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高等部 1年生
高等部入学&寮生活スタート(後編)
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入学式も無事に終わり、次は入寮式へ向かう事になった。
それぞれの寮で行う事になる為、会場を出た時点で男性陣とは別れを告げた。
入寮式では、寮のルールや説明を聞き、その後は自由時間になるらしい。
初日という事もあって、セレスとルナ、マイヤと一緒に夕食を食べる事になっている。
女子4人で話すのって……婚約者を決めた時以来?? 楽しみー!!
マイヤから留学の話とか、たくさん聞きたいなぁ。
おっと、浮かれている場合じゃなかった。
とりあえず、自分の部屋を片付けないと!
私の部屋は3階らしい。3階……ここか!
すでに鍵を受け取っているサラが中で待っているはず。
ドキドキしながら自分の部屋へ入ると、「お疲れ様です、お嬢様」とサラが微笑んだ。
す、すでに片付いている。
そして、聞いていた通り、ひ、広い!
お風呂などもついてるから、明らかに自宅の部屋より広いんじゃ?
……うん、日当たりもいいね! ベランダまである。
うわぁ、ベランダで外の景色を見ながら、お茶とかもいいかもー。
それに部屋も広いから、お泊まり会とかもできるんじゃない!?
ますます楽しみになってきたー!!
「そうだ。片付けるの大変だったでしょ? ありがとう、サラ」
「いえ。お嬢様は、他の方と比べるとお荷物が少ない方だと思いますので、すぐに片付けが終わりましたよ」
謙虚だなぁ。
「お疲れだと思いますので、ハーブティでも飲みますか?」
「うん、ありがとう。そうそう、今日はセレス達と一緒に夕飯を食べるから早めに上がってね」
「畏まりました」
今までと違って、夕食を食べる日、食べない日は、事前にサラに伝える事を約束した。
せっかく用意してもらうのに無駄になっちゃうなんて事はしたくないもんね。
しばらくの間、サラと久しぶりにゆっくり話をし、夕食の時間になる前に帰りを見送った。
ちょっと早いけど、待ち合わせしているレストランにでも向かおうかな?
軽く準備をしてからレストランへ向かうと、すでにマイヤがテーブルに座って待っていた。
「マイヤ、早いね! 結構、待った?」
「ううん。全然待ってないよ。楽しみだから早く来ちゃって……」
マイヤがにっこりと微笑んだ。
なんて嬉しい事を言ってくれるんだろう!
……私が男だったら、今のセリフでマイヤに惚れちゃうな。
そういえば、エウロも婚約者が決まった時に『マイヤを嫌がる男はいないと思うよ』って言ってたし。
その気持ち、改めてよーく分かります!!
セレスとルナが来る間、2人で会話を楽しんだ。
「交換留学は楽しかった?」
「うん。最初は不安だったんだけど、みんな優しくて楽しかったよ。色々な生活や文化の違いも学べて、自分の中で視野が広がった気がするかな?」
マイヤがニコニコしながら話を続ける。
「カウイくんも留学して良かったって言ってたよ。カウイくん、どんどん背も高くなってね。2年目かな? ものすごいモテてたよ」
「へぇ~、そうだったんだ。確かに久しぶりにカウイに会って驚いたよ」
カウイ、モテてたんだな。
でも、それなら──
「マイヤもカウイに負けないくらいモテたでしょ?」
「私なんて……全然モテなかったよ」
「えっ! そうだったの!? 国の違いでモテる基準も変わるのかなぁ?」
マイヤがモテないなんて、想定外!
少しうつむいたマイヤがためらうように話し始めた。
「モテるどころか……カウイくんがモテ始めてからかな? 留学中、ちょっといじめられちゃって」
「えっ! どうして?」
「幼なじみという事もあって仲良くしてたら、カウイくんの彼女に間違えられちゃって」
ああ~、なるほど。嫉妬的なものかぁ。
嫉妬自体は、自分が出したくないと思っても湧いてくる感情だから、しょうがないよね。
でもそれで人をイジメるのは間違ってる。
マイヤ……さっきは楽しかったって言ってたけど、つらい思い出もあったんだな。
「ごめんね。つらい事を思い出させちゃったね。それでも『楽しかった』って言えるマイヤはすごいね」
「……ありがとう。カウイくんが庇ってくれたから乗り切れたんだ」
マイヤが嬉しそうな顔で笑っている。
あれ? 実は留学中、カウイとマイヤっていい感じ? だった??
なんか……そんな雰囲気を感じる。
「そういえば、学校建ったんだね。心配してたから良かった」
マイヤが話題を変え、学校について聞いてくれた。
「気にしてくれてありがとう。うん、近々、開校予定なんだよね。どんな学校になっていくか楽しみで……」
そうだ! マイヤにお礼を言ってなかった!!
「署名、協力してくれてありがとうね」
「ううん。ちょうどオーンくんの手紙に学校の事を書いてたから、私も何かしたいなって思って」
そっか。
以前ミネルが、マイヤはオーンとのやり取りで動いてくれたって話してたな。
「オーンくん、学校での出来事とか細かく教えてくれたんだ。だから、留学中もアリアちゃんたちと一緒にいるような気分になれて寂しくなかったよ」
「そうだったんだ。なんか留学中も考えてくれてたなんて嬉しいな。それにしても、オーンってマメなんだね」
「……どうなのかな?」
マイヤが可愛らしく微笑んだ。
オーンは、きちんとしてるよなぁ。
セレスとルナは、1通も手紙書いてないって言ってたけど……。
「……ということは、カウイとも手紙やり取りしてたのかな?」
「カウイくんから聞いた話だと、2人は手紙のやり取りはしてなかったんじゃないかなぁ」
ん? それって……もしかして、相手がマイヤだから!?
そういえば、オーンが卒業式に『好きな人を作ってほしい』って言ってた。
という事はつまり──自分には好きな人がいて楽しいから、私にも作ってほしいって事だったのかぁ!!
エウロにカウイ、そしてオーン。
ミネルは? ……気持ちまではまだ分からないけど、中等部を卒業する前にルナと婚約解消してる!
タイミング的にはマイヤが帰ってくる時期と一致してる!!
私の本能が言っている。
こ、これは……。
間違いない! マイヤがヒロインだっ!!!
それぞれの寮で行う事になる為、会場を出た時点で男性陣とは別れを告げた。
入寮式では、寮のルールや説明を聞き、その後は自由時間になるらしい。
初日という事もあって、セレスとルナ、マイヤと一緒に夕食を食べる事になっている。
女子4人で話すのって……婚約者を決めた時以来?? 楽しみー!!
マイヤから留学の話とか、たくさん聞きたいなぁ。
おっと、浮かれている場合じゃなかった。
とりあえず、自分の部屋を片付けないと!
私の部屋は3階らしい。3階……ここか!
すでに鍵を受け取っているサラが中で待っているはず。
ドキドキしながら自分の部屋へ入ると、「お疲れ様です、お嬢様」とサラが微笑んだ。
す、すでに片付いている。
そして、聞いていた通り、ひ、広い!
お風呂などもついてるから、明らかに自宅の部屋より広いんじゃ?
……うん、日当たりもいいね! ベランダまである。
うわぁ、ベランダで外の景色を見ながら、お茶とかもいいかもー。
それに部屋も広いから、お泊まり会とかもできるんじゃない!?
ますます楽しみになってきたー!!
「そうだ。片付けるの大変だったでしょ? ありがとう、サラ」
「いえ。お嬢様は、他の方と比べるとお荷物が少ない方だと思いますので、すぐに片付けが終わりましたよ」
謙虚だなぁ。
「お疲れだと思いますので、ハーブティでも飲みますか?」
「うん、ありがとう。そうそう、今日はセレス達と一緒に夕飯を食べるから早めに上がってね」
「畏まりました」
今までと違って、夕食を食べる日、食べない日は、事前にサラに伝える事を約束した。
せっかく用意してもらうのに無駄になっちゃうなんて事はしたくないもんね。
しばらくの間、サラと久しぶりにゆっくり話をし、夕食の時間になる前に帰りを見送った。
ちょっと早いけど、待ち合わせしているレストランにでも向かおうかな?
軽く準備をしてからレストランへ向かうと、すでにマイヤがテーブルに座って待っていた。
「マイヤ、早いね! 結構、待った?」
「ううん。全然待ってないよ。楽しみだから早く来ちゃって……」
マイヤがにっこりと微笑んだ。
なんて嬉しい事を言ってくれるんだろう!
……私が男だったら、今のセリフでマイヤに惚れちゃうな。
そういえば、エウロも婚約者が決まった時に『マイヤを嫌がる男はいないと思うよ』って言ってたし。
その気持ち、改めてよーく分かります!!
セレスとルナが来る間、2人で会話を楽しんだ。
「交換留学は楽しかった?」
「うん。最初は不安だったんだけど、みんな優しくて楽しかったよ。色々な生活や文化の違いも学べて、自分の中で視野が広がった気がするかな?」
マイヤがニコニコしながら話を続ける。
「カウイくんも留学して良かったって言ってたよ。カウイくん、どんどん背も高くなってね。2年目かな? ものすごいモテてたよ」
「へぇ~、そうだったんだ。確かに久しぶりにカウイに会って驚いたよ」
カウイ、モテてたんだな。
でも、それなら──
「マイヤもカウイに負けないくらいモテたでしょ?」
「私なんて……全然モテなかったよ」
「えっ! そうだったの!? 国の違いでモテる基準も変わるのかなぁ?」
マイヤがモテないなんて、想定外!
少しうつむいたマイヤがためらうように話し始めた。
「モテるどころか……カウイくんがモテ始めてからかな? 留学中、ちょっといじめられちゃって」
「えっ! どうして?」
「幼なじみという事もあって仲良くしてたら、カウイくんの彼女に間違えられちゃって」
ああ~、なるほど。嫉妬的なものかぁ。
嫉妬自体は、自分が出したくないと思っても湧いてくる感情だから、しょうがないよね。
でもそれで人をイジメるのは間違ってる。
マイヤ……さっきは楽しかったって言ってたけど、つらい思い出もあったんだな。
「ごめんね。つらい事を思い出させちゃったね。それでも『楽しかった』って言えるマイヤはすごいね」
「……ありがとう。カウイくんが庇ってくれたから乗り切れたんだ」
マイヤが嬉しそうな顔で笑っている。
あれ? 実は留学中、カウイとマイヤっていい感じ? だった??
なんか……そんな雰囲気を感じる。
「そういえば、学校建ったんだね。心配してたから良かった」
マイヤが話題を変え、学校について聞いてくれた。
「気にしてくれてありがとう。うん、近々、開校予定なんだよね。どんな学校になっていくか楽しみで……」
そうだ! マイヤにお礼を言ってなかった!!
「署名、協力してくれてありがとうね」
「ううん。ちょうどオーンくんの手紙に学校の事を書いてたから、私も何かしたいなって思って」
そっか。
以前ミネルが、マイヤはオーンとのやり取りで動いてくれたって話してたな。
「オーンくん、学校での出来事とか細かく教えてくれたんだ。だから、留学中もアリアちゃんたちと一緒にいるような気分になれて寂しくなかったよ」
「そうだったんだ。なんか留学中も考えてくれてたなんて嬉しいな。それにしても、オーンってマメなんだね」
「……どうなのかな?」
マイヤが可愛らしく微笑んだ。
オーンは、きちんとしてるよなぁ。
セレスとルナは、1通も手紙書いてないって言ってたけど……。
「……ということは、カウイとも手紙やり取りしてたのかな?」
「カウイくんから聞いた話だと、2人は手紙のやり取りはしてなかったんじゃないかなぁ」
ん? それって……もしかして、相手がマイヤだから!?
そういえば、オーンが卒業式に『好きな人を作ってほしい』って言ってた。
という事はつまり──自分には好きな人がいて楽しいから、私にも作ってほしいって事だったのかぁ!!
エウロにカウイ、そしてオーン。
ミネルは? ……気持ちまではまだ分からないけど、中等部を卒業する前にルナと婚約解消してる!
タイミング的にはマイヤが帰ってくる時期と一致してる!!
私の本能が言っている。
こ、これは……。
間違いない! マイヤがヒロインだっ!!!
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