書いてくれているだけで、アリアだけが悪いわけではないです」と必死に庇っていた。

初日とは思えないほど、アリアに対して好意的な口調だったな。
細かい話までは聞かなかったけれど、アリアが中心となり関わっていたという事は、よく分かった。

反省文かぁ。書き終えるまで邪魔はしたくないな。
かといって自分の教室で待つのも……外で待つ事にしよう。

本当は別な日に変更した方がいいのかもしれない。

──けど、1年間の想いが溢れ出そうで……すぐにでも気持ちを伝えたい。

うーん……困った事に、僕は自分勝手な人間なのかもしれない。
アリアと出会ってから、次々と自分の新たな面に気づかされる。



待っている間、ふと昔の事を思い出した。

小さい頃、会うのは1年に1、2回だけ。
会話をしたのもほんの数回。
内気な女の子──それが僕の中のアリアの印象だった。

ところが突然、その印象が一気にくつがえる日がやってくる。
それがアリアが“記憶喪失”後に参加したお茶会だった。

あの時、どちらかというと、アリアよりセレスの変化に驚いた。
それまでのセレスはどこか気を張っていて、周りの人を近づかせない、近寄りがたい雰囲気があった。

それがアリアの前では気を張らずに柔らかい雰囲気になっていたからだ。
何より、セレスは楽しそうだった。

そういえば、アリアがミネルを殴って大騒ぎになったのも“あのお茶会”だったな(笑)

好奇心に近い感情でアリアに興味を持ったのかもしれない。
その好奇心が完全に興味へと変わり、アリア自身に惹かれ始めたのは、ほんの些細なきっかけだった。

中等部に入学し、一緒にお昼を食べる事が決まった時だ。
アリアだけ喜ばずに、なんとも言えない表情をしていた。

……僕にそんな顔する人を今まで見た事がなかったから、こんな子もいるんだと強く惹きつけられた。

それからというもの、僕に対する反応が新鮮で面白くて、度々アリアを困らせてしまう自分がいた。

……いつからだろう?
話していて、心地いい、安心できる存在になっていたのは。

その後、カウイやルナ……幼なじみ達がアリアの影響で変わっていくのを見る度、アリアへの関心もどんどん強くなっていった。


僕は自分が優秀で恵まれた環境にいる事を十分に自覚しているし、自分が将来どうあるべきかも理解している。
理解しているからこそ、小さい頃から周囲に求められる期待は大きく、時にはプレッシャーにも感じていた。

周りにいるのは、僕を妬むか、機嫌をうかがって褒めるか……ニセモノばかりだった。
ニセモノだらけの中にいる内に僕自身も本音を隠し、自然と仮面をかぶるのが当たり前になっていった。

父──国王が婚約者を決めた日、『学校にいる間だけは自分らしく、自由に過ごしてほしい』と言ってくれた。

本心で言ってくれたとは思っている。
ただ、自分には自由になれる時などないとも思っていた。

恵まれた環境と理解しつつも、将来が決められ、行動は常に把握されている。

それのどこが自由なのだろうか?
……自分は本当に恵まれているのだろうか? という葛藤が常にあった。

その葛藤は年を増す事に次第に大きくなり、自分が少しずつ壊れてきているのを感じていた。


そんな中、もう二度と経験できる事はないだろうと思い、参加した調査チーム。
参加して良かったと心から思う。

アリアは当たり前のように『跡を継ぐの?』と僕に聞いてきた。

あの一件が僕を変えた。
考え方が変わり、気持ちもすごく楽になった。

そして──
アリアを好きだと自覚した。

王子だから、自由がない。
跡を継ぐから、何もできない。

──では、ない。

最初から諦めて何もできないと思って、考えるのを避け、逃げていただけ。
自分なりの自由を探していなかっただけだった。

アリアの言っていた通り、信頼できる人、頼れる人を増やせばいい。
きちんと周りを見渡せば、歪んだニセモノばかりではなかったのだから……。

やりたい事が見つかれば、両立させればいい。何も諦める必要はない。
それが父の言った『自分らしく、自由に過ごす』という事なんじゃないだろうか。

それに弟が2人もいるんだし、跡を継ぎたくなかったら継がないという道もある。
……そう思えるほど、心に余裕もできた。

まだまだ煩わしく感じる時もあるけど、明らかに前の自分とは違う。
僕はアリアのお陰で、“呼吸をすること”を覚えたんだ。

好奇心旺盛で、表情豊かで、いつも他人の為に一生懸命で……こんなの好きにならない理由がない。

こんなに人を好きになる事なんて、ないと思っていた。
そう思っていたからこそ、想っているだけで今が楽しく、幸せを感じる自分がいる。

……と、一人思い出に浸っていると、遠くから見知った顔が歩いてきた。


──アリアだ!
通り過ぎようとするアリアを呼び止め、声を掛ける。

「実はアリアを待ってたんだ。疲れてるところ悪いんだけど、これから少し話せないかな?」
「……話? うん、もちろん聞くよ!」

最初は戸惑いを見せたアリアだったけど、すぐに張り切った表情へと変わった。
何か相談されると思ってるのかな?

「学校だと(噂になってしまうから)話しづらい内容なんだ。近くにある広場でもいいかな?」

事前に調べておいた学校からほど近い、静かな小さい広場を提案する。

「うん。大丈夫だよ!」

アリアが笑顔で答え、二人で会話をしながら広場までの道のりを歩く。
せっかくなので、気になっていた事を聞いてみた。

「今日、アリアのクラスメイトに反省文を書いてるって聞いたよ?」
「うっ、うん。実は初日からやってしまって……」

アリアが少し顔をしかめながら、反省文を書く事になった経緯を語り出した。


……剣術で勝負!?

話を持ちかける方もどうかと思うけど、そんな無茶な話を受けるなんて。
勝負中の気持ちを思い出したのか、アリアの話にもひときわ熱が入っている。

「でね! 最後は……勝ったよ!!」

アリアが嬉しそうに力強く答えた。
一連の話を聞き終わり、思わず笑いがこみ上げる。

「あははっ」
「…………笑う要素あった?」

笑うと思わなかったのか、アリアが僕の反応に驚いている。

「あはは……ごめん、ごめん。なんでそんな展開になるかな? と思ったら面白くて」
「本当だよね。なんでそうなっちゃったんだろう?」

アリア自身も自分の行動について不思議そうに首をかしげている。

「さすが、わ……僕が大好きなアリアだ」

少しだけ間が空いた後、アリアがぱっと僕の方を見た。

「えぇー。 なんかその言い方は照れるなぁ」

アリアが、はにかむように笑う。

僕は足を止め、アリアの方を見つめた。
アリアも同じく歩みを止め、うかがうように僕と視線を合わせている。


「人目も気にせず、抱きしめたいくらいにアリアの事が好きなんだ。…… 伝わったかな?」


アリアの表情から笑みが消え、茫然と立ち尽くしている。
事態が呑み込めていないような……そんな表情だ。

しばらくの間アリアの反応を待っていると、次第に訳が分からないという表情に変わっていった。

僕の告白は、きちんと伝わらなかったのかな?
友人の好きと勘違いされている??

もう一度、伝えた方がいいかもしれない。

「アリ……」

僕がアリアに声を掛けようとした瞬間、アリアの顔が今まで見た事ないくらい真っ赤になった。

すごい間があったけど、僕の想いはきちんと伝わっていたようだ。
アリアの反応の遅さと、コロコロと変わる表情を見ているうちに、再び笑いだしてしまった。

「ははっ。……大切な告白の場面なのに、笑ってごめん。アリアの表情を見ていたら我慢できなかった」
「……その、オーン、あの……」

さっきまで真っ赤だったアリアの表情が真剣なものへと変わる。
気持ちが伝わったのは嬉しいけど、断られる返事を聞くのはつらいな。

「アリアが“今”僕に恋愛感情がない事は知ってるよ」

アリアの言葉を遮り、重く受け止めすぎないよう穏やかに話す。

「元々はセレスの婚約者だったから、僕を恋愛対象として見ていなかった事も知っている。だから──これからは僕の事を 幼なじみや友人ではなく、きちんと“恋愛対象”として見てほしいんだ」

かっこよく告白したかったけど、現実は難しいな。

「返事はいらないよ。今日は気持ちを伝えたかっただけだから……」

僕の言葉にアリアがどう返していいのか困惑しているようだ。

「いずれまた気持ちを伝えると思う。その時に返事をくれないかな?」

その時は──正式なプロポーズだと思うけど。

「それまではアリアには変わらず、いつも通りに接してほしいんだ。結構、無茶なお願いだとは思ってるけど……」

僕が冗談交じりに笑うと、アリアが黙って頷いた。

「私に気を遣わせないように振る舞ってくれてありがとう。オーンの真剣な気持ちは伝わったから……私、きちんと考えるから」

アリアが少し困りながらも真っ直ぐな表情で返事をした。

アリア……ありがとう。
うん、今はこれで十分だ。というか、十分すぎるくらいだ。

「あの……」

ふいにアリアが言いづらそうに目を背けた。 珍しいな。

「どうしたの?」
「その……いつも通り接してほしいって」
「うん、言ったよ。できれば、今まで通りに接してほしいんだ」

どうしたのだろう? 何か言いにくそうだ。
目線をそらしていたアリアが、意を決したように僕を見つめて言った。

「なんか、それって気を持たせるっていうか……“魔性の女”っていう感じがするんだけど……」


…………魔性の女。
思いもよらない言葉に目が点になる。

「だ、誰が?」

思わず、口に出してしまった。

「いや、自分でいうのもなんだけど、私が……」

アリアが言いづらそうに話している。
…………魔性の女。アリアが?

「あはははははは」

今日一番の大声で、お腹を抱えて笑ってしまう。

まさかそんな突拍子もない事を言い出すとは思わなかった。
ああ、お腹が痛い。

「……言わなきゃよかった」

アリアが笑っている僕の目の前で恥ずかしそうに呟いた。
その姿がたまらなく愛おしい。

「はぁ……やっと落ち着いた。『ごめん』と言いたいところだけど、今のはアリアが悪いよ。“魔性の女”なんて言うから……折角いい雰囲気だったのに」

当分、この事を思い出して笑ってしまいそうだ。
アリアがどこか申し訳なさそうに謝ってくる。

「ご、ごめん」
「いや、今のは冗談だよ。アリアが『気を持たせる』なんて思う必要はないんだ。僕の勝手なお願いなんだから」

アリアの目を見て、真摯に伝える。
まだ迷いがある顔をしてはいるものの、アリアは首を縦に振った。

「オーンがそれを望むなら……分かった」
「ありがとう」

これからアリアは、僕に気を遣わせまいと“いつも通り振る舞おう”としてくれるだろう。

ただ顔に出やすいアリアの事だ。
僕の為にいつも通り振る舞ってるって分かりやすいんだろうなと思うと……今後の反応が楽しみだな。

こんな事を思う僕は、やっぱりイジワルなんだろうな。

「どうしたの?」

アリアが僕の顔を覗き込んで聞いてきた。

……隙だらけだな。
本当は抱きしめてキスしたいけど、さすがに今するのはよくないか。

「いや、何でもないんだ。これからもよろしくね?」

当分の間は今日のように気持ちを伝えたりはしない。
けれど『アプローチはするから覚悟しててね』という意味も込めて……。

まあ、アリアは困るだろうけど(笑)

「……うん」

アリアが少しぎこちない表情で笑った。


……そう、僕とアリアの関係は“ここから”始まる。
高等部での4年間を“僕らしい自由”で大切に過ごしていこう。
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