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子どもの頃(入学前)編
9歳、平凡キャラ!?カウイがやってきました
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すっかり元気を取り戻した私はいつもと変わらない日常を過ごしていた。
“あのお茶会”の後、すぐミネルに手紙を書いて送った。
ケンカはしてしまったけど、お互いの事を知って仲良くなりたいという事。
弟“エレ”の事や、私が知っている《闇の魔法》の知識についてなど。
お茶会で会う度、気まずいのも嫌だしね。
まだ私自身の事を書いてないけど、既に結構な手紙の枚数になっちゃった。
……そうだ!
手紙の最後に『次は私の事を知ってもらう為に手紙を書きます』と締めくくる事にした。
もう少し経ったら、また手紙でも書こう。
さて、と。今日やろうと思っていた勉強も終わったし……これから何をしようかなあ?
うだうだと何をするか考えていると、トントンとドアをノックする音が聞こえた。
「はい、どうぞー」と返事をすると、メイドのサラが部屋に入ってきた。
「お嬢様。カウイ様がいらっしゃいました」
……カウイ?
カウイって、“あのカウイ”だよね。
どうしたんだろう?
この前のお茶会で会話らしい会話をした覚えがないけど……。
「ええと……どうしようかな? 室内のテラスで話そうかな」
「かしこまりました」
テラスに向かっている途中、お茶会でのカウイを思い出す。
ミネルを殴った時、カウイは私を庇おうとしていたよね?
お茶会ではうなずくか、首を横に振るだけで、言葉を発しなかったカウイ。
あの時だけは自分から話そうとしていた。
きっと優しい人なんだろう……とは思うけど、実際はどんな人なのかな? 今日でカウイの事を少しでも知れたら嬉しいな。
テラスに着くとカウイが立って待っていた。
人の家だから落ち着かないのかな? オロオロしてる。
「カウイ、お待たせしました」
私が声を掛けると、カウイがぱっと振り向いた。
「きょ、きょ、今日はきゅ、急に来て、す、すいません。よ、予定とかは?」
「ちょうど何をしようかなぁ? と思っていた所だったから大丈夫だよ。まずは座って。話はそれから!」
カウイが椅子に座り、私もテーブルを挟んだ向かいの椅子に座った。
「………………」
「………………」
中々話し出さないな……。
私から話を切り出してみようかな?
「今日は何か話があってきたんじゃ……?」
「はっ、はい。お、お、お茶会での事が、し、し、心配で」
場の空気を悪くしてしまったのは私なのに……心配で来てくれたんだ。
カウイに“庇ってくれた時”の事、お礼を言わなきゃ。
「ミネルとケンカして親たちが来た時、カウイがケンカの理由を説明しようとしてくれたでしょ? ありがとうね」
「う、う、ううん。ぼ、僕は、全然、は、話せなかったから」
戸惑いながらもカウイが返事をする。
「そんな事ないよ! カウイがきっかけでオーンも説明してくれたんだと思うよ。だから、ありがとう」
「う、うん」
おっ、カウイが照れてる。可愛い。
「エ、エレくんは、だ、大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。元気だよ。カウイが心配して来てくれた事はエレにも伝えておくね。ありがとう」
おっ、また照れてる。
「じゃ、じゃあ、か、帰るね」
えっ、えっ、えーっ! か、帰るの早くない!?
まだ椅子に座ってから、5分も話してないんじゃ……。
「カウイはこの後、予定でもあるの?」
私が予定を確認すると、カウイは首を横に振った。
「よければ、ゆっくりしていって。お茶会の時は話せなかったから、カウイとゆっくり話もしたいし」
なんだか……おどおどして困っているように見える。
しばらくすると、カウイが口を開いた。
「ぼ、僕と、か、か、会話をしても、た、楽しく、な、ないとお、思う。そ、それに、ど、ど、どもって、し、しまうから、き、聞きづらいし」
「そう? 私はカウイと話をしていて楽しくないと思っていないし、聞きづらくもないよ。さっきも言った通り、カウイさえよければお話したいな」
私の言葉を聞き、カウイは思いっきり首を縦に振った。
これはOKって事だよね! 私と話をしたくないとかじゃなくて良かったぁ。
“どもり”が気になってるから、あまり話さないのかな?
私がゆっくり話せばカウイも話しやすいかな??
「カウイ、兄弟は?」
カウイ、首を横に振る。
「一人っ子なんだね」
カウイ、首を縦に振る。
その後の会話もほぼ私が話をして、カウイは首を縦に振る、横に振るの繰り返しだった。
昔もこんな状況があったよなぁ。
エレと出会って間もない時も、ほぼ私が話してたからこんな感じだったな。
……今となっては懐かしい。
「そうだ。来年から学校だね! カウイやセレスも同じ学校だって聞いたよ。楽しみだな」
「ぼ、僕は、ふ、不安」
「……不安? それはさっき気にしていた会話のこと?」
カウイが首を縦に振った。
「な、なにか、い、言わなきゃって、お、思うと、う、うまく話す、は、話せなくて……」
なるほど。
上手に話さなきゃっていう緊張? 焦り? それとも“どもる”かもしれないという不安??
カウイのご両親はカウイが“どもる”事で、怒ったり、焦らせたりする感じの人には見えなかったけど??
過去に何か言われたり、嫌な思いをしたのかもしれない。
「カウイ!!」
カウイのお陰で私が救われた事を伝えたい!!
「カウイは私とミネルがケンカをした時、真っ先にケンカの理由を説明しようとしたり、今日のように私とエレを心配して会いに来てくれる優しい行動力のある人だよね。心の中で助けたいなって思っていても、実際に行動に移せる人って少ないんじゃないかなぁ? 行動に移せるカウイはすごいし、自信を持っていい事だよ! 私はカウイの“その優しさ”にすごい救われたよ!!」
少し興奮気味に続けて話す。
「私はそんな優しいカウイと、もっともっと仲良くなりたいって思っているし、今日1日カウイと話してて楽しかったよ。だから私と話している時は“上手に話さなきゃ”って思う必要はないし、“楽しくないかも”って心配する必要もないよ。……そうは言っても、急に“そう思わなくする事”って難しいと思うから、少なくとも“私がそう思っている”という事だけは覚えていてね!!」
私が勢いよく一気に話をしたからか、ぽかーんと口を開けている。
しばらくして「う、うん。あ、ありがとう」と言ってくれた。
首を縦に振るだけじゃなく、ちゃんと言葉で返してくれた。
…… 一歩前進かな!?
少しずつ話す機会さえ増えれば、緊張しなくなるかもしれない。
「カウイさえよければ、今後もこうやってお互いの家を行き来して、話したり遊んだりしない?」
そうだ! 明日はセレスが遊びに来るんだ。
カウイも誘ってみよう!!
「明日セレスが家に来るの。セレスには私から話しておくから、もしよかったら明日も遊びにおいでよ。エレも入れて4人で遊ぼう!」
カウイがちょっと戸惑った表情をしている。
用事でもあるのかな? それとも人数が多いのは苦手??
「もちろん明日予定がなければで、大丈夫だよ!」
「あ、明日も来ていいの?」
「もちろん! 多分セレスもOKだと思う」
マイヤとルナだったら、事前にセレスに確認する必要があるかもしれない。
でもカウイなら大丈夫でしょう。
今では私とセレス、エレで遊ぶのも当たり前になってるし。
それに明日セレスは大量の手作りマドレーヌを持ってくるはず……。
食べてくれる人が1人でも多いのは、私としてもありがたい。
「う、うん! ぼ、僕、と、とも……だ、誰かと約束して、あ、遊ぶの初めて」
「誰かじゃなく、友達って言っていいんだよ。私は今日でカウイと友達になれたって思ってるよ!」
カウイは少し恥ずかしそうに言った。
「う、うん。友達と遊ぶの初めて」
カウイが照れて言うから、私も自分で言った“友達”という言葉に少し照れてきた。
“友達”って、お互いに「今日から友達です」と確認し合うものではないと思っていたから、改めて自分の口から言うと少し恥ずかしいな。
でもカウイの場合は、ちゃんと言葉にして言ってあげなきゃ伝わらないのかもしれない。
「じゃあ、明日」
「う、うん。あ、明日」
カウイが帰るのを見送り、手を振った。
カウイは今日一番の笑顔で手を振り返してくれた。
“あのお茶会”の後、すぐミネルに手紙を書いて送った。
ケンカはしてしまったけど、お互いの事を知って仲良くなりたいという事。
弟“エレ”の事や、私が知っている《闇の魔法》の知識についてなど。
お茶会で会う度、気まずいのも嫌だしね。
まだ私自身の事を書いてないけど、既に結構な手紙の枚数になっちゃった。
……そうだ!
手紙の最後に『次は私の事を知ってもらう為に手紙を書きます』と締めくくる事にした。
もう少し経ったら、また手紙でも書こう。
さて、と。今日やろうと思っていた勉強も終わったし……これから何をしようかなあ?
うだうだと何をするか考えていると、トントンとドアをノックする音が聞こえた。
「はい、どうぞー」と返事をすると、メイドのサラが部屋に入ってきた。
「お嬢様。カウイ様がいらっしゃいました」
……カウイ?
カウイって、“あのカウイ”だよね。
どうしたんだろう?
この前のお茶会で会話らしい会話をした覚えがないけど……。
「ええと……どうしようかな? 室内のテラスで話そうかな」
「かしこまりました」
テラスに向かっている途中、お茶会でのカウイを思い出す。
ミネルを殴った時、カウイは私を庇おうとしていたよね?
お茶会ではうなずくか、首を横に振るだけで、言葉を発しなかったカウイ。
あの時だけは自分から話そうとしていた。
きっと優しい人なんだろう……とは思うけど、実際はどんな人なのかな? 今日でカウイの事を少しでも知れたら嬉しいな。
テラスに着くとカウイが立って待っていた。
人の家だから落ち着かないのかな? オロオロしてる。
「カウイ、お待たせしました」
私が声を掛けると、カウイがぱっと振り向いた。
「きょ、きょ、今日はきゅ、急に来て、す、すいません。よ、予定とかは?」
「ちょうど何をしようかなぁ? と思っていた所だったから大丈夫だよ。まずは座って。話はそれから!」
カウイが椅子に座り、私もテーブルを挟んだ向かいの椅子に座った。
「………………」
「………………」
中々話し出さないな……。
私から話を切り出してみようかな?
「今日は何か話があってきたんじゃ……?」
「はっ、はい。お、お、お茶会での事が、し、し、心配で」
場の空気を悪くしてしまったのは私なのに……心配で来てくれたんだ。
カウイに“庇ってくれた時”の事、お礼を言わなきゃ。
「ミネルとケンカして親たちが来た時、カウイがケンカの理由を説明しようとしてくれたでしょ? ありがとうね」
「う、う、ううん。ぼ、僕は、全然、は、話せなかったから」
戸惑いながらもカウイが返事をする。
「そんな事ないよ! カウイがきっかけでオーンも説明してくれたんだと思うよ。だから、ありがとう」
「う、うん」
おっ、カウイが照れてる。可愛い。
「エ、エレくんは、だ、大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。元気だよ。カウイが心配して来てくれた事はエレにも伝えておくね。ありがとう」
おっ、また照れてる。
「じゃ、じゃあ、か、帰るね」
えっ、えっ、えーっ! か、帰るの早くない!?
まだ椅子に座ってから、5分も話してないんじゃ……。
「カウイはこの後、予定でもあるの?」
私が予定を確認すると、カウイは首を横に振った。
「よければ、ゆっくりしていって。お茶会の時は話せなかったから、カウイとゆっくり話もしたいし」
なんだか……おどおどして困っているように見える。
しばらくすると、カウイが口を開いた。
「ぼ、僕と、か、か、会話をしても、た、楽しく、な、ないとお、思う。そ、それに、ど、ど、どもって、し、しまうから、き、聞きづらいし」
「そう? 私はカウイと話をしていて楽しくないと思っていないし、聞きづらくもないよ。さっきも言った通り、カウイさえよければお話したいな」
私の言葉を聞き、カウイは思いっきり首を縦に振った。
これはOKって事だよね! 私と話をしたくないとかじゃなくて良かったぁ。
“どもり”が気になってるから、あまり話さないのかな?
私がゆっくり話せばカウイも話しやすいかな??
「カウイ、兄弟は?」
カウイ、首を横に振る。
「一人っ子なんだね」
カウイ、首を縦に振る。
その後の会話もほぼ私が話をして、カウイは首を縦に振る、横に振るの繰り返しだった。
昔もこんな状況があったよなぁ。
エレと出会って間もない時も、ほぼ私が話してたからこんな感じだったな。
……今となっては懐かしい。
「そうだ。来年から学校だね! カウイやセレスも同じ学校だって聞いたよ。楽しみだな」
「ぼ、僕は、ふ、不安」
「……不安? それはさっき気にしていた会話のこと?」
カウイが首を縦に振った。
「な、なにか、い、言わなきゃって、お、思うと、う、うまく話す、は、話せなくて……」
なるほど。
上手に話さなきゃっていう緊張? 焦り? それとも“どもる”かもしれないという不安??
カウイのご両親はカウイが“どもる”事で、怒ったり、焦らせたりする感じの人には見えなかったけど??
過去に何か言われたり、嫌な思いをしたのかもしれない。
「カウイ!!」
カウイのお陰で私が救われた事を伝えたい!!
「カウイは私とミネルがケンカをした時、真っ先にケンカの理由を説明しようとしたり、今日のように私とエレを心配して会いに来てくれる優しい行動力のある人だよね。心の中で助けたいなって思っていても、実際に行動に移せる人って少ないんじゃないかなぁ? 行動に移せるカウイはすごいし、自信を持っていい事だよ! 私はカウイの“その優しさ”にすごい救われたよ!!」
少し興奮気味に続けて話す。
「私はそんな優しいカウイと、もっともっと仲良くなりたいって思っているし、今日1日カウイと話してて楽しかったよ。だから私と話している時は“上手に話さなきゃ”って思う必要はないし、“楽しくないかも”って心配する必要もないよ。……そうは言っても、急に“そう思わなくする事”って難しいと思うから、少なくとも“私がそう思っている”という事だけは覚えていてね!!」
私が勢いよく一気に話をしたからか、ぽかーんと口を開けている。
しばらくして「う、うん。あ、ありがとう」と言ってくれた。
首を縦に振るだけじゃなく、ちゃんと言葉で返してくれた。
…… 一歩前進かな!?
少しずつ話す機会さえ増えれば、緊張しなくなるかもしれない。
「カウイさえよければ、今後もこうやってお互いの家を行き来して、話したり遊んだりしない?」
そうだ! 明日はセレスが遊びに来るんだ。
カウイも誘ってみよう!!
「明日セレスが家に来るの。セレスには私から話しておくから、もしよかったら明日も遊びにおいでよ。エレも入れて4人で遊ぼう!」
カウイがちょっと戸惑った表情をしている。
用事でもあるのかな? それとも人数が多いのは苦手??
「もちろん明日予定がなければで、大丈夫だよ!」
「あ、明日も来ていいの?」
「もちろん! 多分セレスもOKだと思う」
マイヤとルナだったら、事前にセレスに確認する必要があるかもしれない。
でもカウイなら大丈夫でしょう。
今では私とセレス、エレで遊ぶのも当たり前になってるし。
それに明日セレスは大量の手作りマドレーヌを持ってくるはず……。
食べてくれる人が1人でも多いのは、私としてもありがたい。
「う、うん! ぼ、僕、と、とも……だ、誰かと約束して、あ、遊ぶの初めて」
「誰かじゃなく、友達って言っていいんだよ。私は今日でカウイと友達になれたって思ってるよ!」
カウイは少し恥ずかしそうに言った。
「う、うん。友達と遊ぶの初めて」
カウイが照れて言うから、私も自分で言った“友達”という言葉に少し照れてきた。
“友達”って、お互いに「今日から友達です」と確認し合うものではないと思っていたから、改めて自分の口から言うと少し恥ずかしいな。
でもカウイの場合は、ちゃんと言葉にして言ってあげなきゃ伝わらないのかもしれない。
「じゃあ、明日」
「う、うん。あ、明日」
カウイが帰るのを見送り、手を振った。
カウイは今日一番の笑顔で手を振り返してくれた。
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