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高等部 1年生
勝負の行方はAクラスのみぞ知る(前編)
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昼休み。
ユラちゃん、サイネちゃんと一緒に指定された剣術場へと向かう。
戦いに勝ったあかつきには、“勝利のお昼”を2人と一緒に食べるんだ!!
剣術場へと足を踏み入れると、そこにはすでに“ニティ”が待っていた。
「逃げずによく来たな」
「そっちこそ逃げずによく来たね」
私が“ニティ”のセリフをそのまま返すと、予想通り怒りだした。
だからさぁ~、自分が怒るような事を言わなきゃいいのに……。
「審判はこいつにやらせる。いいな?」
指名されたのは、“ニティ”に剣術場を探すよう言われてた男性だ。
ここでも舎弟みたいな扱いを受けている。
なんかイヤだな。
それにこの有無を言わせない言い回し……。
今までずっと、これでまかり通ってきたのだと分かる。
“こいつ”呼ばわりされた男性が審判を了承し、さっそく試合の準備を始める。
試合では授業などで使われるレプリカの剣を使う事になった。
本物の剣ではないにせよ、当たりどころが悪ければ大怪我に繋がる。
気を引き締めて戦わないと!
サイネちゃんが「剣術大会で入賞したって自慢げに話してた」って言ってたから、腕に相当な自信があるはず。
それを考えると、さすがに卑怯な手は使ってこないと思うんだけど……。
お互いに準備も整い、剣術場の真ん中で向かいあって構える。
その間、クラスメイトたちが続々と剣術場に集まってきた。
Aクラス全員が揃ったんじゃないかな? という人数だ。
“ニティ”が周りを見渡し、ニヤッと笑った。
「入学早々に恥をかくな」
「えっ? どっちが?」
“ニティ”が嫌味ったらしく言ってきたので、あえて惚(とぼ)けてみた。
「お前に決まってるだろ!!」
“ニティ”がキレたタイミングで「はじめ」と声が掛かる。
──試合が始まった!
間合いを取り、剣先を相手に向けて構える。
最初に攻撃をしてきたのは“ニティ”だ。
躊躇(ちゅうちょ)なく、頭上から剣を振り下ろしてきた!
──早い!!
かわしきれないと判断し、すぐさま自分の剣を上段へと振り上げ、攻撃を受ける。
早いだけじゃなく、力も強い! 体格差はもちろん、腕の筋力を相当鍛えているらしい。
まともに受け続ければきっと、腕が痺れて使いものにならなくなってしまう。
最悪の事態を避けるべく、相手の動きを観察し、力を外へと逃すように剣と剣をぶつけ合う。
……おかしいな?
こういう時って、相手がいくら強くても、今までの訓練が実を結んで『あれ? 思っていたより弱い? いや、私が強くなっただけか……』とかいう“カッコイイ展開”になるんじゃないのー!?
自信があるだけの事はある。……普通に強いんですけどっ!!
「ア、アリアちゃーん! 頑張ってー!!」
ふいにユラちゃんとサイネちゃんの声が聞こえてくる。
そうだ、応援してくれてる人もいる。よし! 頑張ろう!!
これからの学校生活も掛かってるし、絶対に負けられない!!!
気合いを入れなおし、再び“ニティ”と剣を交える。
両者一歩も譲らぬ展開に、面白半分で見学に来ていたクラスメイトたちの意識も変わってきたらしい。
どんどんと白熱していく試合に周囲は沸き立ち、歓声が上がっていく。
“ニティ”がニヤッと笑った。
あっ。今までの“ニヤッ”という笑い方とは違う。嫌みったらしい表情じゃない。
心底試合を楽しんでいるかのような笑い方だ。
「はぁ、はぁ……お前、強いな」
「そっちも強いね。でも“正義は勝つ”からね。負けないよ!」
「……ん? 誰が正義だ!!」
“ニティ”が私のセリフにツッコんだ。思わず笑みが零れてしまった。
おっと、集中! 集中!!
大きく息を吸い、剣を構え直す。
永遠に続くかのように思われた試合は、隙を見せた一瞬のうちに決まった。
疲れてきた“ニティ”の体勢が、目の前でわずかに崩れたのだ。
──今だ!!
一瞬の隙を見逃さず、思い切り剣を弾く。そのままバランスを崩した“ニティ”がお尻から倒れこんだ。
すかさず、自分の剣を“ニティ”の顔の前に突き付けた。
勝った!!
そう確信するも……あれ? 審判の『やめ』の合図がない?
チラッと審判の様子をうかがうと、“ニティ”を見て、合図を言うべきか迷ってるようだ。
息を切らした“ニティ”が、座り込んだまま審判を見上げる。
「言えよ。はぁ、終わりの……合図を言え」
「は、はい。やめっ! 勝者……」
間が空く。
またしても審判を見ると、顔を斜め下に向けている。
”ニティ”が怖くて、言うのに躊躇(ためら)ってる? のかな??
仕切り直しとか言われたらどうしようと不安に思っていると、審判がまっすぐ顔を上げた。
先ほどの迷いのある顔ではない。何かを吹っ切ったような顔をしている。
「……勝者はアリア! アリアです!!」
わあっ!! と今までで一番大きい歓声が響き渡った。
……つ、疲れた。安心したからかな? 急にどっと疲れが出てきた。
私が突き付けていた剣先を下ろすと同時に、“ニティ”が立ち上がった。
顔を上げ、目線を合わせつつ声を掛ける。
「いい試合だった。ありがとう! ただ私の言った事は守ってもらうよ」
「俺は了──」
何かを言いかけた“二ティ”の言葉を遮り、話を続ける。
「私が伝えた条件を貴方が了承していない事は知ってたよ。ただ……私の胸ぐらを掴んだ時、殴られると思った。だけど、貴方は殴らなかったから、言い訳せずに言った事を守る人だと信じたい。それに試合もズルなどせず、きちんと戦ってくれた。この試合が“いい試合”だったで終われるかどうかは貴方に掛かってる」
あの時、怒りで拳を震わせながらも“ニティ”は殴らなかった。
性格は悪いけど、カウイの従兄弟である“オリュン”のように心底イヤな人でもないのかな?
上流階級としてのプライドはあるのかな? って思ったんだ。
私が黙って見つめていると、“ニティ”がゆっくりと剣術場の床に膝をついた。
「謝れば……いいんだろ」
「うん。ただ、ひざまつかなくてもいいよ。私は誰かさんと違って反省して、謝ってくれれば満足だから」
「お前って、一言余計だな」
うん。イヤな人にはそれなりの言い方にもなるさ。
”二ティ“は再び立ち上がると、私に向かって深々と頭を下げた。
「見かけから、何も言い返さない弱っちい奴だと思ってた。すまん。すごい奴だった」
「どれだけ偉いのか知らないけど……せっかく強いんだから、そういった強さは人を貶(けな)すのじゃなく、守る事に使った方が断然モテると思うよ。少なくとも貴方が言った“美人”の友人たちは“そういう人”だし、彼女たちも“そういう人”を好きになると思うよ」
私の言葉に少しだけ考えるような素振りをみせた後、“ニティ”が戸惑いながらも口を開いた。
「……ニティだ」
「ん?」
「俺の名前は、ニティだ!」
あっ、名前ね。なるほど!
「うん。実は知ってた(心の中では呼んでたし)」
「知ってたのかよ! お前が言わないから、余計な事を言っちゃっただろ」
そんなの知らないよ。
名乗らなかったのは、ニティの方じゃん。
「ちなみにハッキリ言わせてもらうけど、ニティくんが今まで失礼極まりない態度をとっても、誰も何も言わなかったかもしれない。でもね、ニティくんは同級生から嫌われてきたと思うよ?」
「はっ!?」
まさかそんな事を言われるとは思ってなかったのか、怒るというよりも驚愕している。
「嫌われる事をする人は自分が困った時……例えば、親が一文無しになってニティくんが今みたいに威張れなくなった時に誰も助けてくれなくなっちゃうよ? それどころか、ざまあみろと思う人だっているかもしれない」
すぐに怒りだすかな? と思ったけど、思いの外、私の話を聞いてくれている。
「自分が死んだ時に『死んでよかった』と笑われるよりも、周りから『いい人が亡くなった』って泣かれる人生の方がきっと幸せだよ。だから、学校生活を一緒に楽しもうよ」
私が笑い掛けると、ニティが小さい声でつぶやいた。
「今まで俺にそんな事を言うやつなんていなかった」
「ん? 何?」
「お前、ばあさんみたいに年をとった人が言いそう事を言うんだな」
な、なにぃー!!!
ぜんっぜんっ反省してないんじゃない!?
ニティの言葉に憤慨していると、私に向かってパッと手を差し出してきた。
「……せっかく同じクラスになったんだから、ニティって呼べよ。……アリア」
ニティが自分で言ったセリフに照れている。
なんだ。可愛い所もあるじゃん。
「これからよろしくね! ニティ」
差し出された手をギュッと握る。
その様子を遠巻きに見ていたクラスメイトたちも、興奮気味に私たちの元へやって来た。
「アリアって強かったんだね!!」
ユラちゃんが興奮し過ぎて、いつの間にか呼び捨てになっている。嬉しいけど、ね。
他の人たちも「2人の試合すごすぎたー」「また見たいよな!」と嬉しそうに話している。
周りが大騒ぎする中「あの……」と声を掛けられた。
あっ、私の事を笑ってた2人だ。
「さっきは……その、ごめんなさい。私も同じ事をされたら……不快に思ったと思うわ」
「す、すいませんでした」
何も言わなくても、きちんと謝りに来てくれたのか。
「うん、もういいよ。これからよろしくね!」
私の言葉に2人の気まずそうな表情が明るい表情に変わる。
なんだろう? ちょっとしたクラス行事を終えた気分。
思わぬ所でクラスに団結力が芽生えたような?
しばらくの間、みんなで楽しく会話をしていると、突然、剣術場の入口から大きな声が聞こえてきた。
「君たちー! なんで授業が始まったのに、ここにいるんだー!!?」
ユラちゃん、サイネちゃんと一緒に指定された剣術場へと向かう。
戦いに勝ったあかつきには、“勝利のお昼”を2人と一緒に食べるんだ!!
剣術場へと足を踏み入れると、そこにはすでに“ニティ”が待っていた。
「逃げずによく来たな」
「そっちこそ逃げずによく来たね」
私が“ニティ”のセリフをそのまま返すと、予想通り怒りだした。
だからさぁ~、自分が怒るような事を言わなきゃいいのに……。
「審判はこいつにやらせる。いいな?」
指名されたのは、“ニティ”に剣術場を探すよう言われてた男性だ。
ここでも舎弟みたいな扱いを受けている。
なんかイヤだな。
それにこの有無を言わせない言い回し……。
今までずっと、これでまかり通ってきたのだと分かる。
“こいつ”呼ばわりされた男性が審判を了承し、さっそく試合の準備を始める。
試合では授業などで使われるレプリカの剣を使う事になった。
本物の剣ではないにせよ、当たりどころが悪ければ大怪我に繋がる。
気を引き締めて戦わないと!
サイネちゃんが「剣術大会で入賞したって自慢げに話してた」って言ってたから、腕に相当な自信があるはず。
それを考えると、さすがに卑怯な手は使ってこないと思うんだけど……。
お互いに準備も整い、剣術場の真ん中で向かいあって構える。
その間、クラスメイトたちが続々と剣術場に集まってきた。
Aクラス全員が揃ったんじゃないかな? という人数だ。
“ニティ”が周りを見渡し、ニヤッと笑った。
「入学早々に恥をかくな」
「えっ? どっちが?」
“ニティ”が嫌味ったらしく言ってきたので、あえて惚(とぼ)けてみた。
「お前に決まってるだろ!!」
“ニティ”がキレたタイミングで「はじめ」と声が掛かる。
──試合が始まった!
間合いを取り、剣先を相手に向けて構える。
最初に攻撃をしてきたのは“ニティ”だ。
躊躇(ちゅうちょ)なく、頭上から剣を振り下ろしてきた!
──早い!!
かわしきれないと判断し、すぐさま自分の剣を上段へと振り上げ、攻撃を受ける。
早いだけじゃなく、力も強い! 体格差はもちろん、腕の筋力を相当鍛えているらしい。
まともに受け続ければきっと、腕が痺れて使いものにならなくなってしまう。
最悪の事態を避けるべく、相手の動きを観察し、力を外へと逃すように剣と剣をぶつけ合う。
……おかしいな?
こういう時って、相手がいくら強くても、今までの訓練が実を結んで『あれ? 思っていたより弱い? いや、私が強くなっただけか……』とかいう“カッコイイ展開”になるんじゃないのー!?
自信があるだけの事はある。……普通に強いんですけどっ!!
「ア、アリアちゃーん! 頑張ってー!!」
ふいにユラちゃんとサイネちゃんの声が聞こえてくる。
そうだ、応援してくれてる人もいる。よし! 頑張ろう!!
これからの学校生活も掛かってるし、絶対に負けられない!!!
気合いを入れなおし、再び“ニティ”と剣を交える。
両者一歩も譲らぬ展開に、面白半分で見学に来ていたクラスメイトたちの意識も変わってきたらしい。
どんどんと白熱していく試合に周囲は沸き立ち、歓声が上がっていく。
“ニティ”がニヤッと笑った。
あっ。今までの“ニヤッ”という笑い方とは違う。嫌みったらしい表情じゃない。
心底試合を楽しんでいるかのような笑い方だ。
「はぁ、はぁ……お前、強いな」
「そっちも強いね。でも“正義は勝つ”からね。負けないよ!」
「……ん? 誰が正義だ!!」
“ニティ”が私のセリフにツッコんだ。思わず笑みが零れてしまった。
おっと、集中! 集中!!
大きく息を吸い、剣を構え直す。
永遠に続くかのように思われた試合は、隙を見せた一瞬のうちに決まった。
疲れてきた“ニティ”の体勢が、目の前でわずかに崩れたのだ。
──今だ!!
一瞬の隙を見逃さず、思い切り剣を弾く。そのままバランスを崩した“ニティ”がお尻から倒れこんだ。
すかさず、自分の剣を“ニティ”の顔の前に突き付けた。
勝った!!
そう確信するも……あれ? 審判の『やめ』の合図がない?
チラッと審判の様子をうかがうと、“ニティ”を見て、合図を言うべきか迷ってるようだ。
息を切らした“ニティ”が、座り込んだまま審判を見上げる。
「言えよ。はぁ、終わりの……合図を言え」
「は、はい。やめっ! 勝者……」
間が空く。
またしても審判を見ると、顔を斜め下に向けている。
”ニティ”が怖くて、言うのに躊躇(ためら)ってる? のかな??
仕切り直しとか言われたらどうしようと不安に思っていると、審判がまっすぐ顔を上げた。
先ほどの迷いのある顔ではない。何かを吹っ切ったような顔をしている。
「……勝者はアリア! アリアです!!」
わあっ!! と今までで一番大きい歓声が響き渡った。
……つ、疲れた。安心したからかな? 急にどっと疲れが出てきた。
私が突き付けていた剣先を下ろすと同時に、“ニティ”が立ち上がった。
顔を上げ、目線を合わせつつ声を掛ける。
「いい試合だった。ありがとう! ただ私の言った事は守ってもらうよ」
「俺は了──」
何かを言いかけた“二ティ”の言葉を遮り、話を続ける。
「私が伝えた条件を貴方が了承していない事は知ってたよ。ただ……私の胸ぐらを掴んだ時、殴られると思った。だけど、貴方は殴らなかったから、言い訳せずに言った事を守る人だと信じたい。それに試合もズルなどせず、きちんと戦ってくれた。この試合が“いい試合”だったで終われるかどうかは貴方に掛かってる」
あの時、怒りで拳を震わせながらも“ニティ”は殴らなかった。
性格は悪いけど、カウイの従兄弟である“オリュン”のように心底イヤな人でもないのかな?
上流階級としてのプライドはあるのかな? って思ったんだ。
私が黙って見つめていると、“ニティ”がゆっくりと剣術場の床に膝をついた。
「謝れば……いいんだろ」
「うん。ただ、ひざまつかなくてもいいよ。私は誰かさんと違って反省して、謝ってくれれば満足だから」
「お前って、一言余計だな」
うん。イヤな人にはそれなりの言い方にもなるさ。
”二ティ“は再び立ち上がると、私に向かって深々と頭を下げた。
「見かけから、何も言い返さない弱っちい奴だと思ってた。すまん。すごい奴だった」
「どれだけ偉いのか知らないけど……せっかく強いんだから、そういった強さは人を貶(けな)すのじゃなく、守る事に使った方が断然モテると思うよ。少なくとも貴方が言った“美人”の友人たちは“そういう人”だし、彼女たちも“そういう人”を好きになると思うよ」
私の言葉に少しだけ考えるような素振りをみせた後、“ニティ”が戸惑いながらも口を開いた。
「……ニティだ」
「ん?」
「俺の名前は、ニティだ!」
あっ、名前ね。なるほど!
「うん。実は知ってた(心の中では呼んでたし)」
「知ってたのかよ! お前が言わないから、余計な事を言っちゃっただろ」
そんなの知らないよ。
名乗らなかったのは、ニティの方じゃん。
「ちなみにハッキリ言わせてもらうけど、ニティくんが今まで失礼極まりない態度をとっても、誰も何も言わなかったかもしれない。でもね、ニティくんは同級生から嫌われてきたと思うよ?」
「はっ!?」
まさかそんな事を言われるとは思ってなかったのか、怒るというよりも驚愕している。
「嫌われる事をする人は自分が困った時……例えば、親が一文無しになってニティくんが今みたいに威張れなくなった時に誰も助けてくれなくなっちゃうよ? それどころか、ざまあみろと思う人だっているかもしれない」
すぐに怒りだすかな? と思ったけど、思いの外、私の話を聞いてくれている。
「自分が死んだ時に『死んでよかった』と笑われるよりも、周りから『いい人が亡くなった』って泣かれる人生の方がきっと幸せだよ。だから、学校生活を一緒に楽しもうよ」
私が笑い掛けると、ニティが小さい声でつぶやいた。
「今まで俺にそんな事を言うやつなんていなかった」
「ん? 何?」
「お前、ばあさんみたいに年をとった人が言いそう事を言うんだな」
な、なにぃー!!!
ぜんっぜんっ反省してないんじゃない!?
ニティの言葉に憤慨していると、私に向かってパッと手を差し出してきた。
「……せっかく同じクラスになったんだから、ニティって呼べよ。……アリア」
ニティが自分で言ったセリフに照れている。
なんだ。可愛い所もあるじゃん。
「これからよろしくね! ニティ」
差し出された手をギュッと握る。
その様子を遠巻きに見ていたクラスメイトたちも、興奮気味に私たちの元へやって来た。
「アリアって強かったんだね!!」
ユラちゃんが興奮し過ぎて、いつの間にか呼び捨てになっている。嬉しいけど、ね。
他の人たちも「2人の試合すごすぎたー」「また見たいよな!」と嬉しそうに話している。
周りが大騒ぎする中「あの……」と声を掛けられた。
あっ、私の事を笑ってた2人だ。
「さっきは……その、ごめんなさい。私も同じ事をされたら……不快に思ったと思うわ」
「す、すいませんでした」
何も言わなくても、きちんと謝りに来てくれたのか。
「うん、もういいよ。これからよろしくね!」
私の言葉に2人の気まずそうな表情が明るい表情に変わる。
なんだろう? ちょっとしたクラス行事を終えた気分。
思わぬ所でクラスに団結力が芽生えたような?
しばらくの間、みんなで楽しく会話をしていると、突然、剣術場の入口から大きな声が聞こえてきた。
「君たちー! なんで授業が始まったのに、ここにいるんだー!!?」
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