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中等部 編
10歳、死んでませんよ、生きてます(後編)
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オーンが「すぐに帰るよ」と言っていた通り、みんなは長居する事もなく「お大事に」の言葉とともに帰って行った。
父親が来るまで待とうか悩んでいたマイヤも、結局は「私がいても治療の邪魔になっちゃうし、アリアちゃんが気を遣っちゃうといけないから帰るね」と言って、オーン達について行った。
セレスだけは最後まで名残惜しそうにしていたけど、セレスもセレスなりに気を遣ってくれたんだと思う。
涙の跡が残る顔を私に向けながら「今日のところは帰るわ。アリアのケガが落ち着いたら、会いに行くから」と言ってくれた。
医務室にはカウイとエレ、治療をしてくれたお医者さんの3人だけが残った。
カウイも私と同じく、ご両親が学校に呼び出されたようで、今は先生方と話しをしている最中らしい。
暫くすると、マイヤの父であるパンナさんが来てくれた。
すぐに治療を始めるのかと思いきや、まずはカウイとエレに声を掛けている。
「これから治療を始めるから、悪いけどカウイとエレは外に出ていてくれるかな?」
「分かりました。よろしくお願いします」
「は、はい!」
パンナさんに深々とお辞儀をすると、2人は医務室から出て行った。
「さて、治療を開始するかな。アリア、女の子なのに申し訳ないけど、治療の為に傷口を見せてもらうよ」
「はい、お願いします」
私に負担を掛けないよう注意しつつ、パンナさんが背中の傷口を確認する。
「アリアにケガをさせた子は、魔法を使う事はできるけど、まだ自分では制御しきれていないみたいだね。まあ、年齢的に魔法を完璧に使える子なんて、ごく僅かだから当たり前か」
「パンナさんの診断を学校側にもご報告致します」
「そうだね、お願いします。自分が思った通りに魔法を使える子だったら、言い方は悪いけど殺そうと思わない限り、こんな威力で魔法を使ったりはしないだろうからね。自分で魔法を制御をできない子が攻撃魔法を使うのは、本来であれば大問題だからね」
パンナさんとお医者さんは私の傷口を診ながら、色々とやり取りしている。
オリュンは自分の事を優秀だとか言って偉そうにしてたけど、魔法を使いこなせていたわけじゃないんだ。
「アリアごめんね。すぐにでも治療をしてあげたいんだけど、診察が終わるまでもう少し待っててね」
「だ、大丈夫です」
「ありがとう、いい子だね」
それから5分ほど診察した後、パンナさんは《癒しの魔法》で治療を始めてくれた。
背中だからどんな風に魔法を使っているのか見えなくて残念だけど、これが《癒しの魔法》なんだ!
さっきより、背中の痛みが引いていくのが分かる。
実はずっと気になっている事があるんだけど、今は治療中だし、終わってからパンナさんに確認しよう。
治療自体は10分ほどで終わった。
パンナさんが疲れ切ったような口調で私に話し掛けてくる。
「ふう、ごめんね。今日はここまでしか治せないよ」
「いえ、先ほどよりも痛みがなくなりました。ありがとうございます」
うつ伏せのまま、パンナさんにお礼を伝える。
「多少痛みが引いたからといって、痛い事には変わりないと思うから無理しないようにね。そうだ、カウイとエレにもう入ってきてもいいよって伝えてくれるかな?」
「分かりました」
お医者さんが、医務室の外にいるカウイとエレを呼びに行く。
戻って来るのを待っている間、私はパンナさんに気になっていた事を尋ねた。
「あの、パンナさんに聞いていい事か分からないんですが、お聞きしたいことがあるんです」
「どうしたの?」
「さっき、魔法を制御できない人が攻撃魔法を使うことは問題だって言ってましたけど……カウイは大丈夫ですか? 問題になりませんか? もちろん攻撃はしていないですけど、多分、攻撃魔法を出したと思うんです。 でも、カウイの場合は初めて使った魔法だし、様子もいつもと違ってたし……何より私を守ろうとして魔法が出てしまっただけなんです。カウイの従兄弟とは理由が全然違うんです!」
うっ! せ、背中が痛い。
話している内にどんどん力が入ってしまい、また背中が痛くなってきた。
「……アリアは本当にお父さん、お母さんに似ているね。優しいところがそっくりだ。私が判断できる事ではないけれど、カウイが相手を傷つけたりはしていないのなら、そんなに問題にはならないと思うよ。アリアのケガが落ち着いたら、今のお話を先生方にしてごらん。きっとカウイは大丈夫だから」
私の不安を掻き消すかのように、パンナさんがハンカチで顔の汗を拭きながらにっこりと微笑む。
どうなるかは分からないけど、言われた通り、先生方にもちゃんと伝えよう。カウイは悪くないって。
パンナさんとの話が終わったタイミングで、エレとカウイが医務室へと戻って来る。
さっきよりも背中の痛みが引いた事を伝えると、2人揃って安堵の表情を浮かべた。
「さて、私はそろそろ帰るかな。明日以降は、別な《癒しの魔法》を使える人が治療してくれるからね。アリア、くれぐれもお大事にね」
「パンナさん、ありがとうございました」
「本当にありがとうございます」
「あ、ありがとうございます」
私がパンナさんにお礼を言うと、エレとカウイもならうようにして頭を下げた。
笑顔のまま軽く手を振り、パンナさんが帰って行く。
暫くすると、私の両親とカウイの両親が医務室に入ってきた。
「遅くなってごめんね。今回の経緯について先生方と話した後、アリアの治療期間についても相談してきたよ。2~3週間は学校を休む事になるかな。 アリアにとっては残念かもしれないけど、まずは治療に専念しよう」
入学してからまだ1週間しか経っていないのに、そんなに休まないといけないのか……。
「……はい、お父様。2、3週間かぁ。勉強ついていけるかなぁ」
魔法の勉強するの、楽しみにしてたんだけどなぁ。
「それとカウイくんの従兄弟と友人の子たちは、処分が決まるまでの間は休学という扱いになったよ。カウイくんは普通に登校していいって」
お父様がカウイに今後の説明をしている。
「あ、ありがとうございます。アリアちゃん、休んだ分の勉強は僕が教えるから。今はゆっくり休んで、早く良くなってね」
「ありがとう、カウイ」
処分が決まる間は休学か……これからどうなるか分からないけど、まずは一安心。
お父様とカウイが言う通り、私は治療に専念する事にしよう。
ケガが治らない限り、カウイがずっとケガの事を気にしちゃうしね。
父親が来るまで待とうか悩んでいたマイヤも、結局は「私がいても治療の邪魔になっちゃうし、アリアちゃんが気を遣っちゃうといけないから帰るね」と言って、オーン達について行った。
セレスだけは最後まで名残惜しそうにしていたけど、セレスもセレスなりに気を遣ってくれたんだと思う。
涙の跡が残る顔を私に向けながら「今日のところは帰るわ。アリアのケガが落ち着いたら、会いに行くから」と言ってくれた。
医務室にはカウイとエレ、治療をしてくれたお医者さんの3人だけが残った。
カウイも私と同じく、ご両親が学校に呼び出されたようで、今は先生方と話しをしている最中らしい。
暫くすると、マイヤの父であるパンナさんが来てくれた。
すぐに治療を始めるのかと思いきや、まずはカウイとエレに声を掛けている。
「これから治療を始めるから、悪いけどカウイとエレは外に出ていてくれるかな?」
「分かりました。よろしくお願いします」
「は、はい!」
パンナさんに深々とお辞儀をすると、2人は医務室から出て行った。
「さて、治療を開始するかな。アリア、女の子なのに申し訳ないけど、治療の為に傷口を見せてもらうよ」
「はい、お願いします」
私に負担を掛けないよう注意しつつ、パンナさんが背中の傷口を確認する。
「アリアにケガをさせた子は、魔法を使う事はできるけど、まだ自分では制御しきれていないみたいだね。まあ、年齢的に魔法を完璧に使える子なんて、ごく僅かだから当たり前か」
「パンナさんの診断を学校側にもご報告致します」
「そうだね、お願いします。自分が思った通りに魔法を使える子だったら、言い方は悪いけど殺そうと思わない限り、こんな威力で魔法を使ったりはしないだろうからね。自分で魔法を制御をできない子が攻撃魔法を使うのは、本来であれば大問題だからね」
パンナさんとお医者さんは私の傷口を診ながら、色々とやり取りしている。
オリュンは自分の事を優秀だとか言って偉そうにしてたけど、魔法を使いこなせていたわけじゃないんだ。
「アリアごめんね。すぐにでも治療をしてあげたいんだけど、診察が終わるまでもう少し待っててね」
「だ、大丈夫です」
「ありがとう、いい子だね」
それから5分ほど診察した後、パンナさんは《癒しの魔法》で治療を始めてくれた。
背中だからどんな風に魔法を使っているのか見えなくて残念だけど、これが《癒しの魔法》なんだ!
さっきより、背中の痛みが引いていくのが分かる。
実はずっと気になっている事があるんだけど、今は治療中だし、終わってからパンナさんに確認しよう。
治療自体は10分ほどで終わった。
パンナさんが疲れ切ったような口調で私に話し掛けてくる。
「ふう、ごめんね。今日はここまでしか治せないよ」
「いえ、先ほどよりも痛みがなくなりました。ありがとうございます」
うつ伏せのまま、パンナさんにお礼を伝える。
「多少痛みが引いたからといって、痛い事には変わりないと思うから無理しないようにね。そうだ、カウイとエレにもう入ってきてもいいよって伝えてくれるかな?」
「分かりました」
お医者さんが、医務室の外にいるカウイとエレを呼びに行く。
戻って来るのを待っている間、私はパンナさんに気になっていた事を尋ねた。
「あの、パンナさんに聞いていい事か分からないんですが、お聞きしたいことがあるんです」
「どうしたの?」
「さっき、魔法を制御できない人が攻撃魔法を使うことは問題だって言ってましたけど……カウイは大丈夫ですか? 問題になりませんか? もちろん攻撃はしていないですけど、多分、攻撃魔法を出したと思うんです。 でも、カウイの場合は初めて使った魔法だし、様子もいつもと違ってたし……何より私を守ろうとして魔法が出てしまっただけなんです。カウイの従兄弟とは理由が全然違うんです!」
うっ! せ、背中が痛い。
話している内にどんどん力が入ってしまい、また背中が痛くなってきた。
「……アリアは本当にお父さん、お母さんに似ているね。優しいところがそっくりだ。私が判断できる事ではないけれど、カウイが相手を傷つけたりはしていないのなら、そんなに問題にはならないと思うよ。アリアのケガが落ち着いたら、今のお話を先生方にしてごらん。きっとカウイは大丈夫だから」
私の不安を掻き消すかのように、パンナさんがハンカチで顔の汗を拭きながらにっこりと微笑む。
どうなるかは分からないけど、言われた通り、先生方にもちゃんと伝えよう。カウイは悪くないって。
パンナさんとの話が終わったタイミングで、エレとカウイが医務室へと戻って来る。
さっきよりも背中の痛みが引いた事を伝えると、2人揃って安堵の表情を浮かべた。
「さて、私はそろそろ帰るかな。明日以降は、別な《癒しの魔法》を使える人が治療してくれるからね。アリア、くれぐれもお大事にね」
「パンナさん、ありがとうございました」
「本当にありがとうございます」
「あ、ありがとうございます」
私がパンナさんにお礼を言うと、エレとカウイもならうようにして頭を下げた。
笑顔のまま軽く手を振り、パンナさんが帰って行く。
暫くすると、私の両親とカウイの両親が医務室に入ってきた。
「遅くなってごめんね。今回の経緯について先生方と話した後、アリアの治療期間についても相談してきたよ。2~3週間は学校を休む事になるかな。 アリアにとっては残念かもしれないけど、まずは治療に専念しよう」
入学してからまだ1週間しか経っていないのに、そんなに休まないといけないのか……。
「……はい、お父様。2、3週間かぁ。勉強ついていけるかなぁ」
魔法の勉強するの、楽しみにしてたんだけどなぁ。
「それとカウイくんの従兄弟と友人の子たちは、処分が決まるまでの間は休学という扱いになったよ。カウイくんは普通に登校していいって」
お父様がカウイに今後の説明をしている。
「あ、ありがとうございます。アリアちゃん、休んだ分の勉強は僕が教えるから。今はゆっくり休んで、早く良くなってね」
「ありがとう、カウイ」
処分が決まる間は休学か……これからどうなるか分からないけど、まずは一安心。
お父様とカウイが言う通り、私は治療に専念する事にしよう。
ケガが治らない限り、カウイがずっとケガの事を気にしちゃうしね。
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