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子どもの頃(入学前)編
7歳、状況を把握しました
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目が覚めるとベッドの上だった。
あれ? いつの間に眠っちゃったんだろう……と思い、ゆっくりベッドから起き上がる。
足の裏にはふかふかとした絨毯。
この感触は初めてだ。
ぐるりと見渡した部屋も、記憶とは全然違う。
驚くほどに広くて豪華。
そして何より、いつもと比べて随分と目線が低いし……よく見ると、自分の手も小さくない??
「えっ! えーーー!!」
私は無意識の内に大声を出していた。
その声を聞き、すぐに1人の女性が驚いた顔で部屋へと入って来る。
「大丈夫ですか? お嬢様」
……!? お嬢様ーー!?? だ、誰のこと……?
というか、この人は誰??
「えーと、どちら様でしょうか? そしてここはどこですか?」
パニックになった私は、早口で部屋に入ってきた女性に尋ねた。
「お嬢様、寝ぼけているのですか? メイドのサラですよ」
「メ、メ、メイド!?」
聞き慣れない言葉に呆然としている私を見て、サラと名乗った女性は焦った表情を浮かべたまま、急いで部屋を出ていった。
おそらく、私が冗談で言っているわけではないと察したらしい。
…………待つ事、10分。
メイドのサラさんが戻ってきた。
「お嬢様、お医者様をお呼びしました! 後30分ほどでいらっしゃいますから、ベッドの上で待っていてください」
お医者様……具合は悪くないし、どこも痛くないけど、この不思議な状況を理解してもらう為には一度見てもらった方がいいんだろうか。
「うーん」と頭を悩ませていると、ふと少し離れたところに置いてあった鏡に目が止まった。
冷静さを欠いてすっかり忘れていたが、さっき、いつもより手が小さく感じていた事を思い出した。
鏡をじっと見つめ、ある事に気がつく。
これって、手が小さいというか…………そもそも顔が違う!!
ん? 待てよ。この顔、どこかで見た事がある気がするんだけど……どこだろう。
んー、思い出せない。
焦ったり、驚いたり、考え込んだりしている私を見て不安に思ったのか、サラさんが恐る恐る私に声を掛けてきた。
「アリアお嬢様、大丈夫ですか?」
……アリア?
今サラさん、私の方を見て“アリア”って言った?
“アリア”という名前は、私がさっき始めたゲーム「childhood friends」のヒロイン候補の1人のはず。
……そうだ!
鏡で見た“あの見覚えがある顔”は、乙女ゲームで1番ハッピーエンドに遠い残念なヒロインとそっくりじゃないかー!!
つまり私は、あの乙女ゲームの世界に飛ばされたって事?
さらには、よりにもよって一番モテない“アリア”に転生? しちゃった……みたい。
30分後、お医者さんがやってきて、私の体を詳しく診察してくれた。
その結果、私は“記憶喪失”という事になった。
まぁ、体に異常はないし、ある意味“記憶喪失”という診断は正しい。
なぜなら、自分は“アリア”になった(かもしれない)事以外、こちらの世界の記憶はないのだから。
私は“アリア”じゃないとお医者さんに必死に伝えたけど「記憶喪失になって混乱しているんですよ」の一言で片付けられた。
そうそう、診察を受けている時、部屋に“アリア”のお父さんとお母さんが駆け付けた。
“アリア”のお母さんは涙目で私を見つめ、“アリア”のお父さんはポーカーフェイスを装っていたものの、傍目でも分かるくらいに動揺していた。
お医者さんからの提案もあり、“記憶喪失”で混乱している私に負担を掛けないよう、今日はこのまま休ませてもらえる事になった。
“アリア”のお父さんとお母さん、サラさん、お医者さんが部屋から出ていく。
私はといえば、1人きりになった事でゆっくりと考える時間もでき、少しだけど冷静さを取り戻す事ができた。
ゲームを始めた途端、この世界に転生した?
またはゲームをやりながら寝てしまい、今は夢の中とか?
……だとしたら、やけにリアルな夢だけど。
どうしてこうなったのか、考えてはみたけれど原因についてはさっぱり分からない。
色々と悩んだ末、根がお気楽&ポジティブな私は一つの結論に辿りついた。
何はともあれ、折角ゲームのキャラになれたのだから“アリア”としての生活を楽しんでみよう! と。
そうと決まれば、今分かっている状況をしっかりと整理しておこう。
< お医者さんとの会話で分かった事 >
・年齢は7歳。
・家族構成は、父と母。今日は会っていないけど、1歳下の弟がいる。
・私専属のメイドが“サラ”さん。
・《水の魔法》が使える家系?で、結構偉いとこの娘らしい。
< 私が知っている事 >
・婚約者が決まるのは10歳。
・幼なじみが7人。
・女の子のキャラは知っているが、攻略対象の男の子4人の情報は全くと言っていいほど何も知らない(後の楽しみにしようと攻略対象については説明書を読んでいなかった事が、今では悔やまれる)。
・“アリア”自身、顔立ちは悪くないけど、他の女の子3人が飛び抜けている所為で、周りからは地味な子に見えてしまう。
・婚約者が決まり、もしその人を好きになったとしても、90%以上の確率で他のキャラにとられるし、婚約者以外を好きになっても高確率で結ばれない。
……そこで、よーく考えてみた。
結ばれない、というのは相手を好きになった場合に起こる事だから、現段階で好きになるかも分からない攻略対象4人について、頭を悩ませる必要は全くないよな。
出会い方次第では、4人以外の誰かを好きになる可能性だってあるんだし。
それに私はまだ7歳! 人生なんてこれからだ!!
恋愛よりも自分の好きな事に力を注ぐ方が面白いかもしれない。
“アリア”の家系は《水の魔法》が使えると言っていたから、もしや私も何か魔法が使えるんだろうか?
確か、魔法が使えるという事がゲームの説明書のどこかに書かれていたような……?
ちゃんと読んでおけばよかったぁ。
魔法が使えるかどうかはまだ分からないけど、私としては恋愛よりも元の世界では使えなかった魔法に興味がある!
まずは7歳までに覚えていた事を全て教えてもらって、魔法についても勉強しよう!!
モテないヒロインに転生してしまったけど、それはそれ! 開き直って、この世界を存分に楽しもう!!
よし! だんだん、楽しみになってきたー!!
あれ? いつの間に眠っちゃったんだろう……と思い、ゆっくりベッドから起き上がる。
足の裏にはふかふかとした絨毯。
この感触は初めてだ。
ぐるりと見渡した部屋も、記憶とは全然違う。
驚くほどに広くて豪華。
そして何より、いつもと比べて随分と目線が低いし……よく見ると、自分の手も小さくない??
「えっ! えーーー!!」
私は無意識の内に大声を出していた。
その声を聞き、すぐに1人の女性が驚いた顔で部屋へと入って来る。
「大丈夫ですか? お嬢様」
……!? お嬢様ーー!?? だ、誰のこと……?
というか、この人は誰??
「えーと、どちら様でしょうか? そしてここはどこですか?」
パニックになった私は、早口で部屋に入ってきた女性に尋ねた。
「お嬢様、寝ぼけているのですか? メイドのサラですよ」
「メ、メ、メイド!?」
聞き慣れない言葉に呆然としている私を見て、サラと名乗った女性は焦った表情を浮かべたまま、急いで部屋を出ていった。
おそらく、私が冗談で言っているわけではないと察したらしい。
…………待つ事、10分。
メイドのサラさんが戻ってきた。
「お嬢様、お医者様をお呼びしました! 後30分ほどでいらっしゃいますから、ベッドの上で待っていてください」
お医者様……具合は悪くないし、どこも痛くないけど、この不思議な状況を理解してもらう為には一度見てもらった方がいいんだろうか。
「うーん」と頭を悩ませていると、ふと少し離れたところに置いてあった鏡に目が止まった。
冷静さを欠いてすっかり忘れていたが、さっき、いつもより手が小さく感じていた事を思い出した。
鏡をじっと見つめ、ある事に気がつく。
これって、手が小さいというか…………そもそも顔が違う!!
ん? 待てよ。この顔、どこかで見た事がある気がするんだけど……どこだろう。
んー、思い出せない。
焦ったり、驚いたり、考え込んだりしている私を見て不安に思ったのか、サラさんが恐る恐る私に声を掛けてきた。
「アリアお嬢様、大丈夫ですか?」
……アリア?
今サラさん、私の方を見て“アリア”って言った?
“アリア”という名前は、私がさっき始めたゲーム「childhood friends」のヒロイン候補の1人のはず。
……そうだ!
鏡で見た“あの見覚えがある顔”は、乙女ゲームで1番ハッピーエンドに遠い残念なヒロインとそっくりじゃないかー!!
つまり私は、あの乙女ゲームの世界に飛ばされたって事?
さらには、よりにもよって一番モテない“アリア”に転生? しちゃった……みたい。
30分後、お医者さんがやってきて、私の体を詳しく診察してくれた。
その結果、私は“記憶喪失”という事になった。
まぁ、体に異常はないし、ある意味“記憶喪失”という診断は正しい。
なぜなら、自分は“アリア”になった(かもしれない)事以外、こちらの世界の記憶はないのだから。
私は“アリア”じゃないとお医者さんに必死に伝えたけど「記憶喪失になって混乱しているんですよ」の一言で片付けられた。
そうそう、診察を受けている時、部屋に“アリア”のお父さんとお母さんが駆け付けた。
“アリア”のお母さんは涙目で私を見つめ、“アリア”のお父さんはポーカーフェイスを装っていたものの、傍目でも分かるくらいに動揺していた。
お医者さんからの提案もあり、“記憶喪失”で混乱している私に負担を掛けないよう、今日はこのまま休ませてもらえる事になった。
“アリア”のお父さんとお母さん、サラさん、お医者さんが部屋から出ていく。
私はといえば、1人きりになった事でゆっくりと考える時間もでき、少しだけど冷静さを取り戻す事ができた。
ゲームを始めた途端、この世界に転生した?
またはゲームをやりながら寝てしまい、今は夢の中とか?
……だとしたら、やけにリアルな夢だけど。
どうしてこうなったのか、考えてはみたけれど原因についてはさっぱり分からない。
色々と悩んだ末、根がお気楽&ポジティブな私は一つの結論に辿りついた。
何はともあれ、折角ゲームのキャラになれたのだから“アリア”としての生活を楽しんでみよう! と。
そうと決まれば、今分かっている状況をしっかりと整理しておこう。
< お医者さんとの会話で分かった事 >
・年齢は7歳。
・家族構成は、父と母。今日は会っていないけど、1歳下の弟がいる。
・私専属のメイドが“サラ”さん。
・《水の魔法》が使える家系?で、結構偉いとこの娘らしい。
< 私が知っている事 >
・婚約者が決まるのは10歳。
・幼なじみが7人。
・女の子のキャラは知っているが、攻略対象の男の子4人の情報は全くと言っていいほど何も知らない(後の楽しみにしようと攻略対象については説明書を読んでいなかった事が、今では悔やまれる)。
・“アリア”自身、顔立ちは悪くないけど、他の女の子3人が飛び抜けている所為で、周りからは地味な子に見えてしまう。
・婚約者が決まり、もしその人を好きになったとしても、90%以上の確率で他のキャラにとられるし、婚約者以外を好きになっても高確率で結ばれない。
……そこで、よーく考えてみた。
結ばれない、というのは相手を好きになった場合に起こる事だから、現段階で好きになるかも分からない攻略対象4人について、頭を悩ませる必要は全くないよな。
出会い方次第では、4人以外の誰かを好きになる可能性だってあるんだし。
それに私はまだ7歳! 人生なんてこれからだ!!
恋愛よりも自分の好きな事に力を注ぐ方が面白いかもしれない。
“アリア”の家系は《水の魔法》が使えると言っていたから、もしや私も何か魔法が使えるんだろうか?
確か、魔法が使えるという事がゲームの説明書のどこかに書かれていたような……?
ちゃんと読んでおけばよかったぁ。
魔法が使えるかどうかはまだ分からないけど、私としては恋愛よりも元の世界では使えなかった魔法に興味がある!
まずは7歳までに覚えていた事を全て教えてもらって、魔法についても勉強しよう!!
モテないヒロインに転生してしまったけど、それはそれ! 開き直って、この世界を存分に楽しもう!!
よし! だんだん、楽しみになってきたー!!
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