冒険者ギルド受付の癒し枠~ネコ娘は追放系主人公が気になるようです

八華

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ネコ娘、ダンジョンに入る

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 食後に準備を整えると、強いパーティーから順に、ダンジョンに入っていった。

「1層に上がってきているワイバーンとアースドラゴンを倒してくれ。そいつらの討伐ができたら、B級までに1層を任せて2層に降りるぞ」

 ツキノワさんパーティーの斥候がかなり優秀な人だったので、ダンジョン内の強敵の位置を正確に把握することができた。

「順調だな」
「ここの魔物にはもう慣れたからねぇ」

 アタイたちはツキノワさんパーティーと協力して休憩をとりながら、翌日昼までに各層のワイバーンとアースドラゴンの駆除を終えた。


 ダンジョンの外に出ると、明日にはボスを討伐するA級冒険者が到着すると聞かされた。

「ハァ……。ダンジョンの発生位置が、もうちょっとズレて、ジャジャメリカの中だったら良かったのに」

 副ギルドマスターがとても残念そうな顔をしていた。

「まさか最難関ダンジョンを閉じずに残したかったの!?」

 レトリー姉ちゃんが呆れている。

「ミスリルが取れるんですよ。管理できれば、国内産業の発展に拍車がかかります」
「5層に専用のA級パーティーが要るわね……」

 捕らぬ狸の皮算用をはじめる副ギルドマスターに、姉ちゃんはやれやれという顔だった。

「何にしろ、他国のダンジョンでは、ヒュムニナに関税をかけられて赤字になります。奴らも、普段からダンジョン開発にもう少し人材を育成しておけば、こういう美味しいダンジョンを逃さずに済みますのに」

 副ギルドマスターは、このダンジョンを閉じるのが、相当悔しいようだった。
 昨日見たデコトラの持ち主の商人も現場に来ていて、ふたりでめちゃくちゃ嘆いていた。

 まあ、アタイら冒険者には、経済の難しいことは分からない。無事にこのダンジョンの始末をつけるまで、気を抜かず頑張るだけだ。

「最難関ダンジョンのボスを討伐できるパーティーか。どんな人たちが来るんだろう」

 アタイは興味を、もうすぐ起こるボス戦へと移した。
 5層でチラっと偵察してきた最下層のボスは、この世の終わりのラスボスみたいな暗黒龍だった。アレを倒せる人って、どれくらい強いんだろう。

「来るのは俺らと実力の変わらないA級パーティー3つだぞ?」

 ツキノワさんの答えは、意外なものだった。

「へ? ダンジョン内の戦闘には、人数制限があるよな?」

 大人数でボスを袋叩きにできれば、そんなに人を選ばず強敵だって倒せる。でも、大勢が密集して戦うと、仲間のマナが干渉し合って動けなくなるのだ。戦う人数が限られるから、強い人が必要になる。

「同時に戦闘する人数が制限されるだけだ。途中で交代はできる。全力技をぶち込んで、メンバー入れ替えを繰り返すんだ」
「そんな倒し方があるのか」

 何か邪道のような……、いや、勝てればいいんだよな。

「ってことで、ボス戦にはお前らも参加だからな」

 え? マジで??

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