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中等部 編
14歳、学校を作ろう計画始動
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──週末明けのお昼休み
ミネルの助言に従い、幼なじみたちに私が“学校を作ろう”としている事を相談してみた。
一通りの説明が終わった後、ふと、セレスの体がプルプルと震えている事に気づく。
どうしたのかな? と思っていたら、そのまま勢いよく椅子から立ち上がった。
「なんで初めに相談したのがミネルなのよ! どーーう考えても私に先に言うべきしょう!?」
えっ! そ、そこなの!? そして、やっぱり怒られた。
なぜかルナも頷いてるし……。
興奮しているセレスを、オーンが「まぁまぁ」となだめる。
オーン自身は怒りだす事もなく、私の意見に賛同してくれた。
「セレス、落ち着いて。アリアの考えは分かったよ。僕も含めて、みんな手伝う……いや、喜んで一緒にやるよ」
「ああ。もちろん俺も協力する!」
エウロが私を見てにこりと笑った。
「協力する」という言葉にホッとして笑い返すと、横から腕をツンツンと突かれた。
……ん? ルナだ。
「私もやる」
一言だけ言ってにっこり笑った(ように見えた)。
ルナってキレイなんだけど、行動は可愛らしいんだよなぁ。
みんなの返事を聞いて冷静さを取り戻したのか、セレスがコホンと1つ咳払いをした。
「私がいないと始まらないと思うから、もちろんやるわよ!」
「みんな、ありが──」
「さっそくだが、各々にやってもらう作業は考えてある」
私がみんなにお礼を言い終えるよりも先に、ミネルが前のめりで話し始める。
ミネル……行動が早い。
最初から、みんなが引き受けてくれるって思ってたんだな。
「まずはルナ。お兄さんに相談し、高等部の人たちに手伝ってもらう方法を考えてくれ」
「分かった」
ミネルの提案にルナが返事をする。
……なるほど。
確かに去年まで高等部のリーダー的存在だったリーセさんに相談するのが、生徒に協力してもらえる一番の近道かもしれない。
話し終えると、今度はエウロと視線を合わせる。
「次はエウロ。お前の家族は人脈が広い。経営者、先生になってもらえる人物を探してほしい。いや、なってもらえるだけじゃダメだな。ふさわしい人物を探してくれ」
「了解! 探した後はどうする?」
「本当にその人が適しているのか、見極める必要がある。実際に会えるよう手配してほしい」
「分かった、まかせろ!」
エウロの頼もしい返事。
人脈も広い上に家族全員コミュニケーション能力にも長けてるから、信頼できる人物を探してくれそう!
ミネルがチラッとセレスを見た。
「セレスは生徒ではなく、学校側に協力してもらうプランを考えてくれ。考えがまとまり次第……そうだな。まずはセレスの父親に話を持ち掛けるぞ」
そっか、セレスのお父さんは学校の運営に関わってるんだっけ?
昔、私と同じクラスになりたくて、お父さんに頼んだら信じられないほど怒られたって言ってたもんな。
「ミネルの指示なのが気に食わないけど、分かったわ。必ずや、成功させてみせるわ」
な、なんて頼もしい!!
セレスの頼もしさに感動すら覚えていた私にミネルが「ぼーっとするな」と注意した。
「お前は調査チームに頼んで、学校を建設する土地を探してもらうのと、一般の人たちにも手伝ってもらえるよう動くんだろ?」
「う、うん。週末にモハズさんと会う約束をしたよ!」
私とミネルの話を聞いてたオーンが私たちに相談を持ちかけてきた。
「僕もアリアと一緒に行っていいかな? できれば、僕も直接、一般家庭の人たちへ協力をお願いしたいんだ」
んー……オーンの顔ってどのくらい知られてるんだろう??
王子だってバレたら、町中パニックだよなぁ。
ミネルも同じ事を心配したようで、悩んでるみたいだ。
「……立場上、難しいな」
「それは重々承知してるんだけど、一般の方たちと触れ合ったり、どんな生活をしているか知るいい機会なんじゃないかって思ってるんだ」
オーン……。
出来るなら叶えてあげたいけど……。
──そうだ!!
「変装して一緒に行くのは? オーンの顔って 町の人にはそこまで 知られていないと思うんだよね。だから、ちょっとした変装でもバレないんじゃないかな?」
私の提案にオーンが笑顔で答える。
「いいね。それでいこう」
オーンって、前よりも表情が豊かになったような?
みんなに心を許してるって感じがして、なんか嬉しいな。
ミネルが少し悩んだ後、オーンの提案を受け入れた。
「……分かった。ただし、絶対にバレるなよ」
「気をつけるよ」
「僕の方は何名か出資してくれそうな人を探した。父の息子という事で邪険にはできないはずだから、とりあえずは会って話ぐらいは聞いてもらえるだろう」
もう探してくれてたんだ!
ミネルは本当に仕事が早い!!
私も出資してくれる人に会って話をしたいな。
「ミネルが行く時、私も一緒に行っていいかなぁ?」
「構わないが、邪魔だけはするなよ」
「わ、分かってるよ!」
本当に一言多い!!
「……ああ、そうだ」と、何か思い出したようにミネルが尋ねてくる。
「寄付については考えたか?」
「エレにも協力してもらって考えてるよー。準備だけはしておいて、本格的に動くのは学校を建てる場所を見つけてからにしようと思ってる」
エウロが寄付の話を聞いて、提案してくれた。
「俺たちの親も寄付してくれるんじゃないか!?」
「そうね。私の親も寄付してくれる気がするわ」
エウロの意見にセレスも同意した。
親に頼んだら確かに寄付してくれそうだけど……。
「ちゃんと親に具体的な説明ができるようになってから、お願いしたいんだよね。親を納得させられないと、他の人から寄付を募るのも難しいと思うから……」
「そうね……。軽率な事を言ったら、お父様、怒りそうだわ。もう少し動きだしてからにしましょう」
昔、怒られたのがよほど怖かったのか、セレスが珍しく慎重だな(笑)
そうだ!
もう1つ、相談したい事があったんだ。
「実は、学校を作るのに1つ“気がかり”なことがあるんだけど……」
話を切り出すと、私の深刻な表情と“気がかり”というワードでオーンは気づいたようだ。
「学校を作るのを“上院”に認めてもらえるかって……事だよね?」
オーンの問いに「うん」と頷く。
“上院”とは、この国の政治家みたいなものだ。
私が調査チームに参加した時、モハズさんは上流階級の私を攻撃したという理由で、調査チームを辞めさせられるかもしれなかった。
その際に『この国は人の階級によって、裁きの内容が変わるの!?』と、嫌悪感を持ったのがきっかけで、国の仕組みについて色々と調べ始めた。
すると、調べれば調べるほど、階級によって裁きの内容が変わるような事例がたくさん出てきた。
ただ、上流階級の人間が一般の人を殺めた場合……などといった“重い罪”に関する事例は見つける事ができなかった。
今までそんな事例はないってこと? とも思ったけど、“重い罪”の事例だけが見つけられないというのもおかしい。
……どちらにせよ、この国の“闇の部分”を知った瞬間だった。
それと同時に疑問にも思った。
私のお父様たちは、“まつりごと”に関わっている。
要は、“上院”のメンバーなのだ。
お父様は、人によって裁きを変えるような人ではない。
調査チームの出来事を話したときもモハズさんが辞めさせられないよう働き掛けてくれた。
それに一国の王であるサール国王だって、お父様と仲がいいくらいだもん。
差別をするような人に見えない、というか、そういう人だと思いたくないというのもある……。
そこで、モヤモヤした気持ちをなくすべく、直接お父様に聞いてみた。
「モハズさんの事があったから、アリアなら聞いてくるだろうと思ってたよ」
お父様は私が聞いてくることを予想していたようで、穏やかに話してくれた。
──元々、この国は貧富の差や身分の差が今よりも激しい国だったらしい。
それを変えようとしたのが、先々代の国王(オーンのひいおじい様になるのかな?)だった。
“格差をなくそう”という取り組みが始まり、新しい制度などを設ける事で、徐々に緩和されてきたらしい。
ところが、元々権力を持っている上流階級の中には、一般の人たちが力をつける事を面白くないと思っている人たちも多くいる。
お父様は「今も“上院”内では、保守派と革新派による対立が続いている」と言っていた。
そういった経緯もあって、一般の人たちが通える学校を作る事を“上院”に認めてもらえないのでは……と不安に思っている。
やっぱり、オーンも知ってたんだな。
私が不安に思っている事を、みんなにも包み隠さず伝えた。
一般の人たちと関わる事がないエウロ達にとって、“私の不安”は驚くべき内容だったようだ。
ただ、さすがミネル。
すでに知っていたのか、すでに調べていたようで驚く事すらしなかった。
……というか、むしろ冷静だった。
「お前も気にしているという事は、早目にこの問題は片付けておいた方がよさそうだな」
「うん。ただ、認めてもらうにもまずは動かなきゃなって思ってる。言うだけなら認めてもらえそうもないから……」
私の意見にミネルが「そうだな」と答える。
そのまま話を続けていると、エウロがふいに口を開いた。
「……ミネルがそんな事を言うなんて意外だな」
んっ!?
エウロの言葉にセレスも同意している。
「そうね。普段なら『“上院”に認めさせる可能性は低い』とか言ってもおかしくないわね」
そう言われれば……そうかも??
ミネルが余計なお世話と言わんばかりに答えた。
「不本意ではあるが、やると言った以上は必ず成功させる」
ミネルが成功させるっていうと、本当に上手くいきそう。
それに幼なじみたちに協力してもらえるなら、なんでも出来そうな気がする!!
「なんか……カウイとマイヤはいないけど、みんなで何かをするのって初めてだな」
エウロも同じことを感じたらしく、話す声がどこか楽しそうだ。
セレスなんて、いつも以上に自信で満ちあふれた表情を浮かべている。
「ふふっ、困難が大きければ大きいほど燃えるわ!!」
おぉ、セレス! やる気満々!!
「私も」
……私も? あっ、ルナか。
ルナの方を見ると「頑張る」と一言呟いた。分かりづらいけど、気合が入ってるみたい。
「僕もミネルと同じ考えだね。負ける戦いをする気はない。絶対に成し遂げる」
オーンが大胆不敵な笑みで微笑んだ。
こういう人を圧倒させるところに、王族の血を感じるな……。
昼休みも終わりに近づき、ミネルが話を締めくくる。
「学業も疎かにはできないからな。今後、昼休みを各々の報告や対策の場として使っていこう」
こうして、幼なじみたちの協力の元、“学校を作る計画”が動き出した。
ミネルの助言に従い、幼なじみたちに私が“学校を作ろう”としている事を相談してみた。
一通りの説明が終わった後、ふと、セレスの体がプルプルと震えている事に気づく。
どうしたのかな? と思っていたら、そのまま勢いよく椅子から立ち上がった。
「なんで初めに相談したのがミネルなのよ! どーーう考えても私に先に言うべきしょう!?」
えっ! そ、そこなの!? そして、やっぱり怒られた。
なぜかルナも頷いてるし……。
興奮しているセレスを、オーンが「まぁまぁ」となだめる。
オーン自身は怒りだす事もなく、私の意見に賛同してくれた。
「セレス、落ち着いて。アリアの考えは分かったよ。僕も含めて、みんな手伝う……いや、喜んで一緒にやるよ」
「ああ。もちろん俺も協力する!」
エウロが私を見てにこりと笑った。
「協力する」という言葉にホッとして笑い返すと、横から腕をツンツンと突かれた。
……ん? ルナだ。
「私もやる」
一言だけ言ってにっこり笑った(ように見えた)。
ルナってキレイなんだけど、行動は可愛らしいんだよなぁ。
みんなの返事を聞いて冷静さを取り戻したのか、セレスがコホンと1つ咳払いをした。
「私がいないと始まらないと思うから、もちろんやるわよ!」
「みんな、ありが──」
「さっそくだが、各々にやってもらう作業は考えてある」
私がみんなにお礼を言い終えるよりも先に、ミネルが前のめりで話し始める。
ミネル……行動が早い。
最初から、みんなが引き受けてくれるって思ってたんだな。
「まずはルナ。お兄さんに相談し、高等部の人たちに手伝ってもらう方法を考えてくれ」
「分かった」
ミネルの提案にルナが返事をする。
……なるほど。
確かに去年まで高等部のリーダー的存在だったリーセさんに相談するのが、生徒に協力してもらえる一番の近道かもしれない。
話し終えると、今度はエウロと視線を合わせる。
「次はエウロ。お前の家族は人脈が広い。経営者、先生になってもらえる人物を探してほしい。いや、なってもらえるだけじゃダメだな。ふさわしい人物を探してくれ」
「了解! 探した後はどうする?」
「本当にその人が適しているのか、見極める必要がある。実際に会えるよう手配してほしい」
「分かった、まかせろ!」
エウロの頼もしい返事。
人脈も広い上に家族全員コミュニケーション能力にも長けてるから、信頼できる人物を探してくれそう!
ミネルがチラッとセレスを見た。
「セレスは生徒ではなく、学校側に協力してもらうプランを考えてくれ。考えがまとまり次第……そうだな。まずはセレスの父親に話を持ち掛けるぞ」
そっか、セレスのお父さんは学校の運営に関わってるんだっけ?
昔、私と同じクラスになりたくて、お父さんに頼んだら信じられないほど怒られたって言ってたもんな。
「ミネルの指示なのが気に食わないけど、分かったわ。必ずや、成功させてみせるわ」
な、なんて頼もしい!!
セレスの頼もしさに感動すら覚えていた私にミネルが「ぼーっとするな」と注意した。
「お前は調査チームに頼んで、学校を建設する土地を探してもらうのと、一般の人たちにも手伝ってもらえるよう動くんだろ?」
「う、うん。週末にモハズさんと会う約束をしたよ!」
私とミネルの話を聞いてたオーンが私たちに相談を持ちかけてきた。
「僕もアリアと一緒に行っていいかな? できれば、僕も直接、一般家庭の人たちへ協力をお願いしたいんだ」
んー……オーンの顔ってどのくらい知られてるんだろう??
王子だってバレたら、町中パニックだよなぁ。
ミネルも同じ事を心配したようで、悩んでるみたいだ。
「……立場上、難しいな」
「それは重々承知してるんだけど、一般の方たちと触れ合ったり、どんな生活をしているか知るいい機会なんじゃないかって思ってるんだ」
オーン……。
出来るなら叶えてあげたいけど……。
──そうだ!!
「変装して一緒に行くのは? オーンの顔って 町の人にはそこまで 知られていないと思うんだよね。だから、ちょっとした変装でもバレないんじゃないかな?」
私の提案にオーンが笑顔で答える。
「いいね。それでいこう」
オーンって、前よりも表情が豊かになったような?
みんなに心を許してるって感じがして、なんか嬉しいな。
ミネルが少し悩んだ後、オーンの提案を受け入れた。
「……分かった。ただし、絶対にバレるなよ」
「気をつけるよ」
「僕の方は何名か出資してくれそうな人を探した。父の息子という事で邪険にはできないはずだから、とりあえずは会って話ぐらいは聞いてもらえるだろう」
もう探してくれてたんだ!
ミネルは本当に仕事が早い!!
私も出資してくれる人に会って話をしたいな。
「ミネルが行く時、私も一緒に行っていいかなぁ?」
「構わないが、邪魔だけはするなよ」
「わ、分かってるよ!」
本当に一言多い!!
「……ああ、そうだ」と、何か思い出したようにミネルが尋ねてくる。
「寄付については考えたか?」
「エレにも協力してもらって考えてるよー。準備だけはしておいて、本格的に動くのは学校を建てる場所を見つけてからにしようと思ってる」
エウロが寄付の話を聞いて、提案してくれた。
「俺たちの親も寄付してくれるんじゃないか!?」
「そうね。私の親も寄付してくれる気がするわ」
エウロの意見にセレスも同意した。
親に頼んだら確かに寄付してくれそうだけど……。
「ちゃんと親に具体的な説明ができるようになってから、お願いしたいんだよね。親を納得させられないと、他の人から寄付を募るのも難しいと思うから……」
「そうね……。軽率な事を言ったら、お父様、怒りそうだわ。もう少し動きだしてからにしましょう」
昔、怒られたのがよほど怖かったのか、セレスが珍しく慎重だな(笑)
そうだ!
もう1つ、相談したい事があったんだ。
「実は、学校を作るのに1つ“気がかり”なことがあるんだけど……」
話を切り出すと、私の深刻な表情と“気がかり”というワードでオーンは気づいたようだ。
「学校を作るのを“上院”に認めてもらえるかって……事だよね?」
オーンの問いに「うん」と頷く。
“上院”とは、この国の政治家みたいなものだ。
私が調査チームに参加した時、モハズさんは上流階級の私を攻撃したという理由で、調査チームを辞めさせられるかもしれなかった。
その際に『この国は人の階級によって、裁きの内容が変わるの!?』と、嫌悪感を持ったのがきっかけで、国の仕組みについて色々と調べ始めた。
すると、調べれば調べるほど、階級によって裁きの内容が変わるような事例がたくさん出てきた。
ただ、上流階級の人間が一般の人を殺めた場合……などといった“重い罪”に関する事例は見つける事ができなかった。
今までそんな事例はないってこと? とも思ったけど、“重い罪”の事例だけが見つけられないというのもおかしい。
……どちらにせよ、この国の“闇の部分”を知った瞬間だった。
それと同時に疑問にも思った。
私のお父様たちは、“まつりごと”に関わっている。
要は、“上院”のメンバーなのだ。
お父様は、人によって裁きを変えるような人ではない。
調査チームの出来事を話したときもモハズさんが辞めさせられないよう働き掛けてくれた。
それに一国の王であるサール国王だって、お父様と仲がいいくらいだもん。
差別をするような人に見えない、というか、そういう人だと思いたくないというのもある……。
そこで、モヤモヤした気持ちをなくすべく、直接お父様に聞いてみた。
「モハズさんの事があったから、アリアなら聞いてくるだろうと思ってたよ」
お父様は私が聞いてくることを予想していたようで、穏やかに話してくれた。
──元々、この国は貧富の差や身分の差が今よりも激しい国だったらしい。
それを変えようとしたのが、先々代の国王(オーンのひいおじい様になるのかな?)だった。
“格差をなくそう”という取り組みが始まり、新しい制度などを設ける事で、徐々に緩和されてきたらしい。
ところが、元々権力を持っている上流階級の中には、一般の人たちが力をつける事を面白くないと思っている人たちも多くいる。
お父様は「今も“上院”内では、保守派と革新派による対立が続いている」と言っていた。
そういった経緯もあって、一般の人たちが通える学校を作る事を“上院”に認めてもらえないのでは……と不安に思っている。
やっぱり、オーンも知ってたんだな。
私が不安に思っている事を、みんなにも包み隠さず伝えた。
一般の人たちと関わる事がないエウロ達にとって、“私の不安”は驚くべき内容だったようだ。
ただ、さすがミネル。
すでに知っていたのか、すでに調べていたようで驚く事すらしなかった。
……というか、むしろ冷静だった。
「お前も気にしているという事は、早目にこの問題は片付けておいた方がよさそうだな」
「うん。ただ、認めてもらうにもまずは動かなきゃなって思ってる。言うだけなら認めてもらえそうもないから……」
私の意見にミネルが「そうだな」と答える。
そのまま話を続けていると、エウロがふいに口を開いた。
「……ミネルがそんな事を言うなんて意外だな」
んっ!?
エウロの言葉にセレスも同意している。
「そうね。普段なら『“上院”に認めさせる可能性は低い』とか言ってもおかしくないわね」
そう言われれば……そうかも??
ミネルが余計なお世話と言わんばかりに答えた。
「不本意ではあるが、やると言った以上は必ず成功させる」
ミネルが成功させるっていうと、本当に上手くいきそう。
それに幼なじみたちに協力してもらえるなら、なんでも出来そうな気がする!!
「なんか……カウイとマイヤはいないけど、みんなで何かをするのって初めてだな」
エウロも同じことを感じたらしく、話す声がどこか楽しそうだ。
セレスなんて、いつも以上に自信で満ちあふれた表情を浮かべている。
「ふふっ、困難が大きければ大きいほど燃えるわ!!」
おぉ、セレス! やる気満々!!
「私も」
……私も? あっ、ルナか。
ルナの方を見ると「頑張る」と一言呟いた。分かりづらいけど、気合が入ってるみたい。
「僕もミネルと同じ考えだね。負ける戦いをする気はない。絶対に成し遂げる」
オーンが大胆不敵な笑みで微笑んだ。
こういう人を圧倒させるところに、王族の血を感じるな……。
昼休みも終わりに近づき、ミネルが話を締めくくる。
「学業も疎かにはできないからな。今後、昼休みを各々の報告や対策の場として使っていこう」
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